概要
昨今は, Pixiv, twitterもアニメに対応し, TVや動画だけでなく, 静止画を動かして魅力的に見せるなど, アニメーションが身近なものになりつつあります。本書は「CLIP STUDIO PAINT PRO/EX」を使ったアニメの制作技法をていねいに解説。著者には「ジョジョ」「ガッチャマン」などを手がけるアーティスト・ 吉邉尚希氏を迎え, 独自の技法を公開。得意とするエフェクトで今っぽさを出するコツなど, 動きの制作方法, タイムラインパレット, ライトテーブル機能, 動かすためのテクニックを解説します。自分の絵でアニメを作ってみたい人, インターネットや同人で活動している人などこれからの「クリエイター」に向けた1冊です。
こんな方におすすめ
描いたイラストでショートアニメを作ってみたい人 インターネットや同人で活動している人 イラストがうまくならない人
著者から一言
「アニメーション」とひと口に言ってもその表現は多岐に渡ります。
アニメだけがアニメーションではなく, 日ごろよく目にするCMなどでのロゴのちょっとした動きから, スマートフォンのユーザーインタフェースやアイコンを押したときの動きなど「モーション」と呼ばれる表現も一種のアニメーションといえるでしょう。
この本は「アニメの技術書」ではなく, 敢えて「アニメーション表現の入門書」となるよう心掛けました(とはいえ, キャラクター表現に寄ったものではありますが)。アニメーションについてさまざまな表現や方法論があるなかで, 教わり, 実践して培ってきた「動きを創る」うえでの基本的な考え方やコツを, “あくまで自分が”語り得る範囲で執筆しています。
“あくまで自分が”と前置きしたのは, アニメーションに「セオリーはあっても正解はない」と考えているからです。
アニメーションに関連するものだけでもさまざまな本があり, 先生や師匠, 上司によって言うことが違うといったこともあるでしょう。
しかし, おそらく一様に, そして自分も同様に口にする大前提があります。
それは, 「アニメーション(動き)を学ぶということは, 自然界や物理の理を知るということであり, 観察こそが第一歩である」ということです。
たとえば, ボールが跳ねる動きについて理解するにはボールが跳ねる様子を観察するのがもっとも早いです。しかし, ボールが跳ねる動きの描き方を方法論として頭に入れておくことは, 手を動かす際の助けになりますし, 一度知識として蓄積していくことによって, 観察しなくても動きを「想像」することができるようになっていきます。
――観察と知識と実践。
とにかく目で見て, さまざまな人の表現を研究し, 話を聞き, 読み, そして, なにより実際に手を動かして試してみながら自分に合った正解を探していくことが大切です。これは, アニメーションに限らず「何か表現をする」うえでの大前提になるかと思います。
この本が, そういった助けの入り口のひとつになれたなら幸いです。
吉邉尚希(よしべなおき) アニメーター。
東京工芸大学芸術学部アニメーション学科卒業後, フリーランスとしてTVアニメーションを中心に原画等で参加。
2011年有限会社神風動画に入社。ディレクター・ 絵コンテ・ 作画・ CGアニメー ション・ コンポジット等多岐に渡って従事する。
『ジョジョの 奇妙な冒険 Part2 戦闘潮流』, 『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』, 『GATCHAMAN CROWDS』『GATCHAMAN CROWDS insight』といったアニメー ション作品のオープニング, 上坂すみれ『革命的ブロードウェイ主義者同盟』, Sound Horizon『よだかの星』のミュージックビデオなどではディレク ターも務める。
2016年有限会社神風動画を退社。フリーランスとして創作活動をしている。
原稿執筆に『月刊MdN 2015年 11月号』(特集:エフェクト表現の物理学 爆発と液体と炎と煙と魔法と)がある。
Twitter:@yotube