実践!GTD~一歩先の仕事管理

第9回 営業職におけるGTD実践例

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3.整理・レビューステップ

以下にレビュー作業の全体図を用意しましたので合わせてご覧ください。この図は,物理的な物体に焦点を絞ってまとめてあります。

処理ステップを実行し,しなければいけないタスクは全てタスクシートになりました。Hさんは整理ステップで,以降の実行ステップで実施しやすいように処理を行います。具体的には,各タスクシートについて,具体的な作業を次の行動を書き込んだり,新しい情報に最新化したりします。

  • (1)既存のタスクシートをポケットから取り出す
  • (2)各タスクシートについてタグ付けをする
  • (3)各タスクシートを振り分ける
(1)既存のタスクシートをポケットから取り出す

今までの収集ステップと処理ステップは,新しく出てきたタスクについての処理でした。既存のタスクシートについては,このタイミングから処理対象に入れます。通常は,INBOX,TODAY,WEEK,HOLDポケットからタスクシートを取り出します。毎月1日には,プラスSOMEDAYポケットからタスクシートを取り出します。

(2)各タスクシートについてタグ付けをする

タグ付けとは,具体的な次の行動をタスクシートに書き込む作業のことです。抽象的になりがちなタスクを,この作業で具体的な行動に落とし込みます。

更に,動詞に○をつけたり,タスクシートにコンテキストをつけたりして,Hさんが実行しやすいように工夫します。

(3)各タスクシートを振り分ける

GTD+Rのルールに「だいたい」従って,タスクシートをGTD+Rのポケットに振り分けます。⁠だいたい」と言ったのは,Hさんの独自ルールがあるからです。

Hさん独自のTODAY・WEEKポケットの使い方

Hさんの整理・レビューステップで注目すべき所は,TODAYポケット・WEEKポケットの使い方です。Hさんの話を聞いていると,どうやら,TODAY・WEEKポケットを実行期限として使っているわけではなく,自分の注目度合いによって使い分けているようです。

GTD+Rでは,NextActionリストに代替するものとしてTODAYポケットとWEEKポケットが用意されています。TODAYポケット・WEEKポケットはそれぞれ,今日やるタスク・今週やるタスクを振り分けることになっています。Hさんの場合,この意味合いを大きくとらえていました。

Hさんは,TODAYポケットは近々で行う作業を,WEEKポケットは緊急ではないけれども,近々行う作業を割り振るようにしていました。勿論,ポケットに入れる際には,TODAYポケットにはできれば今日行いたいものを入れています。しかし,⁠できれば」ということなので,必ず守る必要はありません。

GTD+Rが初めて紹介された時,私はTODAY・WEEKポケットの使い方に危惧していました。というのも,GTDでは,その日にできないタスクを持ち越すのがストレスになるのを取っ払うために,実行日を決めていないリストとしてNextActionリストを用意していたからです。一方, GTD+Rでは,TODAY・WEEKポケットを復活させていました。そんなに仕事が忙しくなければ,GTD+Rの割り振りでも問題ないかもしれません。

しかしHさんはどう見ても,そうではありません。営業職で,突発的な仕事も一杯入ってきます。Hさんは,TODAY・WEEKポケットの捉え方を見直し,うまいこと回避していました。どうやってそれを克服したのか不思議に感じていましたが,話を聞いて合点がいきました。

Hさんは,以上のことを毎朝行ってから,本来の仕事の作業に取り掛かります。このレビュー作業を行うことで,今自分がどのような状況なのかを迷うことなく,作業を漏れなく実施できます。

Hさんの2つの大きな工夫点とは

Hさんは,営業職という変化の激しい状況を乗り切るために,2つの大きな工夫をしていました。

  • アナログツールを使ってタスクを一元化して管理作業を軽減する
  • 毎朝レビューを実施することで,頻繁に変化する状況をGTDリストに反映する

これらは,Hさんの営業職という職種の特性に合わせての最大の工夫ポイントです。Hさんはこのように工夫をしていますが,これはHさんの状況に合わせてでのことです。また,Hさんと似た職種ならば,考慮すべきポイントであるとも言えます。

仕事管理を見直すポイントは?

Hさんは上記のような点を考慮し,仕事管理の方法を構築しました。翻って,自分の状況はどうでしょうか? 仕事管理を円滑にするのに,どのような点を考えればよいのでしょうか? そのために,次のようなことについて見直し,今の仕事管理方法ではどんな作業が発生し,問題が出てくるのかを確認するのも,いいかもしれません。

  • 仕事の作業場所はどうか? ほとんど同じ場所か,それとも頻繁に変わるのか?
  • 仕事は頻繁に変わるのか,作業発生は多いのか?
  • 仕事が完了する期間(ライフサイクル)は?

GTDでの仕事管理方法でも,そうでない仕事管理方法でも,見直すことはよいと思います。私自身,GTDで仕事管理を行っていますが,仕事の状況が変わるたびに,GTDであっても細かいやり方を毎回変える必要があります。

例えば,私が複数の案件の運用作業を同時に受け持っていた際,仕事管理のツールにFitzNOTEを使用していました。このツールが,その時点において有用だった理由は,以下のようなポイントがあったからです。

  1. 作業場所がほぼ社内 → 電子ツールにいつでもアクセス可能
  2. 作業の発生は,2~3日に数個発生等の低頻度 → 電子ツールでも対応可能な範囲
  3. 作業は数日~数ヶ月間のライフサイクル → ライフサイクルがまちまちでも,実行済アクションを長期的に保管が可能

今現在はFitzNOTEは使っていません。上記のような状況とは全く異なるため,FitzNOTEは有用な状況ではないからです。最近は,以前に紹介したGWeeklySheetを使って,仕事管理をしています。

実際の仕事管理方法は,状況毎に調整していく必要があります。しかしながら,GTDの良い所は,GTDは考え方であって,細かい実装方法はどのように変えてもよいことです。今の自分の状況に合うように,仕事管理の実装方法を積極的に変えていきましょう。

今の仕事状況が落ち着いたら,その先は?

GTDは今の仕事状況を円滑にするための,仕事管理のやり方の一つです。仕事管理ができるようになってくると,多少の余裕が出てきます。そうすると,今度は別のことをやってみたくなります。そんな中でもGTDは活用できるのでしょうか?

一方,自分自身の能力を高めたいという自己啓発的な欲求もあります。そのために,多くの実用書が出版されています。GTDは,これらに相当する能力を身につけられるのでしょうか? また,身につけられるとしたら,どんなことが力が身につくのでしょうか?

GTDは,余裕が出てきた仕事管理のその先についても活用することができます。また,GTDは自己啓発の上でも充分に役立つと,私は考えています。

次回は,そのようなGTDの将来的な可能性について紹介します。

著者プロフィール

nomico(のみこ)

GTDジャンキー。IT系企業に勤めて仕事にアップアップの日々に,藁をも掴む気持ちで始めたGTDに味をしめ,その後突っ走って過ぎること1年半。研鑽内容についてはブログのworks4Lifeにて展開中。現在は,GTDの理解を日本で深めるためにmixiでGTD勉強会も開催している。好きなウェブサービスやソフトウェアを使い倒す癖あり。目下の興味はEvernoteとDiigo。最近はプロジェクタとストールがほしい。

work4Lifehttp://works4life.jp
GTD勉強会http://mixi.jp/view_community.pl?id=3013597