新春特別企画

クローズドとアーカイブに注目――2013年のソーシャルネットコミュニケーション

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mixiの展開

さて,日本のソーシャルネット,mixiにも目を向けてみましょう。2012年9月発表の情報では1,400万人を超えるアクティブユーザ数を数えます。昨年の動きとしては,11月に発表した「ユーザーファースト」のコンセプト,同月に実施した「ユーザーファーストウィーク」のように,次のフェーズに向けた動きを見せています。とくに,Facebookなどに押されている状況に対して,開発チームをユニット制にするなど,機能ごとの改修・改善の動きを早くする体制を整備しています。これにより,11月以降はmixiの主力機能である日記機能を改修したり,メッセージのUIを変更するなど,目に見える形で動きが見え始めました。また,他のソーシャルネットに先駆けて,Windows 8対応アプリを発表したのも特徴的です。

コミュニケーションの観点では,mixiそのものよりは,たとえばmixi Xmasのようなキャンペーン連動でのコミュニケーション,ソーシャルグラフを活かしたものに注目が集まりました。さらに,mixiユーザにとって今年最も注目したいのは,訪問者リアルタイム表示機能,通称「あしあと機能」の復活でしょう。

訪問者リアルタイム表示機能の試験リリースに関するお知らせ
http://mixi.jp/release_info.pl?mode=item&id=1909
※mixiのログインが必要です。

2013年1月下旬~3月末(予定⁠⁠ に試験的にリリースし,ユーザからのフィードバックを見た上で継続するかどうかの判断をするとのことです。あしあと機能は多くのmixiユーザにとって愛着のある機能で,中止が発表された際には,mixiのコミュニティ内での反対運動なども起こりました。それが復活するということは,古くからのユーザにとっては嬉しいニュースと言えるでしょう。また,コミュニケーションの観点から見ると,あしあとをきっかけに生まれるものが考えられ,今年のmixi内でのコミュニケーションの変化に注目したいと思います。

公式ページやコミュニティ,さらにハングアウトとの連携を強化するGoogle+

最後に,Googleのソーシャルネット,⁠Google+」の動きを見てみましょう。

Google+は,一昨年末にAKB48の参加を発表し,著名人アカウントの作成に注力し,ユーザ獲得を始めました。その動きの延長として,昨年末に発表したコミュニティ機能などがあります。このように,Google+では,共通の趣味やテーマを持ったユーザに対する場を提供する動きが強くなっていると見ることができます

個人的に,他のソーシャルネットコミュニケーションと異なっていくと考えているのが,ビデオチャット「ハングアウト」機能です。Googleは2012年7月に,Gmailのビデオチャット機能を,Google+のハングアウトに切り替えることを発表しました。ハングアウトの特徴は複数人間で音声・映像・文字によるコミュニケーションが取れ,また,Google Driveのデータを同時に共有できる点です。

また,2012年10月に行われた,宇宙と交信できる「THE SPACE HANGOUT」プロジェクトは,地球の外との通信を図るなど,これまでの規模を大きく超えたプロジェクトとなり,大変注目を集めました。

THE SPACE HANGOUT http://www.jaxa.jp/event/spacehangout/index_j.html

このような,映像や音声+ドキュメントという,グループ向けのコミュニケーションというのは,Google+の大きな特徴となり,シーンに応じて使うユーザが増えていくのではないでしょうか。

まとめ・アーカイブ機能に馴染み始めたユーザたち,その先に求められる検索機能

最後に,今後についてまとめてみます。

まず,2012年後半ぐらいから,時間軸を意識したソーシャルネットが増えています。昨年の記事で時間軸が加わってくる2012年のソーシャルネットという形で予想した動きが見えてきました。たとえば,FacebookのFacebook 2012 今年のまとめはその1つです。これは,Facebook上の,ユーザ自身の動き・いいね!やコメントの付いた投稿のまとめを振り返ることができるもので,まさにソーシャルネットコミュニケーションに時間軸が加わったものです。

また,プラットフォーム側だけではなく,今年もサードパーティからもFacebookのアプリやTwitter分析サービスなどが登場し,その年1年のいいね!数をカウントするものや最もツイートした漢字を調べられるものが登場し,多くのユーザが利用していました。その他,スターバックスコーヒー ジャパンはShare and gatherというキャンペーンを行い,その中でその年にもらった「いいね!」の数をカウントし,感謝の気持を添えてメッセージカードを送る「Thank you for "Like"」というアプリを用意していました(※キャンペーンはすでに終了しています⁠⁠。

こうした動きの背景には次の2つの理由があると考えています。

  • ソーシャルネット上に「アーカイブ」される自分の投稿内容と動き
  • 「まとめ」の普及
1つ目のアーカイブについては,時間が経ってユーザがアクティブになればなるほど増えるものなので,これからもますます増えていきますし,ユーザの意識がもっと強くなるでしょう。

もう1つの「まとめ」については,前述のTogetterの他,昨年はLINEと同じくNHN Japanが提供するサービスNAVER まとめの存在が影響していると考えています。共有(シェア)にも通ずるところではありますが,誰かが発信した情報を他の誰かに伝えたい,伝えるときに自分の色を出したい(編集したい)という気持ちから,情報をまとめるユーザが増えています。

このように(ソーシャルネット上の投稿に関する)アーカイブやまとめへのユーザの意識が強くなり,そしてユーザ自身が慣れていくことで,ソーシャルネット上での時間軸への意識・存在感はますます大きくなり,近い将来サービス側で当たり前のようにまとめ,ユーザはそれを探し出す(検索)という動きがどんどん強くなっていくのではないかと考えています。すでに,Facebookは2012年10月にYahoo! JAPANと連携してトップページおよびリアルタイム検索の強化を発表しましたし,前述のPathでは,モーメントと呼ばれる自身の投稿を検索する機能を実装すると発表しています。機能面の強化によって,ユーザコミュニケーションにも影響を与えていくのではないでしょうか。

ときにユルさも必要

ただし,結局ソーシャルネットも人と人とのつながりによるものであり,その上でのコミュニケーションも根幹は人間同士のつながりになります。ですから,あまりアーカイブやまとめ,さらにそれを検索することを突き詰めてしまうと,ソーシャルネット上のコミュニケーションが少々息苦しいものになってしまうかもしれません。それらを回避するために,ユルいコミュニケーションも必要だと思っています。あくまで主観ですが,そうしたユルさの要素を持っているサービスとして,2012年12月にリリースされたpaperboy&co.のOEKAKIGRAMを挙げておきます。

とくにクローズドとアーカイブに注目

最後になりますが,2013年のソーシャルネットコミュニケーションは,クローズドとアーカイブに注目したいと思っています。そして,少しのユルさも。その中で生まれるユーザ同士のコミュニケーション,それが2013年のソーシャルネットの特徴となっていくのではないでしょうか。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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