概要
「IT技術にくわしいのはあたりまえで,だれにも評価されない」
エンジニアの知見を持つ「あなた」だからこそ,商談で求められています。
商談中の技術的な意思決定をサポートし,お客様の問題解決と売上に貢献するセールスエンジニア職。キャリアチェンジしてから,商談で活躍できるまでの最短ルートを,子育てと両立しつつ外資系企業で売上年間目標を100%達成した著者がお教えします。
こんな方におすすめ
- 現エンジニアでキャリアチェンジを検討している方
- セールスエンジニアになりたての方
著者から一言
エンジニアの「あたりまえ」は「営業活動」でこそ求められる
「IT技術を勉強しても,エンジニアならあたりまえだとみなされる」
「どれだけ働いても,プロジェクトが無事サービスインするまで評価されない」
これが,「ふつうのエンジニア」の方々が持つ悩みでしょう。日々進歩するIT技術に追いつくには,業務時間外も勉強しないといけない。それなのに,そのがんばりは長期間評価されず,給料に反映されにくい……。努力が報われないことにもどかしさを感じているのではないでしょうか。
私自身も,かつては開発プロジェクトを渡り歩く,ふつうのエンジニアとして働いていました。しかし,プログラミングの研修クラスで下から2番目の成績だったこともあり,必死に勉強しないと毎日のプロジェクト業務が回りません。どれだけ時間をかけて努力しても,エンジニアとして目立った成果を出せず,フラストレーションを感じていました。
「このままエンジニアとして埋没したまま生きていくしかないのか……」
そんなふうに「エンジニア」の将来像について思い悩んでいる方にぜひおすすめしたいキャリアがセールスエンジニア職。今まで培ってきたエンジニアの知見を「営業の場」で活かして働ける職業です。
「営業は,営業職の人の仕事なのでは?」と疑問に思うかもしれません。しかし,営業職の方はお客様が納得して購入していただけるだけの「自社製品の技術的な詳細」を理解しているとは限りません。高度な技術が使われている製品なら,なおさらです。そこで,技術的知見を持つセールスエンジニアが商談に同行し,お客様に技術的な側面から製品をわかりやすく説明・提案することで,商談を受注しやすくするのです。
このセールスエンジニアに,エンジニアの方がキャリアチェンジすると,次のメリットが得られやすくなります。
- エンジニアの知見(システムの要件定義・設計・開発・テスト・保守・運用の知識)を持っているので,実現性の高い提案ができ,商談が受注しやすい
- 商談を受注できれば,表彰されるなど,評価される機会が増える
- 肯定的な評価を得ることができれば,給料に反映されやすい
- 業務時間の使い方は自己裁量で決められるので,業務時間内に勉強できる
- スケジュールに余裕があるときは,早めに仕事を切り上げられるので,プライベートと仕事が両立しやすい
未経験の業界に転職してゼロから知識・経験を蓄えるよりも短期間で成果を出しやすく,ハードルの低いキャリアチェンジと言えるでしょう。
「7つのソフトスキル」を身につけ最短で成果をあげる
しかし,さきほど説明したとおり,セールスエンジニアの仕事内容や働き方はエンジニアと違います。
どんな知識を持っていればいいのか?
どうすればお客様に購入してもらえるのか?
こういったことがわからなければ,セールスエンジニアとして成果を出すことはできません。技術的知見をすでに持つ元エンジニアの方がセールスエンジニアにキャリアチェンジ後,最短で評価してもらうためには,以下7つのソフトスキルが必要です。
- 学習の技術(1章):担当製品の効率的な勉強方法。この学習術により,担当製品だけでなく,専門分野や周辺技術,ビジネススキルも身につける(効率性・成果↑)
- 商談対応の技術(2章):セールスエンジニアとして,対応する商談をクローズする方法。この対応術によって,行き当たりばったりではなく自信を持って行動し,売上に貢献する(成果↑)
- コミュニケーションの技術(3章):商談のクローズ確率をさらに高めるコミュニケーション方法。相手目線のポジティブなコミュニケーションで説得力を高めて効率的に働く(効率性・成果↑)
- 時間短縮の技術(4章):商談対応がうまくなってくると,仕事量が増える。必要な仕事量をこなすための時間短縮の方法(効率性↑)
- 英語の技術(5章):外資系セールスエンジニアとして日々を乗り切る英語術。日系セールスエンジニアも英語力を身につければ,海外出張などいろいろなチャンスが巡ってくる(成果↑)
- セルフブランディングの技術(6章):他の人に認知されるようになり,継続的に「得意な商談」の依頼が来やすくなる方法(効率性・成果↑)
- キャリアデザインの技術(7章):セールスエンジニアの先のキャリアを紹介。この先のキャリアを見据えて「勉強すべきこと」「活動すべきこと」などの優先順位が定まり,安心して働くことでパフォーマンスを上げる(効率性・成果↑)
ここで紹介している技術は,ごく一般的な「ふつうのエンジニア」だった私が,セールスエンジニアにキャリアチェンジして10年間蓄えた「効率的に成果をあげる」ための考え方やテクニックです。これらを実践してきたことで,子育てでプライベートにも時間を割く必要があったにも関わらず年間目標の100%以上の売上を達成できました。売上目標を超えた営業に送られる「Hundred Percent Club」という賞を二度受賞しています。この賞は,セールスエンジニアは滅多に受賞できないため,私が二度受賞していることを当時の上司に伝えると,目を丸くして驚いていたのを思い出します。
また,過去に開催した技術者向け勉強会の参加者にこれらの技術を紹介したところ,
「セールスエンジニアとしてやっていけることがわかってキャリアチェンジできました」
「英語を前向きに学べて,英語に恐怖心やハードルを感じなくなりました」
「パフォーマンスがグッと上がって定時で帰れるようになりました」
という反応をいただくことができました。
この本を手に取ったあなたも「ふつうのエンジニア」から脱却し,セールスエンジニアとして活躍する7つの技術を学んでいきましょう!