新春特別企画

LibreOffice/Apache OpenOfficeの2013年の推移と2014年の展望

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LibreOffice vs Apache OpenOffice ラウンド2

それでは昨年に続き,今年もLibOとAOOを比べてみます。

ユーザー数の比較

去年のうちにLibOがダウンロード数を公表することはなかったようですが,9月に催された「LibreOffice Conference 2013 in Milan」おおよそのユニークユーザー数を公表しています。ユニークユーザーの算出方法は[更新のチェック]のpingの数からだそうです。これがおおよそ4,250万ユーザーで,Linuxディストリビューション注10のユーザーが3,250万ほど,あわせて7,500万ユーザーとのことでした。

LibO側の公表数をどの程度信頼できるのか疑問はありますが注11⁠,先述したAOOののべダウンロード数が8,000万でしたので,ユニークユーザーではAOOよりもLibOのほうが多いといえるかもしれません。日本では窓の杜のダウンロード数を見ても絶対にそのようなことはないですし,ワールドワイドでも本当にそうなのかはなんともいえません。

注10
通常Linuxディストリビューションでは[更新のチェック]を無効にしています。
注11
インストールされていても使ってない人もいるでしょうし……。

開発の比較

開発の活発さを手っ取り早く知りたい場合は,Ohlohのページを見るといいでしょう注12⁠。

LibOは1年間で345人により約22,000コミットほどされており,これは手元の数字ともおおむね合致しています。一方,AOOは3,500コミットほどです。もはや圧倒的としかいいようがありません。

さらにAOOは手元の数字とかなりの乖離があります。よくよく見ると,こちらはWebページやWikiの更新も含まれており,公平ではありません。というわけで,AOOのコミットの内訳を集計してみました。Ubuntu Weekly Recipeの第283回で示したコミット数のグラフのアップデート版です。

次のグラフは2013年1月2日から12月22日まで,svn trunkにコミットのあった数です。IBM社員によるコミットが3/4となっています。

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そして次のグラフはtrunk+sidebarブランチ+IA2ブランチの合計を足したものです。重複もあるはずですが,こんな数字になりました。ほかにもブランチはありますが,大勢に影響はないどころか,ますますIBMの比重が高まる結果しか出なさそうです。

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注12
もちろん見る時期によって違いますので,数字を出しておきます。

2014年のLibreOffice

今年のLibOは昨年同様,やはり2回のメジャーバージョンアップが予定されています。

4.2は今月下旬ないし来月上旬にリリースされることになっています注13⁠。新機能などは『SoftwareDesign 2014年3月号』のUbuntu Monthly Reportで説明しようと思っていますが,AOOからのソースの取り込みがあまりにないにも関わらず,魅力的な新機能が盛り込まれたリリースになる見込みです。

7月にリリースされる予定の4.3の開発もすでに始まっていますが,当然のことながら今のところはまだそれほど大きな変更は入っていません。

あとは,今年もAdvisory Boardが増えるのではないか,という希望的観測を挙げておきます。Advisory Boardが増えることは即LibO(TDF)の発展を意味するものです。

一方日本では苦しい状況が続きそうです。開発が活発になってたくさんの新機能が加わることはとても重要ですが,その分メニューやヘルプの翻訳対象も増えることになります。開発者が増えても翻訳者(正確にはアクティブな翻訳者)が増えておらず,4.2でも大変厳しい(翻訳率が良くない)のが現状です。特にヘルプは約半数が未訳となりました。そもそもAOOと比較して知名度が低く,ユーザー数が少なければ潜在的に手を動かす人も少ない注14となると翻訳者も増加せず……という良くないループが回っているため,何らかの方法でブレイクスルーが必要です注15⁠。

注13
ほぼ確実に後者というか2月に入ってからのリリースになるはずです。
注14
といいつつ筆者はこの説には否定的ですが,手を動かす人を増やす努力をしても,期待ほど増えていないのが現状です…。
注15
筆者にはそれが何なのかさっぱりわかりませんし,現段階で思いついた手はすべて打っていますが。誰かが猛烈に頑張って何とかするモデルではなく,多くの人が少しずつ手を動かすモデルを構築しようと努力してきたつもりですが,全くできていません。

2014年のApache OpenOffice

今年,AOOは4.1のリリースが予定されています。主に4.0に間に合わなかった機能の追加が多いですが,IA2サポート注16やパッチメカニズム注17など魅力的な新機能が盛り込まれそうです。ただしUIの変更はなく,今のところ新規の翻訳は予定されていないとのことで,ちょっと驚きました。

この4.1は4月リリース予定とのことですが,When will OpenOffice version X be released?(OpenOfficeバージョンXはいつリリースするの?)というブログのエントリを公開する程度には,予定したリリース日を守ることには意義を感じていないようです注18⁠。

注16
アクセシビリティの機能ですが,LibO 4.2でも実験的にサポートしています。
注17
差分アップデートのことだと思ってください。
注18
旧OOoもそうでしたし,これ自体はリリースの手法の違いなのでいい悪いはありません。ただ,そのわりには不具合が多く,4.0.0のアップデート版(4.0.1)がリリースされていたりして,筆者にはよくわかりません。

注意喚起

LibO,AOOともにですが,一部オフィシャルではないインストーラーを配布しているWebサイトがあるようです。そのWebサイトからダウンロードすると,無関係のアプリケーションも一緒にインストールされる場合があります。そのようなことにならないように,必ず公式ミラーからダウンロードするようにしてください。LibOの場合はダウンロードのページからで間違いありません。AOOの場合はミラーサーバーがSourceForgeにあるので,sourceforge.netドメインのページからダウンロードしていることを確認してください。もちろんミラーサーバーなので,実態は違うサーバーからダウンロードされますが,少なくともダウンロードページに関してはこの説明で間違いありません。

手間を掛けたくない場合は,窓の杜からダウンロードするのが安全で確実です。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバーで,主として日本語入力関連を担当する。特定非営利活動法人OpenOffice.org日本ユーザー会。LibreOffice日本語チーム。ほか,原稿執筆も少々。