LL Future×gihyo.jp presents 今年もLLのアツい夏がやってきた!

LL Future×gihyo.jp presents 今年もLLのアツい夏がやってきた! 開催直前、LLFuture 実行委員会座談会

いよいよイベント開催前日となりました。

本連載の締めとして、開催直前に、えんどうやすゆき氏(Kahuaプロジェクト⁠⁠、法林浩之氏(日本UNIXユーザ会⁠⁠、高野光弘氏(日本UNIXユーザ会⁠⁠、波田野裕一氏(日本UNIXユーザ会⁠⁠、佐々木健氏(アンカーテクノロジー株式会社⁠⁠、やましたのぶお氏の6名による特別座談会を実施しました。

LLFuture 実行委員会座談会

自己紹介とLLへの関わり

――まずはじめに、皆さんの自己紹介とLLイベントへの関わりについてお話しいただきました。

法林氏:私は、日本UNIXユーザ会(jus)に所属しており、2003年に開催された最初のイベントからLLに関わっていて、今回で6回目の参加となります。年々開催規模が拡大され、今ではjusが扱うイベントの中でも最大規模となっており、重要な位置付けを占めていると感じています。

法林浩之氏(日本UNIXユーザ会)
法林浩之氏(日本UNIXユーザ会)

高野氏:私は2005年のLLDNから参加しています。jusのイメージというとアカデミックな印象が強い中、Nightの部が非常に大きなインパクトを受けたのを覚えています。本当に凄い夜でした。

波田野氏:私も、法林さんと同じく第1回目から参加しています。第1回目のLL Saturdayでは当時四大言語と言われていたPerl、PHP、Ruby、Pythonにフォーカスを当てた内容で、150名分のチケットがすぐに売り切れてしまいました。

それ以降、楽しく参加させていただいています。最近は、仕事で使うためにオブジェクト指向を学ぶなど、公私にわたり、LLの占める割合が増えています。

えんどう氏:私はGaucheコミュニティ、Kahuaプロジェクトから参加しています。LLイベントには、2回目のLL Weekendからの参加ですね。それから3年目のLLDNのとき、夜の部の企画を担当したいと手を挙げ、新宿ロフトプラスワンでの開催にこぎ着けました。

今年のLL Futureでは「LL で未来を発明する」の番長をつとめていまして、一番未来っぽいセッションを行えればと思っています。

やました氏:2回目から実行委員として参加しています。当時、Haskellという言語にはまっていて、なんとかLLイベントにねじ込めればと思いまして(笑⁠⁠。このイベントから、Haskellがある程度一般的に広まって、書籍が発行されたりもしました。また人と人のつながり、広がりもできてきたと感じています。

今年に関してはまだまったく手伝えていません(苦笑⁠⁠。

法林氏:当日がんばってください(笑⁠⁠。

佐々木氏:私は、インフラ回りの仕事をすることが多く、LL言語にはとてもお世話になっています。LLのイベントは一昨年のLL Ringから参加しています。イベントに関わるような人は優秀なプログラマが多いのですが、そういう方はだいたい世間より少しずれてるんですよね(笑⁠⁠。その中にいると妙に安心感が得られるんです。

LLイベントの良さって?

――続いて、LLイベントの良さについて、実行委員会の立場からお話しいただきました。

法林氏:まず、運営側が楽しめる感覚を持てることが一番の良さです。私自身、趣味でバンドをやっていたこともあり、人に見てもらうことに対してとても積極的になれるんです。その感覚を持ったうえで、来場者の皆さんには見て楽しんでもらい、かつ勉強になる内容を構成したいと考えています。これはLLイベントに限らず、どんなイベントを作るときでも同じように考えています。

他のやり方があるのかもしれないですが、今のような形で実行委員会による企画・運営により、見ている側も楽しめればと思っています。

やました氏:内容に関していえば、何が良いとか悪いとかよりも、イベントそのものが楽しいことが大事ですね。さらに、参加者みんながプログラムを書くことが好きだというのも大きなポイントだと思います。

やましたのぶお氏
やましたのぶお氏

法林氏:そうですね。本当にプログラミングが好きな人たちが集まってきてくれていて、こんなにたくさん集まってくれることに驚いていますし、嬉しいです。

あと、もう1つ驚いたのが、若い人の占める割合が多い点です。過去5回のアンケート結果を見てみると、20代が中心となっています。これは喜ばしいですね。

波田野氏:イベント全体がネタに走りがちというのも特徴でしょうか(笑⁠⁠。

1年目のLL Saturdayの一番最初のセッションが、小飼弾さんによるものでしたが、今思うと、この頃からすでにLLはネタ好きな人たちの集まりになっていたのかもしれません。

法林氏:そうそう。プレゼンをする人にはとくに頼んでいないのに、本当におもしろい内容の人が多くて。

波田野氏:LLイベントのコンセプトという点で見ると、LLDNの夜の部で1つのカラーが決まったように思いますね(笑⁠⁠。

えんどう氏:はい。ネタ的な部分を含め、LLイベントは、ショーとしておもしろいと言う要素が含まれていると思います。加えて、本質的なところではプログラマのためのイベントなので、プログラミングの楽しさを伝えたい思いが込められていますね。それを見に来た人たちの原動力になって、自分でも何かやろうって思ってもらえるのが、LLイベントの良さではないでしょうか。

