きちんと学びたいテストエンジニアのためのTestLink入門

第7回テスト実行

前回は、TestLinkの基本操作のうち、テストケースの作成に必要な操作について説明しました。続いて今回は、作成したテストケースを実行していきましょう。

はじめに

TestLink上でテストケースが作成できたら、いよいよ実際のテスト実行の作業に入っていきます。

図1 TestLinkを使った作業の流れの例
図1 TestLinkを使った作業の流れの例

作成したテストを実行するためには、以下の作業が必要です。

実行準備作業
  • ビルドを登録:テスト対象となる製品ビルドを登録します。

  • 実行するテストケースを決定:今回のテスト計画で実行するテストケースを決定します。毎回のテスト計画でテスト仕様の中のテストケースを全て実行するのではなく、特定のテストのみを実行するといったことが可能です。

  • 担当者をアサイン:各テストケースをどの担当者が実行するかを決定します。

テスト実行作業
  • テスト対象を操作:テストケースのステップに従って、テスト対象を操作します。

  • テスト結果を登録: テスト対象を操作した結果とテストケースの期待結果を比較し、テストの判定結果を登録します。

それでは、これらの作業の詳細について見ていきましょう。

図2 TestLinkの基本構造
図2 TestLinkの基本構造

実行準備作業

まず、テスト実行のための準備作業をしていきます。

ビルドを登録

まずは、テスト対象の製品ビルドを登録します。テストを実行するためには、テスト対象を確定する必要があります。ソフトウェア開発のサイクルの中で製品のソースコードは徐々に変化していくため、どの段階でのテスト対象に対してテストを実行したのかという情報が、テスト結果の評価の際には重要となります。そこで、テスト対象にはビルド番号を振るなどして、どのビルドに対してテストを実行したのかを明確にするようにしましょう。

TestLink上にビルドを登録するには以下の作業をおこないます。まず、ホーム画面右側の「テスト計画の管理」のブロックから、⁠ビルドの管理]のリンクをたどります。ビルド管理画面で[新規作成]をクリックするとビルドの作成画面に移動します。その画面で、以下の項目を入力します。

タイトル:ビルドの名称を入力します。製品にビルド番号が振られている場合は、ビルド番号を入力すると良いでしょう。それ以外にも、ソースコードバージョン管理システムのタグの名称を入力すること等も考えられます。いずれにしろ、いつの状態の製品であるかを識別できる名称を入力します。

説明:ビルドの説明を入力します。
有効:このボックスがチェックされたビルドが利用可能となります。
  • テスト結果のレポートには、有効なビルドに対して行われたテスト結果のみが表示されます。
    オープン:このボックスがチェックされるとビルドに結果が登録できるようになります。
  • このボックスのチェックをはずすと、ビルドがクローズされて、テスト結果を登録できなくなります。
  • ただし、クローズされたビルドであっても、有効がチェックされていれば、テスト結果レポートには表示されます。

  • ビルドは、複数登録することができます。テスト計画内で、新たなビルドに対してテストを行う場合は、以前のビルドをクローズして、新たなテストに対して結果を登録する事になります。

    実行するテストケースを決定

    テスト実行のための準備として、そもそも、どのテストケースを実行するのかを決定する必要があります。前回もご説明したとおり、TestLinkではテスト仕様とテスト計画を別のコンポーネントとして分けています。そのため、テスト仕様の中にテストケースが書かれていても、それが実行されるかどうかはテスト計画次第ということになります。テスト仕様というテストデータベースにテストケースがためてあって、毎回のテスト計画で取り出すと考えるとイメージしやすいと思います。

    どのテストを実行するか決まったら、TestLink上にそれを反映させましょう。具体的には、⁠テストケースをテスト計画にアサインする」作業をおこないます。まず、ホーム画面右側の「テスト計画の内容」ブロックにある、⁠テストケースの追加]のリンクをたどります。表示されたツリーからテスト計画に追加したいテストケースが含まれているテストスイート名をクリックします。右側にテストケースの一覧が表示されますので、テスト計画に追加するテストケースをチェックし、⁠選択したテストケースを追加 / 削除]ボタンをクリックします。追加したテストケースの背景が黄色になれば成功です。

    なお、テストケースのテスト計画へのアサインは、leader もしくは admin の権限のあるユーザで行ってください。


    担当者をアサイン

    実行するテストケースが決定したら、次は担当者をアサインします。ホーム画面右側の「テスト計画の内容」ブロックから、⁠テスト実行のアサイン]のリンクをたどります。表示されたツリーから担当をアサインしたいテストケースが含まれているテストスイート名をクリックします。右側にテストケースの一覧が表示されますので、テストケースごとにアサインするユーザ名を選択します。

    この時、⁠ユーザ一括アサイン」にユーザ名が入力された状態で、隣の[実行]ボタンをクリックすると、チェックを入れたテストケースに一括してユーザをアサインすることもできます。

    なお、担当者のアサインは、テストケースのテスト計画へのアサインと同様、leaderもしくはadminの権限のあるユーザで行ってください。


    テスト実行作業

    ここまでで準備が完了しました。いよいよ、テストを実行していきましょう。

    テスト対象を操作

    テストケースに記載したステップを参照しながら、テスト対象を操作します。この時、後述の結果登録画面を見ながら、テスト対象を操作する方法もありますし、ホーム画面の[テスト計画の印刷]から「成功/失敗と備考を表示」をチェックして実行するテストケースを印刷することで、印刷物にメモを取りながらテストを実行し、後から一括してテスト結果を入力することもできます。

    テスト結果を登録

    テスト対象を操作した実際の結果と、テストケースに書かれた期待結果を比較して、テストの成功/失敗を判定します。その結果をTestLinkに登録していきます。

    テスト結果を登録するには、以下の作業をおこないます。まず、ホーム画面右側の「テストの実行」ブロックから[テストの実行]のリンクをたどります。表示されたツリーから、実行したテストケースが含まれるテストスイート名をクリックします。すると、右側にテストケースとその結果の登録ボタンが表示されます。ここで、以下の3項目のいずれかを選択し、⁠実行を保存]ボタンをクリックすると、テスト結果を登録することができます。

    成功:実際の操作結果が期待結果どおりだったことを表します。
    失敗:期待結果どおりに動作しなかった、
  • もしくは予想外の副作用が発生したことなどを表します。
    ブロック:他のテストケースの失敗により、そのテストケースが実行できなかった(実行をブロックされた)ことを表します。
  • また、⁠備考 / 説明」の欄にメモを残すこともできますし、実行結果のキャプチャ画面などを添付ファイルとして保存することもできます。


    なお、テスト結果を表示する際に、ツリーの上方にあるフィルターを適用することで、特定のテストケースのみを表示させることができます。特に、複数のビルドがオープンされている場合は、結果を登録するビルドを選択してフィルターを適用してから、結果を登録するように注意してください。

    まとめ

    今回は、テストの実行および結果の登録について説明しました。最終回となる次回は、TestLink上でテスト結果の分析およびレポート作成を行っていく予定です。

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