モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第16回 絵空事で終わらせない[実行者]たち

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モヤモヤのままで終わらせない[実行者]たち

Kさんは「絵の力はすごいすごい」とおっしゃって赴任先に帰って行かれました。しかし,そのモヤモヤを晴らしたのは,実際は絵ではなく,そこにこだわったKさんの"思い"です。

恐らくKさんの頭の中には,⁠失敗を許す」⁠許さない」の判断を迷ういくつかの具体的なシーンがモヤモヤした状態であったのだと思います。⁠納得できない」⁠頭ではわかっていてもできない自分がいる」と吐露したKさん。Kさんに限らず,⁠自分の絵として持ち帰る」議論を進める人たちに共通するのは,そのモヤモヤをどうにか晴らしたいという強い「思い」だと思います。

そして,その"思い"や"こだわり"がだれよりも強いのは,⁠実行]を前提に議論をしている人だからです。なんとかしなくてはいけないという[責任]がだれよりも強い人だからです。

絵を見ても「そうはいってもお客さんが」とか「上司が」とか「うちの会社の文化は」と,⁠だれかのせい」⁠何かのせい」にして言い訳してしまう人は,<対話>がなかなか楽しめません。その絵はだれのものでもない,自分たちが交わした議論の姿なのに,どこか他人事のように見ています。

でも,リーダーたちはあぶりだされた絵から逃げない。会社のせいにしない。外部環境のせいにしない。だから,だれよりも先に絵の前に立って,議論を推し進めていく,じぶんの絵として持ち帰る貪欲さが自然と生まれるのではないかと思っています。

彼らの口癖は「納得できない」⁠見えない」⁠イメージが違う」⁠なんだかしっくりこない」といったもの。絵がじぶんのイメージと違えば,⁠このサービスをする人の絵は,もっと下から支えている感じ」といった具合に細かくその違和感を伝えてくれます。私は喜んで描き直します。

「優秀なリーダーの話は絵にしやすい」第5回で話しましたが,優秀なリーダーが"常に"具体的なイメージを持って話をするから「描きやすい」と言っているわけではありません。比率で言ったら,⁠なんとなくイメージはあるけれど,絵にならない」もどかしさを強く抱えているほうがずっと多いと思います。でも「絶対,こっちの道にすすむべきなんだ」という"思い"が人より強いから,絵を目にしたとき,自分のイメージに近づけるように,立ちあがって議論し出すんだと思います。

リーダークラスのダイアログを推し進める力強さは,⁠実行][責任]を持っている表れにほかなりません。⁠責任]を取ると言いきる力強さに比例しているとも言えます。

Kさんも,このモヤモヤをはっきりさせなければ,じぶんは「できない」と言いきりました。そんな人が推し進めるダイアログはとても力強いです。

気になる絵を指差してみることから始まる

議論がなぜモヤモヤしているのか,当事者である人たちには,本当に見えにくいんです。そもそも議論がモヤモヤしていること自体に気付かない。違和感も感じないまま,議論が流れていくこともほとんどです。

でも,絵は鏡。そのモヤが晴れれば晴れるほど,人の行動を変える力強さがあります。私の筆が迷ったときこそチャンスです。そして次に筆を進めてくれるのは,私のいたずら描きでは決してなく,その「場」の参加者たちが交わす言葉,<対話>です。

筆の迷いにピンと察知が速いのは,リーダークラスの人たちが多いのは事実です。でも,モヤに隠れた絵を描き出すには,その人一人ではできません。その場の人たちがつくり出す<対話>でしかないんです。

間違いなく,絵の前に立ったら,そこには役職も立場も関係なくなります。だれが最初の口火を切ってもいい場です。内容もスゴイことを言う必要はありません。⁠私はこの絵が印象に残った」と指差すだけでいい。それが絵に許される"遊び"の部分です。

そして,そんな大したことのないようなつぶやきが,他の人の中に眠っていた言葉を引き出したりします。敏感なリーダーはそのつぶやきに飛びつきます。私自身もその絵がどうして印象に残ったのか教えてもらいたくなります。そうして自然と生まれる<対話>が「じぶんたちの絵」としてあなたの心の中に残り,その後の行動を変えていくんです。

次回も,グラフィックの楽しみ上手な方を紹介したいと思います。そのその人たちはチームや組織を巻き込む力がとっても上手な人たちです。

ということで今日のところはここまで。グラフィックファシリテーターのゆにでした(^-^)/

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著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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