概要
14万部のベストセラー『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』の著者・吉田拳氏による待望の続編!
「同じ作業を毎週繰り返しこなすだけで,仕事が終わってしまう……」
「大量のデータを扱うので,ミスが絶えない……」
といった悩みを解決するのは,Excel作業の効率化ではなく,Excelの作業そのものを自動化して,ゼロにしてしまうこと。そんな“究極の効率化”を実現するために必要なマクロ・VBAのポイントと,毎日の業務を瞬時に終わらせるしくみの作り方を教えます。
こんな方におすすめ
- 大量で繰り返しの多いExcel作業によるミスや時間の浪費をゼロにしたい方
著者から一言
「5時間かかる作業が3時間でできます」ではなく「1秒で終わらせます」へ
猛スピードで長時間がんばって作業している割にはたいした成果を出せないこと,ありませんか?
「すばやくショートカットを使いこなして華麗にExcelを操作!」
「ピボットテーブルを駆使して大量の資料作成をこなす!」
「ほかの人なら5時間かかる作業が,私なら3時間でできます!」
キーボードやマウスをスピーディに操って仕事をしている姿はかっこいいものです。しかし,そうした手元の操作スピードにはさほどの価値がないといったら,どう思われるでしょうか?
もちろん,メールや書類などで文章を書くときのタイピングは,やはり速いほうが絶対にいいです。ブログでもSNSでもいいのですが,日常的に文章を書いてアウトプットすることを習慣づけることを私の生徒さんやクライアントの皆様にはおすすめしています。タイピングのスピードが上がるだけなく,思考を文字化することで思考が具体化され,その結果行動が変わり,成果も変わるという法則があります。スマホのフリック入力でも思考の文字化はできますが,やはり仕事でパソコンと向き合う時代はもうしばらく続くでしょうから,パソコンでの文章入力にはぜひ慣れておきたいものです。入力作業では,作業スピードは大事です。
一方,たとえば以下の指示を受けたらどうでしょうか。
「このExcelシートに10000社の会社名リストがある。各社のデータをそれぞれ格納するフォルダを10000個作りたい。今から5分以内に10000個のフォルダを作って,その1つ1つにここにある社名を付けていってくれない?」
どんなにすばやく作業しても,この作業を5分で終えるのは不可能です。こうなると,もう手元の作業スピードの差などまったく意味がなくなります。
少し極端な例だったかもしれませんが,猛スピードで長時間がんばって作業している割にはたいした成果を出せていないケースはたくさんあります。
「自動化」によって手元の操作スピードの差など意味がなくなる
そんな問題を解決するキーワードがあります。それは「自動化」です。
たとえば,先ほどのExcelのリストどおりに10000個のフォルダを作る作業。Excel作業を自動化するテクニックを覚えれば,こんな作業は準備に1分,実行はじつに1秒で瞬殺できてしまいます。
バラバラのたくさんのファイルを1つずつ開いてはデータをまとめていくような,手順がややこしくてまちがえやすい面倒な作業に,「よし,コツコツがんばろう」と腰を据えて真面目に取り組み始めてはいけません。「ほかの人なら5時間かかる作業が,私なら3時間でできます!」と豪語しても,
「え,3時間もですか!? それ,1秒で終わるようにできますよ」
ということになるからです。
「本来なすべき仕事に時間を割けない状態」から抜けだそう
私がさまざまな企業の業務改善コンサルタントとして仕事をしている中で,Excelがネックとなってあちこちで発生しているのが
「長時間作業に時間を取られて,本来なすべきもっと大事な仕事に時間を割けない状態」
に社員の方々が苦しんでいる悲劇です。
私たちが仕事のために割いているのは,「時間」です。私たちに与えられた命の時間が有限であるのは言うまでもなく,お勤めの方であれば定年というリミットもあります。仕事に割いている時間は命そのものなのですから,最大限,より大事な仕事のために割いていただきたいのです。
