新春特別企画

次の10年に向けて――2014年のソーシャルネットコミュニケーション

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画像や動画を通したソーシャルネットコミュニケーション

Pinterestの日本参入――インタレストグラフと画像の組み合わせの次

2013年の他のトピックとしては,写真共有型ソーシャルネットPinterestが日本法人を立ち上げ,日本への本格参入の動きが見えたことを挙げたいと思います。

詳細については,インタレストグラフの可能性とビジュアライゼーションの魅力――Pinterest日本代表,定国直樹氏に訊くをご覧いただくとして,こうした写真の共有については,これまであった写真共有サイトよりも,⁠写真」⁠画像」にフォーカスされている点,また,古くから利用されている写真共有型サービスと比較して,今はスマートフォンの登場・進化によって高品質な「写真」⁠画像」を共有しやすくなった点の影響が大きくあると考えており,今後の日本での展開に期待しています。

また,こうしたインスタレストグラフ・画像を組み合わせたソーシャルネットの場合,コマースとの親和性が高いので,そこで生まれるコミュニケーションがどうなるのかも気になるところです。

動画を通じたソーシャルネットコミュニケーションも活発に

ニコニコ動画を利用したコミュニケーションも注目したいものの1つです。ニコニコ動画は年々利用者数が増え,2013年6月時点で無料ユーザ(登録)数は3,415万人となっており,有料ユーザは200万人を突破したと発表されています。また,コムスコアの調査(2013年2月発表)において,ニコニコ動画は男女ともに最も高い割合が15~24歳と,とくに若年層に浸透している結果が出ています。

すでにニコニコ動画から生まれた有名人が登場するなど,新しいコミュニティ,ソーシャルネットコミュニケーションが生まれています。この先3年,5年と見ていったときに,ノンバーバルやライトとは異なる,動画を通じたソーシャルネットコミュニケーションがどうなるかに注目したいところです。

まとめ・アーカイブ機能に馴染み始めたユーザたち,その先は検索ではなくシェアに

昨年の新春記事クローズドとアーカイブに注目――2013年のソーシャルネットコミュニケーションの中で,2013年のソーシャルネットコミュニケーションの要素として,まとめ・アーカイブの次に検索が求められると予測しました。しかし,実際はそれほど検索へのニーズが高まったようには感じませんでした。

一方で,まとめに対する意識が高まったように感じていて,先行者としてユーザ数を増やしたNAVERまとめに加え,2013年はGunosySmartNewsといったまとめ(キュレーション)メディアが躍進した年と言えます。これ自体がソーシャルネットではありませんが,それぞれのメディアやサービスでまとめられた情報がソーシャルネット上にシェアされ,そこからコミュニケーションが発生するという動きは,2013年のソーシャルネットコミュニケーションの特徴の1つでした。この特徴から見えるのは,ライト(手軽)なまとめやアーカイブ情報に対する意識が高まった一方で,それを検索したり振り返ることは求めない,情報の消費に加速がかかったということです。この動きは2014年も増えると筆者は予想しています。

ただ,ここで気になるのが情報の扱い,1次情報か2次情報かという点です。そもそもまとめサイト自体が新規の情報を発信するのではなく,世の中に増え続ける情報の中から,ユーザにとって有益あるいは興味がある(と思われる)ものを選別して提供する仕組みになっています。ですから,個人個人の発信とは根本的に異なるわけです。1つの仮説としては,インターネットが登場して個人が発信する場ができ,ブログやソーシャルネット黎明期における情報発信欲というのが薄れてきたことの裏返しかもしれません。

それでも,シェアしたり,いいね!を押すという行為があるのは,情報発信欲が薄れた一方で,承認欲求そのものが減っていないという見方ができ,ソーシャルネット上のコミュニケーションが数年前に比べて変化してきているのかもしれません。

 筆者が考える1次情報,2次情報の分類

ソーシャルコミュニケーション情報の分類
いいね!イイネ!(他人のリンク,まとめ)2次情報
いいね!イイネ!(自分のリンク)1次情報
コメント付きシェア(他人のリンク,まとめ)1次,1.5次,2次情報
コメント付きシェア(自分のリンク)1次情報
投稿(文章・写真など)1次情報

自分だけのタイムラインの考え方

もう1つ,2013年から強く見え始めてきたのが,⁠自分だけのタイムライン」という考え方です。その例の1つが,Twitterを中心とした炎上騒ぎ,いわゆるバカッターと呼ばれる行為と,それに対する当人の意識と周囲の反応です。

バカッターと呼ばれているたいていの行為は,社会的に認めてはいけないものばかりですし,実際問題,道義上問題があるものが多くあるでしょう。一方で,実際にその行為をしているユーザにとっては,⁠あくまで自分たちの周りだけ」「友人同士のコミュニケーションの一環」という思いが強いのではないかと筆者は思っています。結果,誰にも見られていない⁠「自分だけのタイムライン」が存在している⁠という誤った認識が,そのユーザにはあり,実際は,自分以外の誰かに見られている状況が,炎上につながっていくわけです。

この点については,先ほど述べた,情報発信欲が薄れていることにもつながっているのではないかと筆者は考えています。また,炎上騒ぎに関しては,当人以外の周辺ユーザが必要以上に騒いでいる部分が大きいとも感じていて,⁠その騒ぎを見つけた自分の表現」という,承認欲求につながっているのではないかと思っています。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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