Windows 11発表
6月24日、Microsoftは次期Windowsとなる「Windows 11」をオンラインイベントで発表しました。リリースは年内が予定されています。
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Windows 11では、Windows 10から変更があったUIが話題です。
注目が集まっているのは、スタートメニューとタスクバーです。ともに、これまでの使い勝手やデザインを踏襲しながらも、タッチ操作が基本のスマホ世代に馴染みやすいように配慮されています。Appleが、macOSにタッチ操作を持ち込まないポリシーを貫いているのとは対照的です。
もう1つ、PCよりも圧倒的にユーザの多い、モバイルとの親和性を高めることに力を入れているところです。
Androidアプリを取り込みモバイルとの親和性を強化
スマホ同期は、Android端末とメッセージや写真を共有したり、Samsungと協業して一部のSamsung製スマホで、実行したアプリの画面をWindows側に表示して、Windowsから操作ができました。
他にも、iOSやAndroidアプリをWindows 10に移植しやすくするSDKのリリースする計画もありましたが頓挫しています。野心的な取り組みでしたが、自身でコントロールできるモバイルプラットフォームをMicrosoftは持っていないので、戦略としては無理がありました。こうした過去の失敗もふまえて、今回はAmazonやIntelと協業してモバイルとの親和性を高める取り組みをしています。
ストアはAmazonと協業
新たなステップとして提示されたのが、Androidアプリを実行可能にする「Windows Subsytem for Android(WSA) 」です。これは、Windows Subsystem for Linuxと似たアプローチのもので、Windows上でAndroidアプリが動作する環境を提供します。WSAの実装も似たアプローチが取られていることが説明されています。
WSAでAndroidアプリを動作する仮想マシンは、互換性を重視してAOSPベースのものが使われます。これは、GMS(Google Mobile Service)を搭載しないので、素のOSがある状態です。これでは使い物にならないので、最低でも何らかのアプリストアが必要になります。
そこで、白羽の矢が立ったのはGoogleではなくAmazonです。
AmazonのFireタブレット向けに公開されている「Amazon Appstore」がMicrosoft Storeに取り込まれて、ここからアプリがダウンロードできます。アプリストアは、Amazonとの協業で体裁が整います。
アプリ実行速度向上はIntelと協業
もう1つ、Intelと協業して「Intel Bridge Technology」と言われる「x86ベースでアプリのネイティブ実行を可能にする、ランタイムポストコンパイラー」の開発を進めています。Windows 11でAndroidアプリを実行する時は、必ずこれが介することになります。
Androidアプリは、CPUアーキテクチャへ依存しないよう中間コードの状態で保管されます。これを仮想マシンのAndroid Runtime(ART)がネイティブコードに変換して実行します。Intel Bridge Technologyは、仮想マシンに搭載することでネイティブに近い実行速度を可能にしていると考えられます。
しかし、Androidのアプリの中には、実行速度を高めるためにCPUに依存したバイナリを含むものもあります。こうしたアプリもIntel Bridge Technologyで対応するのか、それとも非対応とするのか、今のところは詳しい発表はありません。
また、Intel Bridge Technologyは、x86専用かと思えばARMベースのPCでも動作します。ARM版Windows 11で、Androidアプリがどう扱われるのか気になっていましたが、CPUがx86と違ってもソフトウェアから見れば、大きな違いはないように見える作りなのかもしれません。
Insider Previewを待ちましょう
6月の最終週か7月初旬には、Windows 11の最初のInsider Previewビルドが公開される予定なので、技術背景も明らかになるはずです。楽しみに待つことにしましょう。
今週は、このあたりで、また来週。