エンジニアのためのイベント映像活用方法

第5回 大規模イベントでのUstream配信の設計(その2)

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会場の下見

Ustreamの話だけではないのですが,大きめのホールなどを使う場合には,できる限り会場の下見をしましょう。

会場の図面だけでもそれを使った配線の設計をすることはできますが,大抵の場合は図面通りにはいきません。こちらの技量や経験の不足による面も大きいとは思いますが,実体を目で観たほうが確実です。

例えば日本Ruby会議2011は練馬文化センターを会場として開催されました。この時も運営スタッフによる会場の下見が行われたのですが,私はその日に都合がつかず参加できませんでした。

ただ,文化センターの施設概要のページで舞台平面図が公開されていたので,それを利用して,簡易な配線設計をしました。

図8 下見せずに行った配線設計図

図8 下見せずに行った配線設計図

この時は,まだTwinPact 100を使っていたので,発表者のPCのVGA出力をTwinPact 100へ入力する必要がありました。図面を作って「10mちょっとくらいかな?」と判断し,⁠15mのケーブルがあるから大丈夫!」と思っていたのです。

しかし,開催前日の設営時にトラブルが発生。事件は現場で起こるわけです。

いろいろと機材を設置していくうちに,15mのケーブルでは届かないことが判明します。この時は他のスタッフのアイデアと予備機材などを駆使して回避することができました。

下見に行ったからといって,想定外の事態が無くなるわけではありませんが,冷や汗をかく機会はできるだけ減らしておきたいところです。

なお,このトラブルの詳細は「Rubyist Magazine(るびま⁠⁠」の0035号にMaking of RubyKaigi - Making of KaigiFreaks 配信班で具体的に紹介しています。こちらも合わせてお読みいただけると,より「冷や汗」を共感していただけるはずです(笑)

ポリシーの共有

大きめのイベントでの配信は複数のメンバーでチームを作って実施する場合があります。また開催当日に協力していただける「当日スタッフ」と呼ばれるボランティアメンバーに配信チームへ参加していただくこともあります。

このような時に「どのように配信を行なうのか」のポリシーやゴールがチーム内で共有できていると,⁠配信プロジェクト(!⁠⁠」がうまく回ります。

順番が前後してしまうのですが,配線の詳細設計をする前に,このような全体設計を作成することがあります。

図9 全体設計

図9 全体設計

「プロジェクト憲章」「インセプションデッキ」とまではいかなくとも,複数人が関わるプロジェクトであるなら,基本的な認識にズレが出ないような配慮のために,こういったものを作っておくのも良いでしょう。

もっとも,このような活動に関しては「大きめのイベント」全体の運営のほうがより影響があります。スタッフ数が十数人から数十人規模にもなる場合がありますので,意思の統一が必要になってきます。

仕事以外ではなかなか数十人規模の「プロジェクト」に関わる機会も少ないと思いますので,こういった「大きめのイベント」の運営スタッフに参加してみるのも良い経験になると思います。

これまで,PHPカンファレンスやPHP Matsutri,日本Ruby会議,PostgreSQL Conference,LLイベントのスタッフとして関わってきましたが,それぞれ全く違ったプロジェクト運営をしていて興味深かったです。

既にスタッフ経験のある方も「いつものコミュニティ」だけでなく,たまには別のコミュニティ(もちろん自分が興味のあるもので構いません)のイベントも手伝ったりしてみると,また違う経験が積めると思いますので面白いと思いますよ。

まとめ

今回は,前回に引き続き,数百人の参加者がいるような「大きめのイベント」でのUstream配信をする際に考慮すべき点を解説しました。

音声の取り込み方や,電源・ネットワークの配線や設計についても触れ,それぞれ物理的に接続する必要があるため,会場の下見が重要なことを示しました。

また「大きめのイベント」を開催するのは「プロジェクト運営」に他ならず,そこへスタッフとして参加することで,自分の経験を積めるという話もしました。繰り返しになりますが,多様な経験を積める良いチャンスだと考えてみてはどうでしょうか。

さて,次回は実際のイベントを模して「Ustream担当者が行なうこと」を通して解説してみます。また,これまでの配信時に気付いたこまごまとしたところも紹介できると良いなと思っています。

著者プロフィール

鈴木則夫(すずきのりお)

株式会社クロコス所属ではあるものの,本連載と業務とは特に関係がない。

個人的な興味として,勉強会やカンファレンスのUstream配信を行なってきており,ときおり「KaigiFreaks(配信班)」の名の元に活動している。

「suzuki」というアカウントを取得するのが好き。

Web日記:http://suzuki.tdiary.net/
Twitter:@suzuki
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