えんどうやすゆき氏(Kahuaプロジェクト)
えんどうやすゆき氏(Kahuaプロジェクト)

これまでのLLの振り返り

――LLイベントの良さがわかったところで、これまでのLLを振り返りながらどのように企画・運営されてきたのか、背景や裏話について伺ってみました。

法林氏:本当に長く続いていると思います。今後も長く続けていきたいと思っています。そのためには、運営費の部分やテーマの決定、内容の企画などつねに意識しています。また、今回のテーマにも関係しますが、委員会の中でも徐々に若い人に担当してもらうことが増えています。

波田野氏:金銭的な面では、赤字を出さないように、基本は収支トントンを目指しています。

高野氏:また、スポンサーからの協賛金を集めていない点もLLイベントの強みです。

法林氏:スポンサーに頼ってしまうと、協賛金への依存度が高まってしまいます。結果として、スポンサー料の総額に応じてイベントの質が下がったり、安定したイベント運営が難しくなります。

波田野氏:LLイベントは、jusをバックグラウンドに経済的な基盤ができています。そのため、プログラム内容に専念でき、独立性が高いこともあり(内容的に)冒険しやすいこともあります。フリーハンドでできるので、楽しさが際立っていますね。

波田野裕一氏(日本UNIXユーザ会)
波田野裕一氏(日本UNIXユーザ会)

「未来」というテーマに関して

――イベントタイトルからもわかるように、今回のテーマは「未来」です。なぜ未来に決まったのか、また具体的にはどういったコンセプトを含めているのでしょうか。実行委員の皆さんにお伺いしました。

法林氏:実は、今年のイベント以外はすべて最初のミーティングでテーマ決めをすることから始めていたんです。今回、初めてテーマありきでイベントがキックオフしました。

えんどう氏:外人のスピーカーを呼ぶことが前提で、その人たちに「未来」について語ってもらおうというのが、最初のきっかけでした。

法林氏:それから、何年も続けているとイベント自体がマンネリになりがちです。新しい方向性を考えるうえでも未来というテーマがふさわしく、また、実際に進めて行くに当たって人の入れ替えをすることを提案しました。

さらにプログラミング言語の中には、言語そのものが10年以上の歴史を持つものが増えてくる一方で、今後のプログラムやプログラミング言語がどうなっていくのかを考えたかったのです。

高野氏:その一環として、今回私が担当している「キミならどう書く? - LL Golf 」があります。

今回の見どころ

LL Golf

高野氏:LL Golfはいつも開催している「キミならどう書く?」をアレンジしたもので、30歳以下のU-30セッションとして実施します。

最近の若いプログラマの多くが、実際の機械語と離れていて、LLのように皆、上のレイヤでプログラミングをしています。また、コードゴルフというのがあるのですが、これはある目的のプログラムを小さなバイト数で実現するためのもので、今回、それをLLで行うことになったのです。

具体的にはどう書く?org(http://ja.doukaku.org/)でお題を出して、それに答えるというものです。当日は優秀なプログラムを取り上げて解説する予定です。

高野光弘氏(日本UNIXユーザ会)
高野光弘氏(日本UNIXユーザ会)

未来って何だ?

えんどう氏:今回のテーマに最も近いセッションとして「LL で未来を発明する」があります。これまでLL Updateという形で実施していたものの1つで、今回、初の外国人スピーカとなる、Perlの産みの親Larry Wall氏、また国産LL Rubyの産みの親まつもとゆきひろ氏をはじめ、MiniCaml住井英二郎氏、Ypsilon藤田善勝氏、Moshひげぽん氏によるパネルディスカッションが予定されています。

このセッションのテーマは、アラン・ケイが発した有名な言葉「未来を予測する最良の方法は、未来を発明してしまうことだ」が意味するように、自分たちで未来を考えて、今できることを逆算していくことを狙っています。また、ポール・グレアムの『百年の言語 -The Hundred-Year Language』というエッセイを書き、百年後を予想して現在どの選択肢に賭けるべきかを考察しているといった部分も含めています。

法林氏:ちなみに、今回、Larry Wallに来てもらうのですが、外国の方を招聘するのは本当に大変でした。ちょっとした理由でNGになったり、時間的な都合がつかなかったりと。その中で、LLイベントに外国人スピーカを呼べたことは、実行委員会にとってもとても嬉しいことです。

フレームワークバトル

佐々木氏:私が番長をつとめる「サイコー?!フレームワーク」では、各フレームワークの開発者たちによるパネルディスカッションを予定しています。著名な方にお話しいただくことで、聞いた人のモチベーション向上につながってもらえればと考えています。

佐々木健氏(アンカーテクノロジー株式会社)
佐々木健氏(アンカーテクノロジー株式会社)

