Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第5回 それをLifeLogと呼ぶのか…

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なくしたものについて分析する

とっておけば,いつか役に立つことはあると思いますし,その「いつか」は,検索技術やハイパーリンクなどの体系によって,けっこう高い頻度で訪れることがわかってきました。⁠けっこう高い頻度」をどう数えるかは主観的評価なので,説得できるかどうかはかなりむずかしいのですが,1年ほど記録してみたじっさいのデータに基づいていえば,1年間で「出てきた!」と感じたことは500件程度あり,1日に1~2回は役に立ったと感じることがあるようです。

なくしたものに関する分析

なくしたものに関する分析

日々,なくしたものと見つかったものに関する分析をしています。この分析によれば,デジタル化はもの捜しにはきわめて有効だろうと思います。

ひんぱんにやってくる「いつか」=セレンディピティ!?

主観的評価ではありますが,この頻度は低くはなく,これがLifelogの有効性のひとつの目安といえると思います。こういう意味のある偶然をセレンディピティと呼ぶのが流行ですが,1日に1回もセレンディピティがあるのでは,それをセレンディピティと呼ぶのでは,内容をうまく表現できているとはとうてい思えません。ここでも別の命名が必要です。セレンディピティがセレンディップの王子から来ているのなら,メモリティ(©美崎薫)とかでしょうか。もうちょっといい名前を考えます。

いっぽう,どうしても見つからないということも当然あるわけで,それも筆者の統計では,40年で10件ほどとなっています。

ま,そういうわけで,コンピュータのファイルは捨てない,というのをLifelogの大原則と考えていただければよいかと思います。

捨てないとどうなるか? ファイルが増える

「捨てない」原則を実践すると,必然的に訪れる帰結は,ファイルが増え,容量も増える,ということです。変更するたびにファイルの履歴をとっておくことを,筆者は1989年ごろから実験的かつ断続的に継続しています。結果としてファイルの総数は2008年4月末の時点で120万程度,容量はバックアップを含めて10TBを超えています。

捨てなければデジタルでもかさばる

「捨てる派? 捨てない派?」については,Namazuの作者である高林哲さんが,捨てなくても電子的にはかさばらないとおっしゃっていますが,とんでもない,やっはり電子的にだって捨てなければかさばるものです。紙がなくなったぶん,ハードディスクが増えている状況で,ほんとうにモノが減っているのか,疑問に思うこともあります。

容量10TBのファイルをマネジメントするには,システム管理者としてもそれなりの方針をもたないと,なかなかうまくいきません。バックアップやハードウェアの管理もたいへんです。

せいぜい120万だ

もっとも「厖大(ぼうだい⁠⁠」といっても,たかだか120万ファイルです。たぶん一生のうちに目にした紙すべてであっても,その1000倍とかにはなりません。意外と少ないものです。高林さんは捨てないことを,⁠後から必要になるかもしれない症候群」と揶揄していらっしゃいますが,前記のように,筆者の場合1日に1~2回は役に立っているわけですから,このような「死んだデータベース」を構築しているわけではありません。

高林哲さんの『私の情報整理術:捨てる派の情報整理術』

高林哲さんの『私の情報整理術:捨てる派の情報整理術』

たとえばここで高林さんの話を挿話することは,捨てない派と捨てる派を比較する点で興味深いと思いますが,この高林さんの話は,あらかじめ用意していたのではなくて,この原稿を書いているときにふと出てきたものです。つまり,検索したのでもなくて,ふと見ていたら出てきたのです。ちまたではこういう意味のある偶然をセレンディピティと呼びますが,筆者の場合それが1日に1~2回あるのです。

高林哲さんの『私の情報整理術:捨てる派の情報整理術』が出てきた日の日記

高林哲さんの『私の情報整理術:捨てる派の情報整理術』が出てきた日の日記

高林哲さんの『私の情報整理術:捨てる派の情報整理術』が出てきた日の日記2005年12月28日(水)の日記を見ていたら,高林さんの話「全文検索システム Namazu」が出てきました。

動画はまだ

このファイルのなかには,動画はほとんど含まれていません。動画の容量は圧倒的に大きく,それを現時点でハードディスクで保存するのはほとんど不可能だろうと考えています。

たとえば筆者は映画のDVDを1200本以上所有しています。これを容量に換算すると,4.7GB×1200本=5,640GB=5.6TBになります。10TBのハードディスク群は,10台くらいのシステムから構築されているので,もしDVDの映像を現時点ですぐにハードディスクに保存するとしたら,ハードディスクの総台数は15台以上になることになります。ハードディスクが15台というのは,あまり考えたくない状況です。10台だってたいへんなのだから…。ちなみにこの数は,2in1や4in1のハードディスクを1台として換算しているので,パーツとしてのハードディスクということになると,ざっと20台以上が動いている計算になるでしょうか…。

なんだか新しい刺激がほしくなる日々ですね。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。