マネジメントの現場 ――良いチームを作るために必要なこと

第3回 チャレンジングな目標を設定するには

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ObjectiveとKeyresult設定のヒント

Objective注5は,達成したあとに実現していたら理想的,と思える目標を設定する。

「3ヵ月後までに開発中のプロダクトをリリース」という目標があった場合,そのプロダクトがリリースしたときの理想の状態を考えます。たとえば「プロダクトがリリースされており,改善のための定期的なリリースが行える開発体制が整っている」という目標のようにするとよいです。

Keyresult注6はOKRに対する仮説で考え,極力measurable(測定可能)な目標に設定する。もしプロジェクト初期などで計測可能な目標設定が難しい場合,アクションプランを立て,その進捗率などで計測できるようにする。

「今年の10月から目標設定にOKR導入する」というプロジェクトがあり,そのプランニングがKeyresultの一つになっていた場合,以下のようなアクションプランを定義して,その進捗率で設定したKeyresultを評価するとよいです。

  • 7/10 OKRについての他社運用状況のリサーチが完了
  • 7/20 リサーチ結果に基づき,自社での運用ルールの素案作成と運用ツールの選定が完了
  • 7/30 選定した運用ツールを用いて有志でOKRのトライアルをしフィードバックを得る
  • 8/10 フィードバックを参考にした導入プランのたたきを作成
  • 8/20 各事業部のステークホルダーと合意し,運用ルールと導入プランを具体化が完了
注5)
OKRにおける目標であり,⁠何を目指したいのか」という目標を設定します。
注6)
Objectiveを達成するための成果指標で,⁠目標を達成するために何をすればよいか」を到達度が測れる形で設定します。

日々のチャレンジを通じてどうなりたいかを考える

目標を立てアクションすることにより成果が出しやすくなり,組織の成長と自身の成長確度は高まります。結果として評価され,昇進して給与が上がり,より大きな役割を任されることもあるでしょう。ですがその視点だけでは,自身の将来やりたいことや目指しているキャリアにはつながらないこともあります。

そのズレをなくすため,中長期的に自分がどうなりたいか,どんなライフスタイルを実現したいかを考え,そこから逆算をした目標設定が必要です。

  • 「3年後にCTOになりたい!」
  • 「30歳までに年収を〇千万稼ぎたい!」
  • 「40歳を越えたら地方に住んでリモートで仕事をして自然の中で暮らしたい!」

こういった欲望にも近いような個人の根本にある想いを目標として言語化し,それをマネージャーに共有します。そうするとマネージャーは業務での活躍を通して将来の目標に近付くための支援

ですのでマネージャーが初めてのメンバーと1on1を行う際には,将来のキャリアについてヒアリングし,将来の目標をしっかり持っている人なのかそうでないのかは見極めてあげ,もしその目標がなければ,業務での成長を通じて将来の目標を考えられる支援をしてあげるとよいでしょう。

組織に貢献していれば自然と成長し評価され,それが積み重なりやりたいことができるというのはあります。しかし,ほとんどのケースにおいて企業の業種と個人の職種は特定の領域にフォーカスしているので,業務やドメインの知識と経験の強みが偏り,特定の業界/業種や特定の職種で活躍できるような個人成長を遂げます。自身の将来の目標しだいでは,それが理想とはかけ離れてしまったなんてことも起こり得ます。

そうならないためにも,⁠将来どうなりたいのか」を考え中長期的な目標を持っておき,定期的に振り返れるようにすることをお勧めします。

よりチャレンジングな思考になる

僕がチャレンジングな目標を立てるときに意識している一つのことがあります。それは,任天堂の宮本茂氏がおっしゃっていたとされる「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」という言葉です。

目標を考える際にまず「理想的な状態」を定義し,それに向かって取り組む際に起こる課題を洗い出します。そして,複数の課題を解決するアイデアを試行錯誤して考え出します。そうすると積み上げの思考にもならず,ゼロベースで考えたり,普段と違ったアクションに導かれます。

こうして自然とチャレンジしていく思考とスタイルが身に付き,その繰り返しがいつか大きな成果と成長のイノベーションにつながっていくのだと思います。

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著者プロフィール

是澤太志(これさわふとし)

幼少時代からゲーム開発に興味を持ち,中学から『マイコンBASICマガジン』に触れプログラミングを学びはじめ,高校では授業でCOBOLを学び趣味でC言語を学びはじめる。高校卒業後は東京で新聞奨学生としてゲームプログラミングの専門学校へ通う傍ら,Webチャットサイトを運営などを行いインターネットとWebエンジニアリングにハマる。2000年に愛媛のITベンチャーで働いたのをきっかけにITエンジニアとなり,株式会社トーセ・株式会社シーエーモバイル・株式会社ALBERT・株式会社Speee・株式会社メルカリなど12社でテックリードやCTO,VP of Engineeringというエンジニアキャリアを経て,2020年にサイカにジョイン。またその傍ら,8年ほど続けてきた個人事業主を2018年8月に法人化し,合同会社クロスガレージのCEOとして複数社の技術・組織・プロダクトの顧問なども務める。

合同会社クロスガレージ:https://x-garage.jp/