時間のかかる単純作業は,Excelに任せることができます。ただ,それには「Excel作業の瞬殺自動化」のテクニックが必要です。具体的には「マクロ」という機能を活用するのですが,「従来の本では,何冊読んでもなかなかわからない」「仕事に活かすことができない」という声をたくさんいただいてきました。
その要望に応え,まずは「どうしたら実務を効率化できるか?」という点からブレることのないように内容を磨き上げた研修を100回以上開催し,1000名以上を指導してきました。さらに,これまで200件を超えるExcelマクロの受託開発をこなして,実績とノウハウを積み上げてきました。その成果を凝縮したのが,この本です。大変ご好評をいただいた前作『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』(技術評論社)ではお伝えしきれなかったこの「Excel作業の瞬殺自動化」があなたにも絶対確実にできる……そんな状態になっていただくことをお約束します。
本書の使命
本書が解説する具体的な内容は,Excel作業を自動化するためのプログラミングと実務での具体的な活用法です。そして本書の使命は,「すべてのExcel作業を行うデスクワーカーが当たり前にマクロを使いこなしている状態の実現」です。そうなれば日本のGDPに影響を与えるレベルで国益に資することができる ―― それほど,Excelマクロによる効率化のインパクトはとてつもなく大きいものなのです。
決して読者の皆様にプログラミングの専門家になっていただくことが目的ではありません。そのため,あくまでも「すぐに実務で使えるようになる」……その結果,みなさんの仕事がラクになり,生産性が上がり,評価も上がる……ここからブレることなく,一般的な実務ではなくても困らない専門知識やプログラマー的なこだわりは極力削ぎ落し,必要最低限の内容に絞り込みました。
その分,紙面の都合で割愛した内容は,以下のWebサイトにて補足する形式を取っています。
http://sugoikaizen.com/excelvba/
現場での作業は千差万別ですよね。「このような作業は,どのように自動化する?」そんな疑問が際限なく出てきます。そうした疑問や悩みにこたえるサンプルやケーススタディは随時,上記Webサイトに追加して参ります。
「だれでも確実にできるようになります」それを証明する事例
「プログラミングは非常に敷居が高い」と感じてらっしゃる方は多いのですが,Excelの場合は非常にとっつきやすいものになっています。何しろ,普段から日常的に使用されているExcelを効率化するための手段ですから,かんたんでなければならなかったのです。決して専門家にしか使いこなせないものではありません。
たとえば,京都で税理士をされている近藤学さんは,「中小企業の会計作業の煩雑さをなんとか解消できないか?」と考えていらっしゃいました。そこで目をつけたのが,そうした会計用のExcel作業の自動化です。そして,Excelのプログラミングの学習を開始されました。
それから,わずか半年後。一般向けに発売できるほどの会計作業自動化Excelを作り上げ,現在も実際に「資金繰り予報士 こがねむしクラブ」という名称で販売されています。そして,多くの中小企業の会計作業の効率化に貢献されていらっしゃるのです。
また,本書の原型となったExcelマクロ研修を受講した新入社員の方が,「社内のさまざまなExcel作業を自動化するツールを次々に作成して,会社の生産性向上に寄与している」という報告を上司の方からいただくなど,極めて短期間で実践で成果を上げている事例もあります。彼らも,プログラミングはまったくの初心者でした。このような事例からもわかるように,やればだれでもできるものなのです。
「3日かかっていた作業が,1秒で終わるようになる」
そんなことが増えれば,当然会社は変わります。それが当たり前で日常的である,そんな日本のビジネス社会にしたいのです。
単純作業に苦しんでいたのが,よりやりがいのある仕事に全力を注げるようになる。
大量作業をこなすだけの辛い残業がなくなる。
高い成果を上げられるようになり,仕事が劇的に楽しくなる。
そうすれば,人生までもが変わります。本書がその一助となれば幸いです。