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「未来の普通を,今」。Gihyo Digital Publishingは次の10年へ

Gihyo Digital Publishingはサービススタート10年を迎えました

2011年8月29日,私たちが提供する電子出版サービス「Gihyo Digital Publishing」がスタートしました。あれから年月が経ち,本日2021年8月29日,Gihyo Digital Publishingはサービススタートから10年が経ちました。ここまで続けてこられたのは,ひとえに多くの読者,執筆者,関係者の皆様のおかげです。心より感謝を申し上げます。

日本の電子出版市場の幕開けとなった2011年

節目の10年を迎え,スタート当時を少し振り返ってみます。

2011年,日本は3月に多くの場所に甚大な被害を与えた東日本大震災が発生しました。社会全体が混乱する中,改めて情報通信の在り方に注目が集まり,書籍・雑誌という媒体を通じて情報を提供する出版分野でもさまざまな変化の兆しが見え始めた年です。

また,前年の2010年には,今ではあたりまえとなった「タブレット」の先駆けとなったiPadが発売された年でもあり,こうした要因から日本の電子出版市場が立ち上がる時期だったのが,この2011年です。

また,2011年は現在の電子書籍・雑誌(以降電子コンテンツ)の標準フォーマットとして定着したEPUBの土台となったEPUB3の最終勧告が行われた年でもあります。それまで日本で進んでいた電子出版市場では,各書店・各リーダー開発者が取り決めた個別のフォーマットで進められる中,電子出版に取り組む企業や開発者など,多くの関係者がEPUB3準拠を表明することも,今につながるターニングポイントの1つでした。

技術評論社では,こうした状況をふまえ,私たちが提供する紙の書籍・雑誌を電子版で提供することを模索し,2011年8月29日に「Gihyo Digital Publishing」としてサービスを開始いたしました。サービス開始当時,配信していたタイトルは7点でした。

その後,2012年に楽天Kobo(7月19日),Google eBooks(現Google Playブックス,9月25日),Amazon Kindle(11月8日)と,ここ日本でも,いよいよ読者の方へ電子コンテンツをお届けする環境が整備され,今に至ります。

以降の状況は割愛いたしますが,読者や書店などが電子コンテンツを手に取り,扱う機会が増え,その市場は年々拡大成長しています。2021年8月29日時点で,Gihyo Digital Publishingでは3188タイトルの電子コンテンツを配信しています。

サイマル出版,リフロー型EPUBへのこだわり

読者の方たちが電子コンテンツを手に取る機会が増えることは,私たち出版社としても,自分たちの刊行物をお届けする機会(販路)が増えることでもあり,大変喜ばしい状況です。

一方で,その機会を逃さないためには,正しい形で,そして,適切なタイミングで電子コンテンツを開発・制作し,配信し続けることが重要です。そこで,サービス開始後から3年がたった2015年以降からは,自社の刊行物のサイマル出版(紙と電子コンテンツの同時発売)に取り組み,今では,紙の刊行物の約90%でサイマル出版を実現しています。

サイマル出版実現にあたって,とくに電子コンテンツ開発・制作については,多くの外部パートナーとの連携を強化することを心がけ,より早く,より質の高い電子コンテンツ制作体制を実現し続けています。

中でも,技術評論社の電子出版事業の強みの1つであるリフロー型EPUBの開発・制作については,福島県にあるリポジション郡山や青森にあるNPO法人あおもりIT活用サポートセンターなどのパートナーの協力によるものです。

リフロー型EPUBへのこだわり

少し話が逸れますが,私たちはGihyo Digital Publishingサービススタート時から,リフロー型EPUBの提供にこだわってきました。その理由の1つは「情報のアクセシビリティの確保」です。リフロー型EPUBを提供し続けることは,読者の皆様が利用する環境,購入する場所,書店に関わらず,今まで以上に読書機会を増やせるものと信じています。

まだ全タイトルでの実現できていませんが,これからも1つでも多くのタイトルでPDFとともにリフロー型EPUBの提供を目指します。

なお,制作体制の強化に関しては,2021年6月,次の段階に進みました。前出のリポジション郡山の親会社である株式会社リ・ポジションとタッグを組み,リ・ポジションと技術評論社の共同出資の形で,正しい電子コンテンツを作るための企業として,株式会社グリープを設立いたしました。

ソーシャルDRMによる電子コンテンツの配信

読者の皆様を意識したサービス価値として,開始時からこだわっているもう1つの特徴が「ソーシャルDRM」を利用した電子コンテンツ配信です。2021年現在,日本には数多くの電子書店が存在し,売り場や提供側ごとにEPUBを基にした配信フォーマットを取っており,DRMを採用したリーダーに対応したものが多く見られます。DRMおよびソーシャルDRMにはそれぞれのメリット・デメリットがありますが,ここでの説明は省きます。私たちは読者の皆様の利便性を最優先に,ソーシャルDRMを利用した電子コンテンツの配信を行っています。

読者の方へのサービス価値の提供と,持続できる電子出版ビジネスを目指す

最適なタイミングでの配信,良質のコンテンツの開発・制作は出版社として,これからも意識し,取り組みます。また,2020年のコロナ禍で一気に進んだ,デジタル・オンライン化,それに伴う世の中の購買行動の変化とともに,読書スタイルの多様化については,つねに注視し,技術評論社としても対応し,今後も持続できる電子出版ビジネスの構築・運用を続けます。

「未来の普通」をお届けするために,これからも「あたりまえ」を提供する

最後に。

「未来の普通を,今」。

これは,Gihyo Digital Publishingのオープン当時から目指している「電子出版が実現する日常」です。

日々進化し続ける技術,それとともに変化する生活,また,さまざまな要因で変わり続ける社会に合わせながら,私たちはこれからも,電子出版サービスを通じて皆様の「普通」を実現できるよう,最適なタイミングで,質の高い電子コンテンツを提供し続けてまいります。

そのために,日々「あたりまえ」を提供し,「未来の普通」を目指します。

これからも技術評論社が刊行する書籍・雑誌とともにGihyo Digital Publishingをよろしくお願いいたします。

馮 富久(Gihyo Digital Publishing)

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