書籍概要

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

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更新日

概要

  • 「利用規約なんてどうせ読まれないし」
  • 「まるごとパクればいいんじゃないの」
  • 「免責しとけばなんとかなるよ」

と思ってませんか?

本書は,多くのベンチャー企業の支援を通じてウェブサービスに関するリーガルサポートを数多く手がけている弁護士と,スタートアップ企業から上場企業までさまざまな規模・業態の企業でウェブサービスの運営をサポートしてきた法務担当者2人が,その経験をもとに,「ウェブサービスを安全に・円滑に運営するために本当に気を配る必要のある事項」をわかりやすく解説。

ウェブサービスを守るために欠かせない「利用規約」にととまらず,関連する以下のトピックも取り上げています。

  • サービスを通じてプライバシー情報を取り扱う際に重要となる「プ ライバシーポリシー」
  • 有償でサービスを提供する際に表示すべき「特定商取引法に基づく 表示」
  • ウェブサービスに関する法規制の必須知識

各種ドキュメントのひな形つきで,すぐに使えて応用できます。

さらに特別付録として,利用規約とプライバシーポリシーのひな形の英訳も収録。

ウェブサービスに携わるエンジニア,ディレクター,プロデューサー,経営者に欠かせない1冊!

こんな方におすすめ

  • ウェブサービスに携わるエンジニア,ディレクター,プロデューサー,経営者の方

著者から一言

ウェブサービスやスマートフォンアプリで成功するために必要なことはなんだと思いますか?

「ライバルよりも早くリリースすること」
「オンリーワンのコンテンツであること」
「使いやすいUIが備わっていること」

たしかに,それらの要素は,いずれも成功を勝ち取るために重要な「武器」であり,不可欠であることはまちがいないでしょう。
しかし,ユーザーとの間でトラブル・訴訟が発生した場合には,これらの「武器」だけでは,成功への道を進むことはできません。ウェブサービスやアプリを大きく成長させるためには,「防具」を使いこなして,上手に守ることもまた重要なのです。そして,本書が取り上げている利用規約は,強力な「防具」となりうる存在です。
もっとも,利用規約という「防具」をしっかりと機能するように作るのは,じつはかんたんなことではありません。なぜなら,サービスやアプリの内容によって考慮しなければならない要素が多種多様であるから,そして何より,利用規約の作り方についてのまとまった情報が驚くほど少ないからです。現状では,プログラミング言語の解説や,サーバ構築に関するノウハウ,クラウドサービスの利用方法などの情報と比べると,利用規約に関する情報は,質の面でも量の面でも,雲泥の差です。
その一方で,弁護士に依頼したり法務担当者を採用することにあまり積極的でないベンチャー・中小企業などでは,しばしば,先行する類似ウェブサービスの利用規約を,その意味も理解しようとせずに,そのまま文言だけパクってリリースしてしまうという光景をよく目にします。
その結果,せっかくリリースしたサービスが,利用規約の内容が不適切であったり,トラブルをスムーズに解決できなかったために,継続できなくなってしまうことも実際に少なからず起こってしまっています。そのような悲劇は,きっとこれからも繰り返されてしまうことでしょう。これはあまりにもったいないことです。

私たちは,このような状況を打破する第一歩として「この1冊を読め
ば,利用規約について検討すべきことがひと通りわかる」,そんなエンジニアや経営者のためのガイドブックを作りたいと考え,本書を書きました。
本書のタイトルは『良いウェブサービスを支える利用規約の作り方』ですが,本書のコンテンツは,文字どおりの「利用規約」を中心としながらも,以下の情報もできるだけ盛り込んでいます。

  • サービスを通じてプライバシー情報を取り扱う際に重要となる「プライバシーポリシー」
  • 有償でサービスを提供する際に表示すべき「特定商取引法に基づく表示」
  • ウェブサービスに関する法規制の必須知識

第1章では,これらを含む利用規約の概要がつかめます。
第2章では,起業家と弁護士の相談を例に,より具体的なポイントを押さえていきます。
第3章では,利用規約のひな形をベースにして,第2章で学んだポイントを実践するための方法がわかります。
第4章では,それでもハマってしまいがちな落とし穴・注意点をフォローしています。 また,本書は「法律の条文にはこう書いてある」をスタート地点とする法律書と違い,「ウェブサービスにおいてトラブルはこういう場面で起こる」をスタート地点にしています。このスタンスは,執筆者,つまり,多くのベンチャー企業の支援を通じてウェブサービスに関するリーガルサポートを数多く手がけている弁護士と,スタートアップ企業から上場企業までさまざまな規模・業態の企業でウェブサービスの運営をサポートしてきた法務担当者2人が,その経験をもとに,「ウェブサービスを安全に・円滑に運営するために本当に気を配る必要のある事項」をピックアップすることで可能になりました。
もし,私たちが,この本を手にした方から「特に重要な場所を教えて」と尋ねられても,うまく答えることができないと思います。それほどに,本書に書かれている内容は,どこも,すべて,例外なく重要なものであると考えています。

