Proactive rep! ~担当者によるプロジェクト推進~

第4回 正しい進捗を計るコツ

2008年8月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

計画工数と実作業工数の乖離

作業を進めていくと,計画の工数と実際に作業した工数とが食い違ってきます。とくに実際に作業した工数の方が増大,つまり遅れが発生します。これにはどうやって対応すればいいのでしょうか。

まず,それを事実として受け止めましょう。その上で,何が問題なのか仮説を立てリカバリー案と再発防止案を立てて,そのリカバリー案で良いか伺いましょう。もし伺わずに隠して,勝手に残業したり持ち帰ったりしてこなすというのは,悪質な損失隠しに他なりません。厳に慎みましょう。

なお,手戻りの発生,作業漏れの発生についても同じことが言えます。事実は事実として受け止めて,必ずお伺いを立てた上でリカバリーを行いましょう。

さて,計画通りに進まないというのはあってはならないことと考えがちです。しかしどれだけ精緻かつ綿密な計画を立てても,その通りに事が運ぶ訳は無いのです。プログラミングでいうと,計画を立てるのは,設計と実装と机上デバッグをしただけです。

当然,計画通りに進める事で本当にゴールにたどり着くかは,実際に作業を進めて検証する以外に方法はありません。

つまり,今作業をして進捗を計測しているのは,テストを動かしながらメトリクスを計測しているということです。テストと捉えた場合,むしろ全てが計画通りに進んで問題が出ないとなると,出るべき問題が出ていないと考えた方が良いかもしれません。

進捗が上がったとみなす基準

「着手したので進捗は50%です」

このようなひどい進捗報告を聞いたことはありますか?

恥ずかしながらこんな報告を実際にやったことがあります。遅れている進捗を報告上進んだことにするためにこういう様な扱いを指示されたのがきっかけだったのですが,思い出しただけで当時の自分を引っ叩いてやりたい衝動に駆られます。

ここまでひどいのは少数例としても,例えば,コーディング工程の場合「コンパイル通ったので進捗50%です」という進捗を見たことがある人は多いと思います。

進捗は価値のあるものが完成して,初めて進捗が上がったとみなします。たとえコンパイルが通っても,コーディングしっ放しでは,テストを行えるかがわからない状態であり価値は無いので,進捗が上がったとはいえません。この場合,着手した状態の一つとしてコンパイルは通ったと伝えるのがベターでしょう。

あくまで,価値のあるものが出来上がるまでは,進捗は上げないように気を付けて下さい。

まとめ

進捗の計測はあくまで価値のあるものが完成したか,完成していないかをデジタルに判別して,できる限り客観的な数値を求めましょう。そして,数値に出ない主観的な情報は,進捗を計測した結果の付帯情報として別途記録しておきましょう

例えば,後で不整合が出そうだ感覚がするとか,手戻りが出そうだとか,いわゆる「不吉な匂い」を感じるときがあります。そういう感覚は無視せずに,計画を見直したりこれまで作ったものを確認したりするなどして,本当に対処すべき事柄かただの杞憂かを判断することは,とても大事です。

とはいえ,進捗は重要な要素ではありますが,ゴールへの道のりの進み具合を示す抽象的なモデルに過ぎないのでそれだけに頼らないように気を付けましょう。

大事なのは進捗を上げることではなく,あくまで前回説明したゴールにたどり着くことなのですから。

コラム

労働局のWebの記載を見ると,下記の状況で脳・心臓疾患が出た場合,長期間の過重業務による労災として認定されうるとのことです。

発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月にわたって,1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は,業務と発症との関連性が強いと評価できる

和歌山労働局 脳・心臓疾患の労災認定

こんな勤務時間になってしまっている時は病気になってしまう前に,早急に産業医,掛かりつけの医者,労働基準監督署など,専門の人に相談しましょう。

著者プロフィール

こしばとしあき

関西出身自宅料理員兼ソフトウェア開発担当者。金融系業務アプリ開発,レガシー移行,Webサービス開発,画面制御基盤開発など様々な開発現場を経て,最近関東に進出。

アジャイル,ライフハック,プロジェクトファシリテーションに強く関心を持ち,講演も行っている。「ペンポッドで世界へミサイル大会」初代チャンプ。

blog『koeだめ』http://d.hatena.ne.jp/bash0C7/
料理blog『kuiだめ』http://kuidame.4038nullpointer.com/

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