テストリーダへの足がかり,最初の一歩

第2回 テスト計画(後編)

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テストの定義とテストの範囲

大塚先輩:
次に,どんなテストをするつもりなんだい?

中山君:
えっ? 普通のテストですけど…。特別何か変わったテストをするつもりはありません。
大塚先輩:
コンポーネントテストなの? システムテストなの?

中山君:
システムテストです。

大塚先輩:
じゃぁ,システムテストの定義は?

中山君:
みんながやっているテストと同じことを今回もやろうとしています。新しめのテクニックとか使うつもりはありません。
大塚先輩:
…質問を変えよう。どの範囲をテストしようと思っている?
中山君:
範囲ですか? 仕様書に書かれている範囲をテストしようと思っています。
大塚先輩:
仕様書に書かれていたら,全部やるのかな?

中山君:
全部はできません……。 何となくわかってきました。そういうことなんですね。

テストの定義

テストレベルやテストそのものについての定義を計画書に記述するかどうかは,プロジェクトによって異なります。所属している会社やプロジェクトでテストプロセスなどの標準が定義されていれば書かなくてもいいかもしれません。

しかしながら,多くのパートナー企業と一緒にテストをする場合には,意識をあわせるために定義を記述するべきです。まだ経験が少ない場合,テストの定義を意識することはないかもしれませんが,ほとんどの場合その認識は人や企業により異なります。しっかりと意識を合わせることは非常に大切なことです。

テストの範囲

行うべきテストの定義が決まったら,テストの範囲を決める必要があります。テストする機能とテストしない機能を明らかにしなければいけません。また,ソフトウェアとハードウェアの範囲,他システムとの範囲など決めておかなければならないところはたくさんあります。仕様書に書かれていないような範囲もありえますので,これもしっかりと決めておきましょう。

計画書を読ませるターゲット

大塚先輩:
ところで,この計画書を読んでもらう相手は誰なの?

中山君:
大塚先輩です。

大塚先輩:
そうじゃなくて,誰のために書いたの?

中山君:
特に決めていません。強いて言えば,みんなのためになります。

大塚先輩:
みんなって誰になる?

中山君:
プロジェクトのメンバー全員です。

大塚先輩:
プロジェクトのメンバーだけでいいの?

中山君:
えっ? プロジェクト以外のメンバーがいるんですか?

計画書のターゲット

よほど特殊な事情がない限り,プロジェクトの成果物となる文書は誰かに見せるために書きます。このテスト計画書も同じです。誰かに見てもらうために書いています。この文書がお客様に提出する計画書なのか,それとも自社の管理のために使用する計画書なのかによって,記述内容は変わります。自社向けならば,細かいコストの話が入ってきますし,参画メンバのスキルによってはトレーニング計画も必要になります。

誰のために作成するのかを意識して,必要となる記述内容を考えましょう。

テスト環境とは?

大塚先輩:
ところで,このテストどこでやるんだ?

中山君:
お客様が指定された場所だと思いますが。

大塚先輩:
そうじゃなくて,ソフトウェアが実装されている環境だよ。テスト環境のこと。
中山君:
テスト環境? あまり意識していなかったんですけど…。

大塚先輩:
環境が特殊だと,その準備にいろいろと手間がかかるだろう。事前にどのような環境なのか整理しておかないと計画の精度が落ちるよ。
中山君:
えっ? ただテストするだけなのに,そんなことまで考えるんですか?

テスト環境

テスト計画時には,どのような環境でテストをするのかを把握しておく必要があります。サーバのスペックや実行環境などを調査し記述します。ネットワークなどの情報も押さえておきます。場合によっては,機器の台数やソフトウェアのライセンス数など細かいレベルで情報を押さえます。なぜなら物理的な台数によって"同時にテストできる人員数"が変わったりするからです。それ以外にも多様な影響が考えられます。

著者プロフィール

鈴木三紀夫(すずき みきお)

1992年,(株)東洋情報システム(現TIS(株))に入社。複数のエンタープライズ系システムの開発に携わり,現在は社内のソフトウェアテストに関するコンサルタントとして活動中。ASTER理事,JaSST実行委員,JSTQB技術委員,SQiPステアリング委員 他。

著書


池田暁(いけだ あきら)

2002年日立通信システム(現日立情報通信エンジニアリング)に入社。設計,ソフトウェア品質保証業務を経て,現在は開発に関する設計/テストツールの導入や,プロセス改善に関する業務に従事。ASTER理事,JaSST実行委員,品質管理学会・ACM正会員。

著書