テストリーダへの足がかり,最初の一歩

第1回 テスト計画(前編)

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柏田マネジャーが退席し,会議室には大塚先輩と中山君の二人きりになりました。中山君はリーダという大きな仕事を与えられたことに興奮さめやらぬといった感じです。

大塚先輩:
「中山君と一緒に仕事をするのは,これが初めてだよね。よろしく。」

大塚先輩は怖いというイメージをもっていた中山君でしたが,実はいい人なのかもしれません。

中山君:
「よろしくお願いします!」

大塚先輩:
「じゃぁさっそくだけど,まずは,テスト計画を作ってみよう。」

中山君:
「テスト計画ですか?」

大塚先輩:
「計画は作ったことある?」

中山君:
「⁠⁠うっ!)ま,まあ,少しぐらいは……」

大塚先輩:
「じゃぁ,大丈夫だ。やってみよう。えーと,いつまでにできる?」
中山君:
「3日後ぐらいにはできると思います。」

大塚先輩:
「3日後か……。わかった。計画書ができたら俺のところに持ってきてね。」
中山君:
「はい!メイっぱい頑張ります!」

自分の席に着いた中山君。先ほどとは打って変わって何か様子がおかしいようです。案件概要書をパラパラとめくっては,ときどきため息をついています。

実は中山君,計画なんて作ったことがありません。大塚先輩にいいところを見せようと,つい作ったことがあるなんて言ってしまったのです。それに加え,友人たちからは計画性が無いと言われることもあります。テストに限らず「計画」には自信がありません。

中山君:
(困ったなあ。どうしよう。)

今までの仕事でも,一応,テスト計画書というのがありましたが,多くの場合「計画」どおりにテストを終了できたことはありません。そのため,中山君はテスト計画なんて「単なる飾り」だと思っていました。ですから,今までテスト計画書をまじめに読んだことがありません。

中山君:
(なんで計画書なんて書くんだろう? どうせテストを実施する時には使われないのに無駄な作業だよなぁ。早くテストケースを書いてテストやった方がプロジェクトのためになるのに)

しかし,3日後にテスト計画書を大塚先輩に見せる約束をしています。作らないわけにはいきません。

中山君:
(前のプロジェクトで使ったテスト計画書が参考になるかなあ)

ちょうど,前の仕事で使った資料を整理していたところです。少し探してみると,テスト計画書とおぼしきものが出てきました。

中山君:
「よし,これを参考にして作ろう!」


今回はリーダという大役です。待ち望んでいた大きな仕事です。泣き言は言っていられません。とりあえず,わからないながらも机に向かったのでした。作業フロアには,3日間必死になって取り組む中山君の姿がありました。


著者プロフィール

鈴木三紀夫(すずき みきお)

1992年,(株)東洋情報システム(現TIS(株))に入社。複数のエンタープライズ系システムの開発に携わり,現在は社内のソフトウェアテストに関するコンサルタントとして活動中。ASTER理事,JaSST実行委員,JSTQB技術委員,SQiPステアリング委員 他。

著書


池田暁(いけだ あきら)

2002年日立通信システム(現日立情報通信エンジニアリング)に入社。設計,ソフトウェア品質保証業務を経て,現在は開発に関する設計/テストツールの導入や,プロセス改善に関する業務に従事。ASTER理事,JaSST実行委員,品質管理学会・ACM正会員。

著書