Re:PoIC~ライフハッカーのためのPoIC入門

第3回 ハンドリング・バイ・PoIC~PoICの理解

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

知識の発見

ドッグの中にカードが貯蔵されてくると,そのカードを分析して知識を拾い出す必要が出てきます。その考え方について考えてみたいと思います。

データベースは「現在どうなっているか」を知るためのものです。銀行口座の引出し残高,新幹線や旅客機の空席予約や友人の電話番号などを管理するのにデータベースは使われています。そこでは『今』どうなっているのかが重要であり,データが「ある」のか「ない」のかがまず問われることとなります。そのために常に最新の情報に更新しておく必要があります。

  • ex.1) 冷蔵庫の中のマヨネーズの残存率は現時点で5%である

一方,データウェアハウスは,過去から現在までのデータの推移から,現在何が起きていて,将来どうなるのか,そしてどうするべきかを判断することに主眼が置かれています。

  • ex.2) 今夜コールスローを作ると,明日にはマヨネーズはなくなってしまうので,今日のうちに買い置きしておこう

データの蓄積の中から,ある意思を決定するためには,データを分析するという行為が必要になります。前述の例で言うと,⁠残りが5%を切ったマヨネーズ」というデータから,⁠今日のうちに買い置きしておこう」という意思決定を導き出す手法のことです。

例えば,僕が情報五段活用と呼んでいる情報活用の段階があります。

  • 「認識⁠⁠- いま何が起きているのか?
  • 「分析⁠⁠- 何故それは起きたのか?
  • 「予測⁠⁠- ほかに何が起こりうるのか?
  • 「結論⁠⁠- いまどうすれば良いのか?
  • 「発展⁠⁠- 将来どのようにしていけば良いか?

「残りが5%を切ったマヨネーズ」というデータを提示し,現状を確認するのが「認識」です。そして,先週はサラダが多く,さらに今夜の献立にコールスローが含まれていると「分析」し,明日にはマヨネーズがなくなってしまうという「予測」をたてています。その結果,今日のうちに買い足しておこうと「結論」することができ,今後は買い置きを忘れないようにしておこうという反省にまで「発展」させることができます。

この過程で単なる数値だった「データ」が,データに意味を加えた「情報」に,そして,ある問題の解決に役立つ情報の集積である「知識」にまで,価値が高まっていきます。こうしたデータの集積から,意味のある情報や新しい知識を発見していく作業を,データマイニングやKDD(Knowledge Discovery in Database:知識発見)とよびます。

その上でPoICの4つのタグを,データを実際の問題解決行動にまで具体化するためのタグとして捉えると,以下のように分類することができます。

  • 「参照⁠⁠:データ = 客観的な事実
  • 「記録⁠⁠:情報 = 自分にとって意味のあるデータ
  • 「発見⁠⁠:知識 = 問題解決のための情報の集まり
  • 「GTD⁠⁠:行動 = 問題解決の為に具体的にどう行動するか。TODO

今を問題にするデータベースで取り扱えるのは「認識」までです。過去から現在までのデータを扱うデータウェアハウス = PoICでこそ,買いにいくという現実の行動や,買い置きを忘れないという反省まで導き出すことができるのです。

まとめ

今回はPoICがカード型データベースではなく,カード型データウェアハウスと呼ぶべきものなのではなかろうかと言うことを,その特徴の比較から考えてみました。単なる言葉の定義上の問題ではないかと言われてしまいそうですが,現在PoICを他の目的で使っているPoICerに,こうした使い道もあるということを提示できればと思い,稿を起こしました。また,PoICに,データウェアハウスとしての機能があると認識することで,その役割の一端をきちんと確定することができます。そして,どのようにカード上のデータを活用していくことができるのかを,理解することも可能になるのではないかと思います。

データウェアハウスは,ビジネス上の意思決定にデータを活用するという観点から,ビジネス・インテリジェンスのひとつとみなされています。しかし,PoICで扱われるデータや決定される意思は,単にビジネス上のものだけではなく,自分自身の生活,あるいは人生という広範囲に渡っています。だとすれば,PoICはライフ・インテリジェンスと呼べるかもしれません。今ならば,冒頭のエリオットの詩に「It's in My PoIC.」と答えることができます。しかし,それはまたPoICの一部分にしか過ぎないのだと思います。

この連載は,僕がPoICについて考えたことを,ほぼその順序に沿って書いています。つまり,⁠43Tabs」を思い付く以前には,僕はPoICをこのように生活改善ツールとして捉えていたということです。無論,⁠PoICはデータウェアハウスである」と断言するものではありません。そのような一面があり,意思決定支援ツールとして使うことが出来る,というだけにとどまります。このコラムは第1回で記したように経験の共有なのであり,意見の押しつけではありません。そして,GTDとの比較,43Tabsを経て,現在僕がこうした考えをふまえて,どのようにPoICを捉え直しているかは最終回でまとめたいと思っています。

次回は,⁠GTDとPoIC~相補完する思想」と題して,同様に個人の生産性向上ツールであるGTDとPoICを比較していこうと思います。

著者プロフィール

野ざらし亭(のざらしてい)

「Blog:野ざらし亭」亭主。他人のアイデアに相乗りする自称知的ヒッチハイカー。現在 はPoICの荷台に厄介になっている。

Blog:野ざらし亭
URLhttp://scribbler.cocolog-nifty.com/