エンジニアをレベルアップさせる「ファシリテーション入門」

第10回 ファシリテーション力をアップさせる方法

2009年2月16日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

何を意識するか?

ファシリテーションの技術は幅広いです。実践にあたって,どこから手をつければよいか迷うことも多いと思います。

そんなときは,話し合いの前に,一つか,二つ意識するところを決めて,やってみるに限ります。欲張ってあれもこれもと考えると,結局中途半端になってしまいます。少しづつポイントを絞り実践し,得意分野をつくる。そして幅を拡げていくという作戦でいきましょう。

オススメの意識ポイントを紹介します。

1.そもそもを意識する

話し合いの『そもそもの目的』を明確にする。これを意識してみてください。

実際,日常の会議風景を見ると,かなりの確立で目的が不明確なケースが多いです。ここをはっきりさせるだけで,会議はしまったものになります。

また,話し合いに熱中するあまり,目的から脱線するのもよくあるケースです。こんなときに,⁠そもそもどういう事でしたっけ?」と元の軌道にもどす役をしてみます。

2.進め方(プロセス)を意識する

話し合いの内容よりも,進め方に注目します。話す議題の優先順位や順番,時間。そういったものに神経を集中させます。

話し合いがはじまっても,意識するのはプロセスです。今話し合いの場はどういう状態か?盛り上がっているか,しらけているか?話したそうにしている人がいないか?などに気を配ってください。

3.話を聴くことを意識する

今日は,話さないと決めて,じっくり腰を据えて話を聴くことに徹してみましょう。結論をあせらず,発言の背景をじっくりと探求してみるのです。

普段は自分が何を話そうか考えている時間を,人の話に聞く時間にまわす。そうすると案外人の話が聞けることに驚くでしょう。また,何か話したいという欲求がでてくるのを感じましょう。この欲求にどうしたら勝てるか考えてみてください。

4.ひたすら描く事を意識する

発言をただひたすらホワイトボードに描いてみましょう。慣れてきたら色に凝ってみたり,描くスタイルを変えてみたりしてみます(発言を箇条書きにしてみたり,マインドマップのようしてみたり⁠⁠。どうしたら,みんながホワイトボードをみてくれるかを意識しながら描いてみましょう。

5.質問することを意識する

話し合いの場が盛り上がるような質問を考えます。自分自身の意見を述べるのではなく,みんなに考えてもらうような問いかけを考え,質問することに徹します。

「みなさん,XXについて,どう思いますか?」
⁠なぜ,YYが必要と思われるのですか?本当に必要なんですか?」

本質をつく質問は,場の雰囲気を一瞬でかえます。うまくそんな質問ができたら,それはどんな質問だったかを考えてみてください。

以上,意識するポイントを5つ紹介しました。他にも自分で強化したい点や,得意な点などのポイントを意識して実践してみましょう。

どこで実践するか?

どういう流れで実践するか,どこを意識するかを決めました。次はどこで実践するか,です。やってみたいものの実践の場がない場合や,会社の会議ではまだ自信がないという場合に有効な方法を紹介しましょう。

1.実践の舞台(小さな会議)

まず,社内の小さな会議でやってみましょう。人が3名集まれば,立派な会議です。ファシリテーションの実践練習場としては十分です。ドンドン試してみましょう。

2.実践の舞台(家庭)

もう一つ実践の舞台を紹介しましょう。それは,家庭です。

家庭は実践の舞台として最高です。それはいろんな世代・価値観の人が集まり,対立が自然に生まれる場だからです。

夫婦関係も,親子関係も,顔を合わせて暮らす以上いろんな意見の相違が生まれるのがごく自然ななりゆきです。

これを解消するのに,ぜひファシリテーションを活用してみましょう。家族の間も良い関係になり,仕事に役立つファシリテーション力も向上し,まさに一石二鳥です。

さらに家庭でファシリテーションを実践するメリットは他にもあります。子どもがいる場面でファシリテーションを実践すると,子どもの対人関係能力が大きく向上します。

話し合いによって考えもしなかったアイデアが生まれたり,争いでなく話し合いで対立を解消できる術を見た子どもは,学校でも同じことをするのです(子どもは学習の天才です。興味あるものへの吸収は,大人より格段に優れていると感じます⁠⁠。

また,こういう方法があることを知るのは,子ども達の将来にとって何物にも変えがたい大きな財産になると思います。

さあ,実践。

後は実践するだけです。失敗をしながらも学び向上していく,そんな姿が周囲に影響をあたえます。

ファシリテーションを広めるのは,ファシリテーションの達人ではありません。転びながら,間違えながらも,懸命に理想に向かって進む人たちなのです。

さあ,私と共に,ファシリテーションを実践しましょう!みなさんからの実践報告もお待ちします!

著者プロフィール

野口和裕(のぐちかずひろ)

13年間の会社員時代,SEとして企業や官庁で各種システムの設計に従事。製造業,建設業,人事システムの構築を数多くこなす。その後,独立しフリーランサーのSEになる。現在有限会社NTX)を設立し,SEの傍らヒューマンスキルの研修を行う。

著書は『SEのための「どこでもやれる力」のつけ方』(技術評論社刊)。3度の飯はお好み焼きでOKという広島人。

ブログhttp://blog.livedoor.jp/facilitator/

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