教えて! 最新技術―テックコミュニティの現場から

第4回 Androidのこれまでとこれから

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AndroidのUIデザイン

関:AndroidのUIデザインはどのように変わったのでしょうか?

日高:Androidは,アップデートのたびにいろんなコンセプトが出るなど,ブラッシュアップが図られてきました。今は,いかにユーザーに受け入れてもらえるようにしていくか,が主題となっています。もちろんデザインガイドラインは提供されていますが,画面が大きくなると上のほうには指が届かないなどの問題があり,ガイドラインに頼り切らず現実問題に沿って解決していこうよ,というのが新しいエンジニアリングの形になりそうです。

関満徳 氏

関満徳 氏

関:個人ですべてをやるのは難しそうですね。

日高:そうですね,スペシャリティも違いますし,モバイル系は開発の担当やデザインの分業が進んでいます。

Androidとクロスプラットフォーム

関:Androidを取り巻くiOSなどとのクロスプラットフォームの状況は,最近どうなっているんでしょうか?

日高:Android周辺のクロスプラットフォームは昔からありますが,今はReact NativeやFlutterを推す声が大きいですね。その中でも一番少ない工数で価値を提供できる手段としてFlutterが選ばれやすいですが,Flutterを扱えるエンジニアも潤沢にいるわけではありません。モバイルにおけるクロスプラットフォームの難点として,モバイルプラットフォーム,iOS,Android,それぞれに熟知していないと,自然なアプリを作るのが難しい。つまり,知らないといけないことが多いのです。

スタートアップのようなエンジニアパワーが希少な会社はクロスプラットフォームでの開発を,DX化の一環でツールを作りたい,お客様向けのアプリをMVP(実用最小限の製品)で作りたいという場合はノーコードでの開発を,iOSとAndroidの両方のエンジニアを抱えている会社はどちらもネイティブでの開発を,という形になりそうです。

ハードウェア向けAndroidの状況

関:IoT向けOSとして出ていたAndroid Thingsはどうなるのでしょうか。

日高:昔からAndroidが興味を持っていた分野ですが,Android Thingsはうまくいかなかったので撤退しています。Googleは,まずはやってみて,駄目だったら撤退し,また別の形で再チャレンジをするという文化ですよね。この分野については,Google Nestという形で再スタートが始まっています。

自動車向けのAndroid AutoやAndroid Automotive OSもメーカーが開発していますが,まだ採用事例は多くありません。Android TVはモバイルから飛び出て拡張したエンターテインメント分野です。この分野ではクラウドとローカルの使い分けが重要です。TV向けのChromecastでは,アプリはローカルにインストールしてコンテンツはクラウドからストリーミングします。アプリを追加できる体験はこれまでTVにはなかったものです。

今後,5Gが当たり前の世界になれば遅延なども解消されるので,もっとクラウドにマシンパワーを集めるアプローチが現実的になるかもしれません。そうなれば遠隔医療や(クラウドでの)リッチなゲームプレイなども考えられ,スマートフォンを取り巻く環境も変わりそうです。

関:Googleが提供しているAR開発プラットフォームのARCoreはどんな状況なのでしょうか?

日高:AndroidとiOSの両方をサポートしているARCoreは,デバイスごとにカメラの差が大きく,チューニングも異なることから,やりにくい状況ではあります。VTuber向けのアバター活用などもありますがARCoreで成功しているのはPokémon GOの「AR+」ぐらいではないでしょうか。

注目されていたマインクラフトの完全新作ARゲーム「Minecraft Earth」というのがあったのですが,このコロナ禍の状況でリアルで集まるのが難しい状況になってしまいました。

Androidは今後どうなるのか

関:今後Androidはどんな方向に進化していこうとしているのでしょうか?

日高:Androidを搭載した製品は分野ごとに最適化が進んでいます。Googleのミッションは「世界中の情報を整理し,使う」という点にあり,検索のインタフェースを多面的に押さえたい,というのがあります。その中でもAndroidスマートフォンはユーザーの手のひらを押さえる位置付けですね。Google Nestが家の中を押さえるのも同様です。そんな形で,点から面へ世界中どこでも検索をやろうとしているのがGoogleです。

Androidの主な役割は,スマートフォンの便利さを多分野へ広げていくことです。Googleと他社が競合する部分もでてきますが,いろんな企業と協力して市場を作る姿勢が鮮明です。技術を武器にしたテックカンパニーらしい姿を目指しているのでしょう。

直近の未来はさまざまなデバイスとの連携が中心になりそうです。TVだとGoogle HomeやChromecastと一緒に使ったり,自動車ではAndroid Autoを使ったりという具合です。スマートフォンを使ったサービスで流行ったものはいろいろありますが,あくまで情報提供するインタフェースとしての価値は変わりません。時代によってデジタルコンテンツは変化していますが,生活を豊かにするという面では,Androidもスマートフォンも同じミッションと言えます。

余談ですが,AndroidのコードネームはアルファベットのCからはじまって,今はRまできています注1⁠。これが,Zになったらその次はどうなるんだろう? というのはありますね(笑⁠⁠。

注1)
参考Androidのバージョン履歴のバージョン履歴

Androidのコミュニティ状況

関:Andoidのコミュニティは,どんな状況なのでしょうか?

日高:Androidのコミュニティですが,開発者向けのカンファレンスは,国内はコミュニティが中心となるDroidKaigi,海外だとGoogle I/OやAndroid Dev Summitが公式に開催されています。世界各国でもコミュニティイベントがありますが,日本国内だとGDGGoogle Developers Groups主催のイベントが盛んですね。ほかは勉強会といった参加しやすいサイズのものが多いです。

関:Androidで困ったときに質問できるプラットフォームなどはありますか?

日高:Googleが提供しているエキスパートプログラム注2があり,彼らもイベントに登場します。そこで質問をすると回答が得られるかもしれません。Android開発で活躍している人たちや情報発信をしている人たちは,ブログやポッドキャスト,ニュースをまとめての発信するといった形で情報提供をしていることが多いです。

英語で検索をすれば無料の教材が出てきたりしますが,変化が激しいこともあり,ローカルコンテンツ,とくに日本語のコンテンツはなかなか増えづらいですね。

写真1 日高さん(左)にはリモートで対応いただきました

写真1 日高さん(左)にはリモートで対応いただきました

注2)
参考Google Expart Program

読者へのメッセージ

関:最後に,本誌読者のみなさんへのメッセージをいただいてもよいでしょうか?

日高:Androidアプリはスマートフォンの中で動きが完結しますし,触ってみて動くなど,とっつきやすさはあります。今どきのコードを書くにも良い環境が整いつつあります。地に足がついた形でスキルを伸ばせるプラットフォームとも言えます。アプリを世の中に出す体験はなかなかできないので,ぜひチャレンジしてみてください。

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著者プロフィール

関満徳(せきみつのり)

プロジェクトマネージャー・スクラムマスターとして組織・プロダクトオーナー・チームを支援しながら後進人材の育成に従事。アジャイルやプロダクトマネジメントのコミュニティ活動多数。

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