概要
PIC18F Q シリーズは,PICマイコンの中でもリアルタイム制御向けの最新のシリーズです。8ビットマイコンとしては最大級のメモリ容量(最大128kバイト)を誇り,クロック周波数も最高64MHzで,8ビットマイコンでは最速です。
高機能な内蔵モジュールも多数組み込まれ,DMAで高速アクセスできますし,プログラマブルな論理回路(CLC)で高速動作が可能です。日本語フォントやファイルシステムなども利用できるため,これまでの8ビットマイコンよりも格段にできることが増えます。
本書はQシリーズの概要から始め,MPLAB X IDE とXC8コンパイラによるC言語でのプログラム開発方法,MCCによる内蔵モジュールやFATファイルシステムなどのミドルウェアの使い方などを詳細に解説しました。作例としてGPSロガーやCO2濃度が測れるIoTターミナルなども作成しています。
こんな方におすすめ
- 新しいPICマイコンを使ってみたい
- 方コストをかけず高性能なガジェットを作りたい方
著者から一言
はじめにより~
マイクロチップ社のPIC18ファミリには久しく新製品がでていなかったのですが,この度Qシリーズということであらたな製品が発売されました。
このQシリーズで,まず目を引くのがメモリ容量で,最大128kバイト(64kワード)という8ビットマイコンとしては最大級のサイズです。次に,最高64MHzというクロック周波数で,こちらも8ビットマイコンとしては最高速度の部類に入ります。内蔵周辺モジュールも多くの高機能モジュールが組み込まれ,さらにDMA(Direct Memory Access)で高速アクセスも可能となりました。
この高機能な8ビットマイコンを使えば,より大規模なアプリケーションを組み込むことができますから,その可能性に期待が持てます。
これまで8ビットマイコンではちょっと荷が重くて実現が難しかったことが可能になり,個人でもマイコンによる製作可能な世界が拡がりました。
本書でも,この高機能な特徴を活かした作品を紹介しています。マイクロSDカードやQVGAサイズの大きなフルカラーグラフィック液晶表示器を使い,日本語フォントも組み込んでみました。
本書では,このPIC18 Qシリーズの内部構成の解説から始め,主要な内蔵周辺モジュールの使い方を,マイクロチップ社の市販の開発用ボードを使った実際の例で解説しました。これでどなたでも市販のハードウェアを使って試すことができます。
プログラム開発には,最新のコード自動生成ツールであるMCC(MPLAB Code Configurator)を使いましたので,グラフィカルな画面で設定するだけで,周辺モジュールの制御用関数を自動生成してくれます。これでレジスタの内容をデータシートでいちいち調べることなく,自動生成された関数を呼ぶだけで周辺モジュールを使いこなすことができます。この便利な世界を読者の方々にもぜひ体験していただきたいと思います。
本書の製作例では,できるだけ実用的なものということで,筆者自身が日頃これらの作品を使い続けられるものを前提として製作しました。読者の方々が,これらの作品をヒントにして,新たな作品にチャレンジしていただくきっかけとなれば幸いです。
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(2022年5月11日更新)
『電子工作のための PIC18F Q シリーズ活用ガイドブック』をお買い上げいただいた読者の方への特典として,本書で作成したデバイス用のプログラムや,回路図・実装図・基板作成用のガーバーデータなどをダウンロードできます。
ファイルは圧縮されていますので,解凍してご利用下さい。詳しい利用方法については,本書のP.319をご覧下さい。
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