玩式草子─ソフトウェアとたわむれる日々

第21回 64ビット化への遠い道程[その3]

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GUI環境

GUI環境はX11R76をベースに,KDE-4.4.5Xfce-4.8が入っています。

図3 Plamo64のXfce-4.8環境

図3 Plamo64のXfce-4.8環境

Xのサーバはxorg-server-1.9.3で,最近のXでは設定ファイルであるxorg.confが無くてもそれなりに動くようにはなっているものの,xorg.confを作っておく方が制御しやすいように思うので,手元ではxfplamoconifg/etc/X11/xorg.confを作るようにしています。

なお,xorg.confで指定してもキーボードが日本語モード(JP106)にならない,というバグレポートが届いています。一応,手元の環境ではxorg.confの

Section "ServerFlags"
        Option      "AutoAddDevices" "false"
EndSection

の部分を有効にしておけば,InputDeviceセクションXkbLayoutの設定で切り替えられることを確認していますが,環境によってはこの設定だけではダメで,udevレベルの設定を追加する必要があるそうです。詳細については,メンテナの加藤さんのページを参照してください。

Plamo-4.73に含まれていたGUI環境のうち,twm,afterstep,qvwmといった古い世代のウィンドウマネージャやGNOMEは(現在のところ)Plamo64には含まれていません。また,ktermやkinput2など,古い世代のX用アプリも含まれていないので,KDEやXfceといった統合デスクトップ環境を使いたくない人は注意してください。

なお,これらのパッケージは廃止したわけではなく,メンテナの手が回らないので64ビット環境に移行できていないというのが正直なところです。これらのパッケージが必要な方はぜひ開発にご協力ください。

日本語入力環境

上述のように,古い世代のX用アプリにはメンテの手が回っていないため,長く使っていたkinput2やCanna,FreeWnn等は未サポートで,インプットメソッドとしてuimIBus変換エンジンとしてはAnthySKKになっています。

Googleが開発したmozcも面白そうなのですが,UTF-8環境を前提としているようで,現状ではうまくビルドできていないようです。

kinput2やCanna等も廃止というよりメンテナの手が回っていないので,必要な方はぜひご協力ください。

エディタ

Emacsは23.3.3に更新し,スケーラブルフォントを使うようになっています。

図4 Emacs-23.3.3の起動画面

図4 Emacs-23.3.3の起動画面

現在,Emacs自体は問題なく動作していますが,かなり凝った作りになっていた個人設定ファイル類の見直しが必要になっていて,細部の調整にはもうしばらくかかりそうです。

viは一時期vimにしていましたが,使いなれたnviの方が手に馴染んでいるので,Plamo-4.73同様nvi-1.79_m17nに戻しています。個人的には,EUC-JPロケール上ならばこのバージョンが一番使い勝手がいいように思っていますが,ベースとなっているnviがUTF-8には対応していないバージョンのため,最近増えているXMLベースの設定ファイルを修正したい場合はvimに入れ替えた方が便利かも知れません。

サウンドサーバ

Plamo64では,従来使っていたesd(Enlightened Sound Daemon)に代わり,Pulseaudioをサウンドシステムに採用しています。Pulseaudioは,開発が停滞しているesdに置き替わることを目指したサウンドシステムで,esd互換の機能に加えて,より新しい機能がいくつも組み込まれています。

たとえば,esdでは音量の調整はシステム全体で共通でしたが,Pulseaudioを使うとアプリケーションごとに音量を調整するようなことも可能になります。

図5 pavucontrolの画面例

図5 pavucontrolの画面例

もっとも,その分,設定は多少複雑になっていて,/etc/pulse/以下の設定ファイルでロードするモジュールを細かく管理しています。音声が正しく出力されない場合は,このディレクトリにある設定ファイルを確認してください。

TeX

メンテナの加藤さんのご苦労でptexlive-2010がパッケージ化されました。

TeXをUNIX環境で使いやすくするためのディストリビューションにはいくつかの種類があり,Plamo-4.73まではteTeXをベースにしたpteTeX3を利用していましたが,大本であるteTeXの開発が終了したため,TeX Liveプロジェクトの成果を元に日本語対応したptexliveに移行することになりました。

加藤さんによると,TeX Live-2009にptexliveパッチをあてたptexlive2010環境をパッケージ化していて,基本的な機能はほぼ使えるようになったとのことです。詳細については加藤さんの紹介ページをご参照ください。

ただし,このパッケージはかなり巨大で,圧縮時で902MB,展開するには約2GBの領域が必要です。これは,元のTeX Liveの開発者たちが,一つのパッケージとしてまとめるよりもLiveDVDといった形で利用することを想定しているためで,流通しているTeXマクロの一大コレクションの観を呈しています。

このように巨大なパッケージのため,私も含めテスターの手が回っていないので,TeXに関心と必要のある方はぜひテストにご協力ください。

メディアプレイヤー

前回も紹介したように,Plamo64ではxineMPlayerVLCtotemの各プレイヤーを収録すると共に,GTKベースのxineのフロントエンドであるgxineやQtベースのMPlayerのフロントエンドであるSMPlayerなども収録しています。

なお,本連載でも何度か取りあげたtotemのYouTube動画再生機能は,アプリケーションからビデオデータへの直接アクセスを制限するというYouTube側の方針のため,現在は使用できなくなっているようです。

正確に言うと,totemが利用しているlibgdataというGoogleの各種サービスを利用するためのライブラリレベルで,解像度の高いビデオデータへのアクセスが制限されている そうです。

APIの変更に対応するという技術的なレベルの問題は容易に解決できますが,この種のライセンスレベルの問題の解決にはかなり時間がかかることでしょう。


以上,簡単にPlamo64の変更点や注意点を紹介しました。最初にも述べたように,Plamo64は現在も開発中で,開発中のスナップショットをテスト用にまとめたDVDイメージはFTPサーバのPlamo-test以下のディレクトリで公開しています。Plamo-testディレクトリはミラーサイトでも公開されており,KDDlabsのサーバでは以下のURLでアクセス可能です。

本稿執筆時点では,plamo64-0.3-110408_dvd.isoが最新のテスト用DVDのイメージになっていますが,このファイルは適宜更新されるはずなので,バージョン番号や日付はアクセス時点での最新版を探してください。

なお,x86_64用のバイナリはx86用に比べて数割程度大きくなると共に,動作に必要なライブラリ等も増えているため,必要なディスク容量はTeX環境を除いてもPlamo-4.73の1.5~2倍程度になり,TeX環境を入れるためにはさらに2GB程度が必要になります。テストに協力いただける方はディスクの容量にはご注意ください。

著者プロフィール

こじまみつひろ

Plamo Linuxとりまとめ役。もともとは人類学的にハッカー文化を研究しようとしていたものの,いつの間にかミイラ取りがミイラになってOSSの世界にどっぷりと漬かってしまいました。最近は田舎に隠棲して半農半自営な生活をしながらソフトウェアと戯れています。

URLhttp://www.linet.gr.jp/~kojima/Plamo/index.html