新人注目! テストを極める最初の一歩

第4回 テストケースを作りっぱなしにしていませんか?

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テストケースは作成後にレビューされなければならない

先ほど解説したように,テスト仕様書に従ってテストケースを作成します。 作成が終了するとすぐに実行したくなるのが人情というものですが,まだやるべきことが残っています。

それはレビューです。

レビューとは,開発成果物に含まれる不具合や誤り,不備な点を見つけるための作業です。人間はどんなに気をつけていてもミスを犯してしまうものです。

テストケースを作成したとしても,そのテストケースに間違いがあるかもしれません。間違ったテストケースを実行しても正しい結果は得られないでしょうし,もしかすると,本来間違ったことを正しいものと理解して実行してしまうかもしれません。

これではテストとしての質は下がってしまうでしょう。これを防ぐために,作成したテストケースは,もう一度それが本当に正しいかどうか確認する必要があります。

レビューの種類とまず押さえるべきポイント

レビューにはいくつかのレベルや手法がありますが,ここでは話をわかりやすくするために次のように分けることにします。

  • 個人レビュー
  • 同僚レビュー
  • 組織レビュー
個人レビュー

自分の作ったものを自分で見直します。一番手軽ですが,自分の思い込みが強く影響してしまうため,効果的に間違いを発見することには向いていません。ただし,エンジニアのマナーとして,自分が作ったものは最低限自分で見直すということをしなければなりません。

同僚レビュー

近くの同僚や先輩に見てもらいます。他人の視点からの指摘を獲得することができ,自分の思い込みによる間違いの排除が期待できます。ただし,他人の時間を使うことになるので,時間の調整や多少の事前準備が必要となります。また,同僚に対し説明する必要があるため,レビュー対象物を深く理解しておく必要があります。

組織レビュー

チームやプロジェクト,部門の単位で行うレビューです。事前の資料配布や開催時間の調整,参加者の選定に場所の確保等,計画的に行われる必要があります。参加者はプロジェクトメンバはもとより,関連する他部門の有識者にも参加してもらいます。これにより,より多角的な視点からの指摘を得ることができるようになります。このレベルになると,専門の司会者(モデレータ)を置いて開催することがほとんどです。

この連載のケースのように「新人さんの初めての仕事」という場合は,いきなり新人さんが組織レビューを行うことはありえません。組織レビューは他部門を巻き込んで行いますから,さまざまな調整作業が発生します。社内にまだ人脈がない新人さんには非常にハードルが高いレビューです。個人レビューと同僚レビューが,新人の方でも比較的はやく経験するレビューになります。

では,個人レビューと同僚レビューでは,まずどういったことを抑えたらよいでしょうか。それぞれにいくつかポイントを挙げます。

個人レビュー
  • 致命的な間違いがないか,もう一度考える
  • くだらない誤字脱字を訂正する
  • 他人に見せる資料として体裁など問題ないかをチェックする
同僚レビュー
  • 時間と場所の調整をつける
  • 事前に資料を用意しておく
  • とくに見てほしいポイントや不安な点について書き出しておく
  • レビュー議事録を作成する

いきなり,レビューをうまくできるわけはありません。些細なことですが,上記のような点をしっかり押さえることが重要です。先輩に見てもらうということはレビューを行うということです。単に見てもらうという気持ちではなく,レビューを行うんだという気持ちで取り組みましょう。

おわりに

テストケースには,複数の記述の仕方があり,状況によって適切なものを選択する必要があります。また,作成したテストケースは作りっぱなしにせず,レビューを行い,テストケースとしての品質を確保する必要があります。

良いテストケースが作成されなければ,いくらテストを実行しても意味がありません。でたらめなテストケースを作成することで,でたらめなテストが実行され,結果としてでたらめな品質のソフトウェアがお客様の手に渡ってしまいます。

テストケースの品質がテストの品質を決めることを肝に銘じて,慎重に作成してください。

次回は,いよいよテスト実行時のお話となります。テスト実行は単純にテストケースを実行して合格/不合格の二値の判定を下すものではありません。実際にはさまざまな情報を記録する必要があります。このテスト実行時の記録のとり方について解説を行います。

著者プロフィール

鈴木三紀夫(すずき みきお)

1992年,(株)東洋情報システム(現TIS(株))に入社。複数のエンタープライズ系システムの開発に携わり,現在は社内のソフトウェアテストに関するコンサルタントとして活動中。ASTER理事,JaSST実行委員,JSTQB技術委員,SQiPステアリング委員 他。

著書


池田暁(いけだ あきら)

2002年日立通信システム(現日立情報通信エンジニアリング)に入社。設計,ソフトウェア品質保証業務を経て,現在は開発に関する設計/テストツールの導入や,プロセス改善に関する業務に従事。ASTER理事,JaSST実行委員,品質管理学会・ACM正会員。

著書