Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第6回 ハードウェアの近未来

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大容量のディスクはもうある

手法や戦略で対峙しているとはいえ,いっぽうで基本的にGoogleとはおなじことをしているとも感じています。おなじことをしている仲間あるいはライバルという感じもあります。デジタル化して情報を検索可能にし,それを役立てようとするモチベーションは,合わせ鏡のようにそっくりです。

おなじ技術を使っているなぁ,とも感じます。たとえば大容量のディスクです。検索のためのサーバーを,大容量のハードディスクを使って構築するとか,検索のために専用の検索ソフトを開発したりとか,検索だけでなくメーラーまで作っちゃうところとか,必要なツールはどんどん作っちゃうとか,そっくり同じようなことをしているなと感じることがしばしばあります。Googleブックスキャンと,筆者自身のスキャンプロジェクトとかも,やっていることはそっくりおなじです。

21世紀初頭のトレンド

おそらく,これが21世紀初頭のトレンドなのだろう,とも感じます。過去をデジタル化していくこと。そうしてしばらくすると,それをどう活用するか,という話が出てくるわけで,じゅうぶんにデジタル化が進んでくれば,それについてやがてそれは時代の必然だったというように評価を受けるのかもしれません。

「仕事は,その遂行のために利用できる時間をすべて埋めるように拡大する」というパーキンソンの法則のように,情報は容れ物の容量まで増えるつづけ,それは,すでに存在する大容量のディスクあっての必然なのかもしれません。

アナログとデジタルの断絶

アナログとデジタルの断絶

いまそのギャップを必死に超えようとあくせくしているところです。

ディスクはハードディスク

なんといってもLifelogを基本的に底上げしポピュラーにした技術の筆頭は,ハードディスクの大容量化でありましょう。

市場での次世代DVDとしてのBlu-rayかHD DVDかの競争は,メーカーのエゴのβ対VHSの規格戦争がまだ性懲りもなく続いているのかと,どちらかといえば冷ややかだったようにも感じます。Blu-rayよりもYouTubeのほうがずっとホットだろうし,次世代DVDというのはメーカーの自己満足のような気がしてならないのです。ほんとうにそこにニーズがあるんでしょうかね? ま,余談です。

筆者のニーズはもっと先をいっていて,学会発表レベルでのBlu-rayの4~8層になっても容量はぜんぜん足りないので,はなから相手にしなかった,という感じです。光ディスクの開発の方々,すみません。10TBをバックアップするのに,現在はDVD-Rのディスクも併用していますけれど,その枚数は数百枚でとうてい検索は無理です。バックアップはあるかもなぁ,というレベルでしょうか。

Blu-rayになっても,枚数は1/5程度にしかならないのです。容量という点でいうと,1年分の情報を1枚のディスクに入れることもできないのです。これでは検索なんてしようがない。ディスクをえっちらおっちら手作業で入れ替えるなんて論外です。そんなことするくらいなら,デジタル化なんてしないで紙のままもっていたほうがマシかもしれないです。ああ,筆ならぬキーボードが滑りすぎかもしれません。光ディスクの方々,すみません…。

2000枚以上あるディスクの一部

2000枚以上あるディスクの一部

バックアップ用のディスクは3枚ずつ焼いているので,2000枚以上にはなっています。もはやぜんぜん探す気になりません。

ストレージの優等生ハードディスク

ハードディスクは容量の点で,この10年以上,あるいはもっと前から,きわめて優等生的に増えつづけました。MB(メガバイト)からGB(ギガバイト⁠⁠,そしてTB(テラバイト)へと。

統計的にハードディスクの容量は,5年で10倍のペースで拡大してきましたが,2000年前後は,これを上回るペースで容量アップを重ねてきました。最近もつぎつぎと限界を打ち破る技術が生まれています。

筆者はだいたいそのときどきの最大容量のサイズのハードディスクを順次追加購入して2008年6月現在に至りますが,ついに2007年の段階で4TBのディスクを購入する必要がなくなり,ディスクの容量の増加のほうがデータの量の増加率を上回るようになりました。一時期は,データの量の増加率のほうがディスクの容量の増加率を上回っていたこともあって,ハードディスクのメンテナンスがあまりにもたいへんで,1年ほどスキャン作業を停止せざるを得ないことがあったのが夢のようです。いまそのギャップを必死に超えようとあくせくしているところです。

容量の増加曲線

容量の増加曲線

ハードディスクの容量増加が停滞気味だった一時期,デジタル化をお休みしていたこともありました。

2TBの壁

それよりもびっくりしたのは,WindowsXPの限界です。標準構成では1ディスクとして扱えるディスクのサイズが2TBだというじゃないですか。ハードディスクはさまざまな制約を超えて進歩してきましたが,ここでまたひとつの壁に当たっているようです。

ディスクを入れ替えないという観点では,1ディスクであるかそうでないかには決定的な差がでてくるので,ディスク容量の上限というのは,いずれ撤廃してほしいものです。この点ではLinuxのほうが先んじています。2TB限界を解決ずみというWindowsVistaはベストバランスのマシンをまだ見つけかねていたり,ソフトの互換性や文字コードの互換性を考えてまだ二の足を踏んでいます。

フラッシュメモリに期待する

ハードディスクに較べると,光ディスクは論外。動作の安定性や静粛性,動作電力の点で注目してきたのがフラッシュメモリです。

2008年5月には,ついに128GBや250GBのフラッシュメモリの開発成功のアナウンスが行われました。もうちょっと遅いかもと思っていただけに,うれしいことです。もっとも発売は年内以降のようですから,手放しで喜ぶ程でもないし,価格にもよります。250GB×4台で1TBになることを考えれば,現在の全データをフラッシュメモリで蓄積する日も,ひょっとしてそう遠くないのかもしれません。10万円/250GBと仮定してみると,40万円/1TB。う~ん,もうちょっとですかね~。

Googleは今後のデータ蓄積をフラッシュメモリにするという方針を出したというので,大量使用による低価格化にも期待したいです。いくらGoogleとおなじことをしているといっても,規模の差は歴然としています。スケールメリットの恩恵は,Googleによってしか得られないです。ま,ここは素直に勝ちを譲ります。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。