概要
定番から地方ルーツのおでん,お酒にも合う大人が喜ぶおでんも!
おでんでんでん♪ 思い出とともにおでん。いろんな人たちの顔が思い浮かぶ。
おでんがあれば,それだけで満足!
ふだんごはんに,もてなしに!
好きなたねをたくさんいれて,楽しもう!
こんな方におすすめ
- おでん,鍋料理を好む人,わが家の味に変化をつけて作ってみたい人
著者から一言
おでんて,みんなのいろんな思い出がくつくつ煮込まれているような気がするんです。どのたねが好きかを語るだけで,ついみんな熱くなる。
「大根は別格だ!」「ゆでたまごは外せないよ!」「いや,うちのおでんの華はなんと言っても牛すじです!」とか「私はちくわぶを食べるためにおでんを作るのだ!」「ええーっ,ちくわぶって意味わかんない!」とかね。「いやいや陰の主役は,はんぺんでしょうやっぱり」「いえっ,もちろん練り物が王道ですってば」などなどなどなど……。
いろんなおでん体験を経て,それぞれの好みが形成されてきたわけで,もう庶民の暮らし代表として表彰台に立ってほしいくらい。
実家でも冬場には,おでんの入ったアルマイトの大きな鍋がストーブの上に鎮座していましたっけ。正月も気負った正月料理とは別に,どん,とアルマイト鍋におでん。おでんがあればひとまず安心,て感じだったんでしょう。
駅前の商店街にはおでんだねの練り物を各種並べたお店があって,本当はうずらたまごやシュウマイが入ったのや尻尾みたいにイカゲソの先が出ているのを買ってほしいのに,母が選ぶのはだいたい地味な,なんの変哲もない団子状のものや四角いのや楕円形の平たいの。でもそんな練り物はまだしも,「お母さん,このでっかいこんにゃくでどうやって白ごはんを食べるのよー」と,おでんはごはんのおかずにならないと思っていた子どものころ。
ハンバーグやシチューやカレーなんていう高度成長期に現れたスターおかずの陰にひっそり,いや違う,野太くたくましく,デン!と構えたごった煮おでんがあったのでした。
おでんでんでん♪
父に連れられて銀座のおでん屋さんに行ったのが,お店おでんの最初でした。有名なしょうゆ味の関東風のおでん。父はごくごく普通のサラリーマンでしたが,自分がおいしいと思ったものは土産にしたり,食べに連れて行ったりしたい食いしん坊でありました。
大人になって当時の恋人と行ったおでん屋さんで,はじめて澄んだスープの塩味おでんを食べて,目からうろこ。その粋な感じの味に近づきたくて,牛すじを煮てみたりと背伸びをしました。友だちを呼んで,でんパ(おでんパーティの略!)をするようになったのも,その塩味おでんがきっかけです。
8畳ほどの部屋のテーブルを片付けて,玄関に入りきらない靴を積み重ねて,20人ほどの知り合いやその友人たちが集まったのが過去最大のでんパ。 そのときには,3キロ煮た牛すじがあっという間に売り切れました。
おでんでんでん♪
いろんな思い出とともにおでん。おでんとともに思い浮かぶいろんな人たち。
気持ちごとくつくつ煮込んで,このおでん本が皆様のおでん愛のお役にたちますよう祈っています。