法林氏:フレームワークに関しては来場者からの期待も高く注目されています。

高野氏:やはり最近のWebサービスの潮流と相まって注目されているのではないでしょうか。中でもRuby on Railsの登場が大きかったと思います。今はRails世代が中心にいながらも、すでにAfter Railsと呼ばれる世代も登場してきています。

佐々木氏:Webサービスを作る際には、インフラやデータベースなどの言語外の部分も必ず考える必要があります。Webサービスを実現するフレームワークについて討論していただくことで、システムの全体像を明るく見通すことができればとも思っています。

イベント開催の舞台裏

実際どのような形で実行委員会が開催され、ミーティングが行われているのか、ここまでの経緯とともに紹介していただきました。

法林氏:まず、イベントの規模ですが、翌年は、その年に参加してもらった人数以上の場所を用意するように心がけています。参加希望者が500名予想されるのに対して300名の会場は間違っていると思うんです。

とは言っても、実行委員会側で積極的に参加者を増やそうとしているのではなく、毎年自然に参加人数が増えていると感じています。これは、毎年良いイベントを提供できた結果だと自負しています。

私が大好きなプロレスに例えて言うと(笑⁠⁠、⁠団体とファンのコミットがしっかりとできている」といった感じでしょうか。このコミットこそがイベントを大きくする原動力となっています。

高野氏:プロレスと言えば「闘魂宣言」もありますよね(笑⁠⁠。闘魂宣言とは、その年の実行委員会を開催するにあたって、⁠私はスタッフとして参加します」ということを宣言するものです。

波田野氏:フェイストゥフェイスのミーティングはだいたい月に1回程度、開催しています。最近は、約1年前ぐらいからスタートして、計10回ほどの開催回数です。この他、IRCやメーリングリストによる情報共有・議論が活発に行われています。

法林氏:今、1年ほど前からという話が上がりましたが、最近のLLイベントの場合、集客数がいよいよ1,000人を見込まれるところまでになってきました。この規模になると、会場を押さえるためには1年前からの手配が必要になります。今年のLL Futureに関しても、一昨年のLL魂の開催前には場所(なかのZERO)が確定していました。

ここでもまたプロレスに則って(笑⁠⁠、ファンに最初に伝えるために、イベントの最後に翌年の会場を発表しました。今年もその予定です。

えんどう氏:こうした規模を実現できるのは、バックにjusの存在があるからで、個人レベルでは実現できない規模まで対応できます。

法林氏:ちなみに、今までのイベントの中でとくに特殊だったのが2年前のLL Ringです。新木場1stRINGという、まさにプロレスのリングを借りて実施しました。このときは、最初と最後にイベント関連のムービーを流すようにしたのですが、このときからいろいろなイベントでもムービーが流されるようになりました。

他にもLLイベントは、どこよりも早くコンビニでのチケット販売を行うなど、他のイベントの良い見本になっていると思います。

えんどう氏:このように、毎回バラエティに富んだ構成と実行委員会の思惑が絡み合っているのですが、今年は、Web番長のあかのさんの紹介で、インディーズバンドからオリジナル音楽を提供してもらうといった仕掛けを準備しています。

また、今回のTシャツは枚数限定で作っているので、かなりプレミア度が高いと思いますよ。

開催に向けて

――最後に、開催に向けて一言ずついただきました。

佐々木氏: とにかく来てくれた方に楽しんでもらいたいですね。

やました氏:同じく楽しんでもらえれば嬉しいですね。

えんどう氏:先ほどもお話ししましたが、見に来た人が新しい未来を作ってくれるような、そういうイベントにしたいと思います。

波田野氏:自分の職場でもLLを使うシーンが増えています。イベントを通じてどんどん広げていきたいです。また、ぜひ参加者から運営側に回ってもらえればと思います。もちろん、自分自身も楽しみたいです。

高野氏:参加者の皆さんが何かしら持ち帰ってもらえるようなイベントになればいいですね。ここ数年でプログラミングが一般的なものとして扱われてきています。こういうイベントをきっかけに、スーツとギークの人が仲良くなってほしいです。

そして、万人が、プログラミングに興味を持ってもらって、たとえばプログラマとデザイナーの協業が増えていくことを期待しています。

法林氏:(座談会実施日で)開催まであと10日足らずです。ここまで1年かけて準備をしてきました。これまで他の人も言っていたように、来た人に楽しんでもらいたいです。そして、来た人を元気付ける、そういうイベントであり続けたいです。

実行委員会一同、一生懸命いろいろ準備していきますので、ぜひ皆さん、ご参加ください。そしてご参加いただいた方は、ご自身のブログに記事を書いてくださいね。

ブログエントリを書いてもらうまでがLL Futureです。

さぁ、いよいよ開幕です。当日券の用意もあるそうなので、皆さんもぜひ足を運んで、LLの未来を探ってみてください!

イベント開催に向けて、気合いを入れたポーズを頂きました!
イベント開催に向けて、気合いを入れたポーズを頂きました!
URLhttp://ll.jus.or.jp/2008/

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