シューカツ女子ともよの会社訪問記―知りたい!あの人のはたらきかた

第5回 大場寧子,久保優子~女性エンジニアの起業

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なるべく早くRuby 2.0へ

と:万葉は受託開発がメインだそうですね。

大:私自身はもともとプロダクトとかサービスが好きだったのですが,プロダクトやサービスっていうのは当たり外れが大きいし,先行投資型になるので売れる状態になるまでかなり投資しないといけない。回収できないかもしれないので,安定して食べていくということが難しいんですよね。私たちは一気に稼ぐことよりも,堅実に安定して会社を経営したほうがいいと思い,今は受託開発を中心にやっています。

久:うちはベンチャーではないんです。零細企業なんですよ。

大:それで多少貯金ができたらちょっと投資してプロダクトを作ってみて,やけどしそうになったらすぐ手を引っ込めるみたいな(笑⁠⁠。そんな感じを続けていますね。

と:女性らしい考えですよね(笑⁠⁠。

久:たしかにそうかもしれませんね。

と:今号の連載や特集でも取り上げられているRuby 2.0とRails 4.0のバージョンアップについてはどうお考えですか?

大:仕事的にはなるべく早く取り組みたいですね。

久:そうですね,できれば新規案件にはRails 4.0 を使っていきたいです。ただ,安全に進めるためにはちゃんとリスクを踏まえていかないと,と思っているところです。Rails 4.0は自社のアプリケーションでどんどん追っていきたいですね。

大:案件度外視でRails 4.0を追う専門部隊を組む余力はないのですが,なるべく早くやりたいので,タイミングを見計らって「じゃあ新しい技術で作りましょう」という提案を積極的にやっていくつもりでいます。

と:なるほど。やっぱり,すごく堅実ですね。

大:そうですね。自分で把握しきれるリスクしか背負いたくないんですよね。

女性社員とパワーバランス

と:ところで,社員さんは何人くらいいるんですか?

久:今は……私たち入れて16人。ほとんどが開発者ですね。

と:女性の社員さんが多いですよね? IT系の会社としては珍しいかもしれません。

久:以前,大場が従業員の男女比を半々にしたいと言ったので,一時期人数比を50:50にしたことがあるんです。そうするとパワーバランスが70:30になっちゃって……。同じ人数なのに,発言力が違うんですよ。

と:へー! おもしろい!

大:お昼のSkypeとかも女子校の昼下がりみたいになって,これはまずい! と思って男性社員を増やすことにしたんです。男女比は2:1がちょうどいいという結論になったんだよね。

と:へ~,女性ってパワフルなんですね。

大:それから,弊社は女子扱いがうまくならないと男性は生きていけないことでもちょっと有名なんですよ(笑⁠⁠。女性が多い分,その点は気を遣うようにしてもらっていますね。

と:なるほど~,女性社長ならではかもしれませんね。採用に関して,ほかに何か基準はありますか?

久:採用に関して一番気を付けてるのは人柄ですね。会社と雰囲気が合うか,合わないか,です。

大:そうですね。その人の行きたい方向性とか。とはいえ,プログラミングが好きな人じゃないとやっぱりダメだと思うので,さすがにプログラマ未経験者はまだ採用したことないのですが,Ruby未経験とか,オブジェクト指向未経験とかの人は採用しています。

久:価値観が合うかどうかなんですよ。技術って教えられるし,ちゃんと人の話を素直に聞いて伸びたいっていう気持ちがある人であれば伸びていくはず。でも価値観とか人柄っていうのは変えられないじゃないですか。

と:そうですよねえ。

久:価値観とかコミュニケーションのしかたとかそういうのって今まで培ってきたのもあるので,そういう部分を新しく教えることはできないですし。

大:とはいえコーディングするのに向いているかどうか,そこはやっぱり見分けてます。

と:人によってコーディングの向き不向きがあるんですか?

大:ロジカルでわからないことはしつこく聞いたり,追求したりする人は経験がなくてもコーディングに向いていると思いますね。向いていないのは,飽きっぽくて,あんまり細かいことにこだわらないタイプの人。根本的に向いているかどうかっていうのを見ています。

結婚と仕事

と:家庭のことと,お仕事とのバランスはどう取っていますか?

大:私は,仕事の比重が高いですね。もとから開発が好きなので趣味も仕事も違いがないです。今までのところ,あんまり家事もしていなくて,好きなことになるべく時間を使わせてもらっています。これから子どもが産まれるので,ちょっと変わるかなと思うんですが,好きなことを多めにやりたいという気持ちは変わらないです。

と:出産後もすぐ社長業に復帰しますしね。久保さんはいかがでしょう?

久:私もかなり仕事の割合が大きいです。私は家事も育児も旦那よりしているのですが,これがずっと続くのかな? という不安は少しありますね。それと,困るのは子どもが病気になったときです。病気のときも見てくれる託児所があったらいいなとか,小さい子のいる母親も父親も働きやすい社会になったらなと思います。それに,育児休暇を取ったあと,職場に復帰しやすいしくみを会社頼みじゃなくて行政が考えてくれればいいのになーっていうことを思っています。

大:それはありますね。自分たちはお母さんの視点と,会社の視点,両方持っているのでそこは難しいポイントです。

久:お母さんの視点に立てば,休むしかない,しょうがないって自分でももちろん思います。でも会社からしてみれば,たとえばみんなが一度に育休を取ると,会社が回らなくなってしまう。このギャップって会社だけでは絶対に解決できないんですよ。

と:育休,国が負担してくれたらいいのになあ。女性へのインタビューは今回が初めてでしたのでいろいろと勉強になりました。ありがとうございました。

「社長室なんてないですよ」と笑う大場さん。長机の真ん中でコーディングに励んでいた。

「社長室なんてないですよ」と笑う大場さん。長机の真ん中でコーディングに励んでいた。

著者プロフィール

堤智代(つつみともよ)

1989年,北海道生まれ。学生。釧路高専卒業後,大学へ編入。Livlisなどのサービスを手がける(株)kamadoにてアルバイト中。IT企業を中心に就職活動し(株)カカクコムに内定。2013年春入社予定。

Twitter:@ttmtmy