概要
「iOSアプリ開発に必要なものは?」
「Swiftはどうやって書くのか?」
「アプリのデザインはどうなっている?」
「開発現場で使われているOSSは?」
iOSアプリエンジニアとして業務をこなすには,ただiOSアプリが開発できるだけでは足りません。現場で使われている技術や知識を学ぶ必要があります。
本書では,「これからiOSアプリ開発を始める = スタートダッシュする」ことを目的に,開発環境の知識からSwiftの基本はもちろん,UIデザイン,現場でデファクトとも言えるOSSの使い方,テストの基礎まで,スタートダッシュするために本当に必要な情報を濃縮。現場のエンジニアが,チームに入る新人に「とりあえずコレだけは押さえておいて」という生きたノウハウを伝授します。アプリエンジニアを目指す方はもちろん,これからアプリ開発にも業務の幅を広げたいエンジニアにとっても必携の1冊です。
こんな方におすすめ
- iOSアプリ開発のエンジニアをこれから目指す人,開発チームにこれから参加する人
- 現場の生きたノウハウを知って,新たに参加するチームの開発に活かしたいエンジニア
著者から一言
この本は,これからiOSアプリ開発を始める人に向けた入門書です。まずはじめに,「これからiOSアプリを始めること」について少し考えてみます。現代のiOS業界は,すでに世の中にはiOSアプリがたくさんあり,ある程度成熟した業界となっています。iOSアプリ開発業界がビジネスとして成り立ってから数年が経過し,今や何万ものアプリが世の中にリリースされています。iOSデバイスは,実生活の中で密接に関わっています。個人の生活を支えるツールとしての役割から始まり,お店のレジに使われていたり,飲食店の注文端末として使われていたりと,じつにさまざまな企業で活用されています。
開発側の視点でも考えてみましょう。iOSSDKやXcodeといったiOSアプリ開発に欠かせないツール,サービスも日に日に進化を遂げています。
上記のことから,iOSアプリ開発をこれから始める上で必要な知識やノウハウは,かなり膨大な量となっていることが分かります。これから始める人にとっては,非常にハードルの高いことです。
本書では「これからiOSアプリ開発を始める=スタートダッシュする」ことを目的に,数多くのiOSアプリ開発の知識やノウハウから「スタートダッシュするために本当に必要な情報」を濃縮して構成しています。
序章では,iOSアプリ開発とはどのような世界なのかを知るために,iOSアプリエンジニアにはどのような知識とスキルが必要とされるのかを解説しています。また,現状を知ってもらうだけではなく,今後もiOSアプリエンジニアとして生きていくために必要な観点も解説しています。第1章ではiOSのことを正しく理解していただくために,iOSのこれまでの歴史とiPhoneを中心としたiOSデバイスの種類を概説しています。続けて,iOSアプリ開発には欠かせないXcodeの基本的な使い方を学びます。第2章ではSwiftの基礎を解説しています。Xcodeの機能「Playground」を使って,Swiftの基本的な書き方のルールをしっかりと学びます。Swiftの言語機能は幅広いですが,ここでも特に重要な機能に焦点を当てて解説しています。
第3章はこれからのiOS開発のパラダイムとして,SwiftUIについて解説しています。SwiftUIは2019年に発表されたばかりの新しいフレームワークですが,今後デファクトスタンダードになることが予想されます。本書を今後も役に立つ書籍にすべく取り入れました。
第4章ではiOSアプリのデザインについて解説しています。iOSアプリにおいて切っては切れない関係である「UI/UXデザイン」はどのように進めれば良いのか,実際に現場で採用されている手法を用いて解説しています。
第5章ではiOSアプリにOSS(オープンソースソフトウェア)を組み込む方法を解説しています。iOSアプリを開発する際,すべて自分自身のコードで完結させることは珍しく,OSSを利用することが一般的です。OSSを使う方法は主にCocoa Pods,Carthage,Swift Package Managerと3つの選択肢がありますが,それぞれの使い方を掲載しています。
第6章では開発の手助けとなるテストについて解説しています。実際のところiOSアプリ開発においてテストは軽視されがちですが,テストを怠ると結果的に開発スピードが遅くなったりiOSアプリの品質が低下したりといった問題が発生します。かんたんに導入できるので,参考にしながらテストを実施するようにしましょう。
本書は,読者のみなさんがiOSアプリ開発をするデスクの脇に置いてもらい,何度も見返しながら開発を頑張る姿をイメージしながら執筆しました。執筆者一同,同じようにしてスタートダッシュを切ってきました。その時を思い返しながら「開発を始める時にはどのような情報があると理解できるのか」をポイントに,掲載する内容を吟味しました。
開発のスタートダッシュに寄り添う本として活用いただけたらうれしいです。
(本書「はじめに」より)