本書を手に取った方が作り上げたウェブサービスやアプリが無事リリースされ,成長し,そして多くの人に愛される。

そんなストーリーを,本書を通じて少しでもお手伝いすることができたとしたら,私たちにとってこれ以上の喜びはありません。

目次

はじめに

第1章 3大ドキュメント超入門

5つの疑問から読み解く「利用規約」ホントのところ

  • 1 なぜユーザーに読まれないのか?
  • 2 読まれないのに,なぜ必要なのか?
  • 3 都合のいい内容にしてしまって大丈夫なのか?
  • 4 適当に作っていいのか?
  • 5 どのくらいのレベルで,同意をもらえればいいのか?

最低限おさえておくべき「プライバシーポリシー」のポイント

  • プライバシーポリシーの2つの役割とは
  • プライバシー=個人情報?
  • 対象となるのはどんな情報?
  • 利用目的は具体的に特定し,明示しなければならない
  • 個人情報を第三者に提供するときはポリシーに明記し同意を取る
  • 委託先への開示も明示しておく
  • 個人情報を共同利用するときに配慮すべきこと
  • 開示や訂正などの請求に関連する情報はどう扱えばいいか
  • どこに設置すればいいか

有料サービスや商品販売に不可欠な「特定商取引法に基づく表示」とは

  • 「広告を行う際に表示すべき項目」なのにウェブサービスで対応が求められる理由
  • 表示が求められる11の事項
  • じつは通信販売にはクーリングオフがない
  • コラム 一定の条件を満たすとより厳しい規制の対象となることも

第2章 トラブル回避のための注意点と対応策

ある起業家から弁護士への相談

規制とうまくつきあうには

  • ビジネスを潰さず,最小限のリソースで対応するための考え方
  • ウェブサービスの7つの類型からわかる関連規制
  • もしも規制に抵触するかもしれないことがわかったら
  • 規制の適用を過度に恐れない

戦う土俵は「日本」とは限らない ~準拠法と裁判管轄の合意

  • 世界を相手にできるウェブサービスならではの問題が
  • トラブルを予防するためにおさえておくべき2つのポイント
  • 「モノ」を売買するサービスで注意しなければならないこと
  • コラム 日本以外の国ではサービスが違法になる可能性もある

そのサービス名,使って大丈夫ですか? ~商標権

  • 人の商標権を侵害するとどうなるのか?
  • 商標権を侵害しないサービス名をつけるには
  • 後出しじゃんけんに負けることも

プラットフォームの利用・運営にまつわるリスクに対処する

  • プラットフォームの規約の3つの特徴
  • 企画するときは「独占禁止」に注意
  • プラットフォーム規制の3つの事例

ユーザーがコンテンツをアップする場合の「権利処理」のポイント

  • 「勝手に使うな,改変するな!」と言われないために
  • コンテンツの権利関係5つのパターン
  • コンテンツの権利を処理する3つのパターン
  • コラム 譲渡のパターンで「著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます」を入れる理由
  • どのパターンでも「著作者人格権」のケアが必要

「権利侵害コンテンツ」にはどう対応するか

  • 「ユーザーが勝手にやったこと」ではすまされない
  • 申告がまちがっていたときの対応も視野に入れておく
  • もしも「発信者情報開示請求書」を受け取ったら
  • コラム 発信者の情報をできるだけ開示しないほうがいい場合
  • コラム 権利侵害と思われる投稿情報は柔軟に削除できるようにしておく

規約を成立させるための「同意」の取り方

  • 同意を得ないと契約として成立しない
  • クリックにできる限り「重み」を持たせる
  • 「同意したくないユーザーに拒否権を与える」方法も
  • 利用規約への同意取得5つのパターン
  • 利用規約を変更したときの同意にも注意
  • 過去のバージョンもすぐに確認できるようにしておく
  • コラム 変更同意はライトな感覚で考えられている

最も登板機会の多い「エース」禁止事項とペナルティの考え方

  • “ユーザー対応の工数を削減する”ためにも有用
  • 「ちょうどいいペナルティ」は3段階で考える
  • 「当社がNGと判断した場合」は入れておこう
  • コラム 同業他社の禁止事項に学ぶ

