概要
好評につき重版してきた『プロになるためのLinuxシステム構築・ 運用』が, 最新版のRed Hat Enterprise Linux(ver.7)に対応し全面的な改訂を行った。これまでと同様に懇切丁寧にLinuxのシステムを根底から解説する。そして運用については, 現場で得られた知見をもとに「なぜそうするのか」といったそもそも論から解説をしており, 無駄なオペレーションをせずに実運用での可用性の向上をねらった運用をするためのノウハウをあますことなく公開した。もちろん, systemdもその機能を詳細にまとめあげている。
こんな方におすすめ
Linuxシステム管理者 サーバ管理者, ネットワーク管理者など
著者から一言
Linuxの知識とスキルは, 私のエンジニア人生にさまざまな感動と喜びをもたらしてきました。本書のタイトルに興味を持って, 今この文章を読んでいる皆さんも, きっと私と同じ思いと志を持っていることでしょう。本書と共に, ぜひ一歩進んだ「プロのLinuxエンジニア」を目指してください。
補足情報
『ITエンジニアのための機械学習理論入門 』も中井悦司さんの著書です。機械学習に興味のある方はぜひご一読ください。中井悦司(なかいえつじ) 1971年4月大阪生まれ。ノーベル物理学賞を本気で夢見て, 理論物理学の研究に没頭する学生時代, 大学受験教育に情熱を傾ける予備校講師の頃, そして, 華麗なる(?)転身を果たして, 外資系ベンダーでLinuxエンジニアを生業にするに至るまで, 妙な縁が続いて, 常にUnix/Linuxサーバーと人生を共にする。
その後, Linuxディストリビューターに籍をおいて, 企業システムでのLinux/OSSの活用促進に情熱を燃やす日々を過ごしながら, 雑誌記事や書籍の執筆にも注力。Linux/OSSによる業務アプリケーションの開発から, 全国の小売店舗で稼働する10,000台以上のLinuxサーバーの運用サポート, プライベートクラウドの設計・ 構築まで, さまざまなプロジェクトを通して身につけた, 「プロの心構え」を若手エンジニアに伝えるために苦心の日々。
最近は, 機械学習の数学的背景など, データサイエンスの基礎知識の啓蒙にも活動範囲を拡大。大手検索システム企業にて顧客への機械学習の理解と導入を促すため, ソリューションアーキテクトとして活躍中。休日は, ロシア文学と哲学書を読みながら, ピアノジャズを楽しむはずが, 今はなぜか, 小学2年生の愛娘とスポーツクラブのプールに通う, 近所で評判の「よいお父さん」。「世界平和」のために早めの帰宅を心がけるものの, こよなく愛する場末の飲み屋についつい立ち寄りがちな今日このごろ。
目次
第1章 Linuxサーバーの構築
1.1 サーバーハードウェア
1.1.1 ハードウェアから見たOSの役割
1.1.2 サーバーハードウェアの基礎
1.1.3 ブートローダーと初期RAMディスク
1.1.4 UEFIでのGRUB2の動作
1.2 Linuxの導入作業
1.2.1 導入前の準備作業
1.2.2 導入作業の実施
1.3 導入後の基本設定作業
1.4 キックスタートによる自動インストール
1.4.1 サーバーデプロイメントの考え方
1.4.2 キックスタートの仕組み
1.4.3 キックスタートサーバーの構築
第2章 Linuxサーバー運用の基礎
2.1 システム監視
2.1.1 システム監視の目的
2.1.2 システム監視の方法
2.2 バックアップ
2.2.1 バックアップの種類と方式
2.2.2 データバックアップの機能
2.2.3 システムバックアップ
2.3 セキュリティ管理
2.3.1 psacctの利用方法
2.3.2 PAMの利用方法
2.3.3 よく利用されるPAM設定例
2.3.4 SSHの利用方法
2.4 構成管理・変更管理・問題管理
第3章 Linuxのストレージ管理
3.1 ストレージエリアネットワークの基礎
3.1.1 SANの概要
3.1.2 SANストレージの機能
3.2 LVMの構成・管理
3.2.1 LVMの概要と基本操作
3.2.2 LVMの高度な操作
3.3 Device Mapper Thin-Provisioningの活用
3.3.1 dm-thinの動作原理
3.3.2 シンプロビジョニングの利用方法
3.4 iSCSIの活用
第4章 Linuxのネットワーク管理
4.1 IPネットワーク
4.1.1 IPネットワークの基礎
4.1.2 ネットワークアーキテクチャー
4.2 Linuxのネットワーク設定
4.2.1 ネットワークの基本設定
4.2.2 チームデバイスによるNICの二重化
4.3 高度なネットワーク設定
4.3.1 ソケット通信
4.3.2 TCPセッションのタイムアウト時間
4.3.3 利用可能なソケット数の上限
第5章 Linuxの内部構造
5.1 プロセス管理
5.1.1 プロセスシグナルとプロセスの状態遷移
5.1.2 プロセスのリソース制限
5.1.3 systemdによるプロセスの起動処理
5.2 メモリー管理
5.2.1 x86アーキテクチャーのメモリー管理
5.2.2 ディスクキャッシュとスワップ領域
5.2.3 物理メモリーの割り当てロジック
5.3 ファイルシステム管理
5.3.1 ファイルシステムの基礎知識
5.3.2 ext4/XFSファイルシステムの利用
5.3.3 NFSのデータバッファリング
第6章 Linuxサーバーの問題判別
6.1 問題判別の基礎
6.1.1 問題判別の考え方
6.1.2 システム構成情報の収集
6.1.3 システムログの収集
6.1.4 コマンドによる情報収集
6.2 カーネルダンプの取得
6.2.1 カーネルパニックとカーネルダンプ
6.2.2 カーネルダンプの設定
6.3 パフォーマンスの問題判別
6.3.1 パフォーマンスの問題とは
6.3.2 CPUのボトルネックの判別
6.3.3 ディスクI/Oのボトルネックの判別
6.3.4 メモリー使用量の問題の判別
6.3.5 ネットワーク通信速度の問題の判別
6.3.6 プロセス情報の確認
6.4 緊急モードによる障害対応
サポート
正誤表
本書の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに, ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
P.81 「shadow ファイルのパスワードポリシーの利用」
MAX_DAYS と MIN_DAYS の記述が誤って入れ替わっています。
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