概要
医療機器業界は薬機法をはじめ多くの法律や制度があるデリケートなものですが,先進国の高齢化やソフトウェア技術の発展により異業種からも注目されている成長分野です。また,医療機器は医療従事者をはじめ,医療機関経営者,メーカー,商社など医療業界で働く多くの人に関係するものであり,この業界について知ることは自身の業務スキルの向上や経営の効率化,需要の掘り起こしにもつながります。
周辺の機関や職種も多く複雑な構造を持つ業界ですが,本書があれば大きな枠組みとしくみ,各事業内容や業種間のかかわり,今後の成長分野がわかります。
こんな方におすすめ
- 医療機器業界に就職/転職を考えている人,医療機器メーカーまたは周辺事業の新人,医療機器業界への進出を考えている周辺事業の経営者,取引・協業関係者
目次
Chapter 1 医療機器の定義と市場
- 01 薬機法による医療機器の定義と分類
- 02 用途,用法に見る医療機器の分類
- 03 医療機器の市場規模は全世界で40~50兆円
- 04 日本市場の特徴
- 05 輸入中心の機器,輸出中心の機器
- 06 消化器内科で使われる医療機器
- 07 糖尿病・代謝内科で使われる医療機器
- 08 心臓血管外科で使われる医療機器
- 09 整形外科で使われる医療機器
- 10 放射線科で使われる医療機器
- 11 検査科で使われる医療機器
- 12 救急科で使われる医療機器
- 13 在宅医療で使われる医療機器
- 14 歯科で使われる医療機器
Chapter 2 世界の医療機器業界
- 01 世界の上位は海外勢が占める
- 02 業界は診療科ごとに形作られる
- 03 企業の大グループ化が進行
- 04 外部委託の広がり
- 05 世界最大の医療機器メーカーMedtronic
- 06 世界最大のヘルスケア関連メーカーJohnson & Johnson
- 07 買収を通じて急成長するAbbott Laboratories
- 08 総合電機メーカーからヘルスケア関連企業へと舵を切ったRoyal Philips
- 09 透析センター運営まで手掛けるFresenius Medical Care
- 10 放射線科向け装置メーカーの雄GE Healthcare
Chapter 3 国内の医療機器業界
- 01 医療機器事業への「選択と集中」が明確化
- 02 国内の異業種企業による海外企業の買収が増加
- 03 消化器内視鏡で世界シェアNo.1を誇るオリンパス
- 04 心臓血管の領域で成長を続けるテルモ
- 05 臨床検査機器・試薬で世界中に展開するシスメックス
- 06 透析関連や注射・輸液関連の消耗品に強いニプロ
- 07 身体の状態をモニタリングする機器に強い日本光電工業
- 08 東芝の医療機器子会社を獲得したキヤノンメディカルシステムズ
- 09 日立製作所から画像診断装置事業を獲得した富士フイルム
- 10 家庭用医療機器に強いオムロンヘルスケア
Chapter 4 医療機器メーカーの仕事を知る
- 01 医療機器メーカーの仕事の全体像
- 02 新たな医療機器のアイデアを生み出す:企画
- 03 新たな技術や試作品を開発する:研究開発
- 04 医療機器の有効性と安全性を検証する:臨床開発
- 05 企業の規制遵守の担い手:薬事
- 06 品質基準を満たし,安定供給を確保する:製造
- 07 製造とともに品質確保の仕組みを構築する:品質保証
- 08 アフターフォローで信頼を築く:サービスエンジニア
- 09 患者や医療従事者のニーズを把握する:マーケティング
- 10 医療従事者へ医療機器の価値を伝える:営業
- 11 新卒採用
- 12 キャリア採用
- 13 技術系のキャリアプラン
- 14 事務系のキャリアプラン
Chapter 5 医療機器業界に関連する業界を知る
- 01 流通から販売までの流れ
- 02 配置から廃棄までの流れ
- 03 特殊性に対応する医療機器物流
- 04 大手物流企業の取り組み
- 05 物流企業による物流業務の包括提供
- 06 物流企業による高付加価値配送に向けた工夫
- 07 医療機関や患者に販売するプレーヤー
- 08 多様なサービスを展開する大手販売業者の取り組み
- 09 カタログやWeb上で販売網を束ねるプレーヤー
- 10 医療機関との間で医療機器を循環させるプレーヤー
- 11 医療機器の利用開始を支援するサービス
- 12 日々の医療機器利用と医療機関経営をサポートするサービス
- 13 医療機器の保守点検と修理
- 14 使用後の医療機器の洗浄・メンテナンス
- 15 災害時の医療機器供給
Chapter 6 医療機器のデジタル化
- 01 医療機器のデジタル化の進展
- 02 医療機器プログラムの承認
- 03 従来の医療機器と医療機器プログラムの全体像
- 04 疾患の早期発見,重症化予防を行う
- 05 診断・治療を支援する
- 06 医師同士の情報共有により診断・治療の支援を行う
- 07 がんの発見・診断を支援する
- 08 皮膚疾患の遠隔検査・治療
- 09 医師の経験に頼らず最適な治療計画を導出する
- 10 手術等治療行為のサポートや情報提供を行う支援プログラム
- 11 遠隔医療・医療の均てん化を実現する手術ロボット
- 12 医療情報の蓄積・共有・閲覧のために必要な医療システム
- 13 医療システム業界で大きな影響力を持つ参入企業の顔ぶれ
- 14 病院規模によって異なる医療システム業界の構造
- 15 クラウド型の導入が進む医療機器システム市場
Chapter 7 日本の医療機器業界の課題と展望
- 01 増加を続ける医療費
- 02 地方医療の存続
- 03 緊急時の医療機器の供給体制の在り方
- 04 製薬企業の参入
- 05 医療ビッグデータ利活用
- 06 バリューベース・ヘルスケア
- 07 世界で存在感のある医療機器メーカーとなるために
- 08 新型コロナウイルスの影響
- 09 コロナ禍で変わる医療機器メーカーの働き方
付章
A 知っておきたい医療機器業界の法律と制度
B 知っておきたい医療機器業界の関連資格・研修
サポート
正誤表
本書の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
P.141 本文1行目~3行目
誤 |
サードパーティがメーカーとの委託契約に基づき業務を行う場合、そのメーカーと競合する他社製品の保守点検や修理を行うことはできません。 |
正 |
サードパーティがメーカーとの委託契約に基づき業務を行う場合、そのメーカーと競合する他社製品の保守点検や修理を行うことができない場合も多くあります。 |