課金サービスでは「契約関係」の整理・把握が不可欠

  • だれに対して,どのようなウェブサービスを提供しなければならないのか
  • だれからお金を支払ってもらうのか
  • 契約関係を図に落としてみると

ウェブサービス事業者に有利すぎる条件は危ない ~免責と消費者保護

  • 「一切責任は負いません」は無効になる可能性あり
  • 消費者を保護する法律はたくさんある
  • コラム クレーム対応と契約無効のあいだ

ポイント・仮想通貨を扱うならば「資金決済法」の理解が必須

  • 資金決済法が適用される3つの要件
  • 「有効期限を6ヶ月以内」と定めていることが多い理由
  • 「自家型」と「第三者」に分けて規制が定められる
  • 負わなければならない4つの義務

未成年者による利用と課金に対処するには

  • 多額の請求が来てはじめて気づく親は少なくない
  • 課金スタンスと年齢認証の方法を考える
  • 未成年者取消に応じなくていい場合とは
  • 返金にあたっては,慎重な確認プロセスを

ユーザーのサービス利用履歴は,どこまで利用していいか

  • 個人情報を無断で利用してはいけないことはだれでも知っている……けれど
  • 個人情報の範囲はあいまいで,しかも広く解釈される可能性が
  • 個人情報に該当しない情報も自由に利用できるわけではない
  • 結局,利用履歴を利用するにはどうすればいいの?

ウェブ上での広告・マーケティングに対する規制

  • 媒体審査なしで世の中に広告を出せてしまう怖さ
  • おさえておくべき9つの法規

広告メールを送付する際に注意すべきこと

  • 広告メールの送付にまつわる2つの規制
  • 「事前の同意」をどのように取得すればいいか
  • 総務省と経済産業省のガイドラインもチェック

第3章 すぐに使える・応用できるひな形

利用規約のひな形

プライバシーポリシーのひな形

特定商取引法に基づく表示のひな形

第4章 ダメな利用規約を生み出す「3つの落とし穴」を回避する

  • その1 実効性の落とし穴
  • その2 違法性の落とし穴
  • その3 同意取得の落とし穴

おわりに 心に残る不安を解消するには

  • 一人で考えこむよりも,まわりを巻き込む
  • 弁護士・法務担当者の3つのホンネ
  • 利用規約の限界を乗り越えるための「Kiyaku by Design」

特別付録 ひな形英文訳

参考文献・URL

サポート

ダウンロード

本書をご購入いただいた方は、第3章に掲載してある利用規約・プライバシーポリシー・特定商取引法に基づく表記のひな形のデータを以下よりダウンロードいただけます。

ご購入の証明として,以下に表示される本書内の特定箇所の文字列をキーワードとして入力してください。

kiyaku_template.doc(77KB)

正誤表

本書の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます(特に明記のないものは第2刷にて修正済み)。

(2017年4月24日最終更新)

P.15 4行目

この規定でリンクされている旅行業法第12条の4第2項および同法第12条の5第1項には、
この規定からリンクされている旅行業法第12条の5には、

P.15 下から3行目

本来は旅行業法第12条第1項(前半の規定により)、
本来は旅行業法第12条の5第1項(前半の規定により)、

P.16 7行目

旅行業法第12条第2項の「旅行者の承諾を得」、
旅行業法第12条の5第2項の「旅行者の承諾を得」、

P.41 下から7行目

キャンセル料や梱包量などが該当します。
キャンセル料や梱包などが該当します。

P.45 表脚注

※ただし、法第15条の2
※ただし、法第15条の2により、返品特約の表示のない場合は、ユーザーは購入してから8日間は、ユーザーの費用負担で返品できる

P.61 下から2行目

「ウィーン売買条約を適用しない」旨の規定を入れておくと
「国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用を排除することに合意する」といった規定でウィーン売買条約の適用を排除しておくと

P.73 13行目

コンテンツが特許権・実用新案権・意匠権・商標権を備えていれば、
ウェブサービスが特許権・実用新案権・意匠権・商標権を備えていれば、

P.83

http://www.telesa.or.jp/gdeline/
http://www.telesa.or.jp/guideline/

P.92

図2-3
図2-2

P116・下から2行目

例を挙げると、自家型前払式支払手段となります。
削除

P.135 16行目

レジストラやJPNICは、
レジストラやJPRSは、

P.139 表2-4

右側の列の「全部表示しないとき」の「返品特約(返品の可否…送料負担の有無)」の行を含む以下がすべてズレていました。

省略できる/省略できない/省略できる/省略できる/省略できない/省略できる/省略できる/省略できない/省略できない/省略できない
省略できない/省略できる/省略できる/省略できない/省略できる/省略できる/省略できない/省略できない/省略できない/省略できない

P.168 1行目 ※第4刷にて修正予定

ます。
同意いただいた内容に基づき、以下の情報を当該外部サービスから収集します。

P.234

押し売り
押し買い

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