VOCALOID(初音ミク,鏡音リン・レン)の上手な歌わせ方教えます!

第6回 ミキシングの手順

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ボーカルパートの処理

ノーマライズ

ミキシングにはいくつか決まりがありますが,最も重要なのはクリッピングを避けなければいけないということです。オーディオデータの音量(正確な表現ではありませんが簡単のためこうします)はdBという単位で表されています。実際にオーディオデータの波形を見てみましょう。

オーディオデータの波形

横軸が時間,縦軸がdBになっており,一番上(最大)が0dB,真ん中(無音)が-∞dBです。波形が0dBに近いほど大きい音ということになります。画像はステレオのオーディオデータなので,上段が左出力,下段が右出力です。

クリッピングとはこの波形が本来の最大出力である0dBを越えてしまうことを言います。0dBを越えてしまうと環境によっては音割れが生じてしまうなど,製作者の意図したとおりの音に鳴らない可能性が出てきてしまうので,0dB以下に波形を抑えつつ調整をしなければいけません。特にパートごとではなく,すべての音をミックスして鳴らしているマスターチャンネルのクリッピングに注意が必要となります。

ただ,ミックスする際には各パートの最高出力は出来るだけ0dBに近づけるようにします。VOCALOIDのWAV書き出し機能を使って生成したオーディオデータは,出力がかなり小さい状態です。そこで最初にノーマライズという処理を施します。ノーマライズはオーディオデータの最大出力の場所を探し出して,最大出力が0dBになるように全体の音量を底上げしてくれる処理です。

ノーマライズ処理

必ずしも最初にノーマライズ処理を行う必要はありませんが,より最終段階に近い音量からスタートするという意味で,私はノーマライズから始めています。

イコライザ

ノーマライズ後,最初にイコライザというエフェクトを挿します。イコライザとは周波数帯域ごとにゲインを調整することができるエフェクトです。簡単に言うと高い音だけ小さくしたり,低い音だけ小さくしたり,音域ごとの音量を調整するためのエフェクトです。

イコライザを使う目的はさまざまですが,その一つは音色の改善です。例えば高周波が少し耳障りだと感じた時は,高周波をイコライザで削り,音色を改善します。

もう一つは要らない帯域の音を削って最終的な音圧を上げることです。削るのに音圧が上がるの?と思うかもしれませんが,殆ど聞こえないような音域が干渉して無駄に波形をかさ張らせていることがあります。そのような周波数帯域を削ることによって,聞こえ方はあまり変わらないけれど波形が少し小さくなります。そしてその小さくなった分をノーマライズで底上げしてやれば,音圧が若干稼げることになります。

下は実際にリンの歌っているトラックにかけたイコライザの例です。

イコライザの例

縦軸が音量(dB⁠⁠,横軸が周波数になっています。右に行けば行くほど高い音ということになります。私は視覚的に分かりやすいグラフィカルなイコライザを使っていますが,つまみが並んでいるだけのものもあります。

音質が変わらない程度に低音域を削り音圧を稼ぎます。リンの特性で高音域が若干キンキンしているので,削って音を丸くしています。

音圧を上げる意味

音圧とは,DTM的に言えば耳で聞いた音の大きさを差す言葉で,音量とは若干ニュアンスが異なります。例えば同じ0dBでも音圧が高ければ大きく,音圧が低ければ小さく聞こえる訳です。それではなぜ音圧上げが必要になるか,ということですが,先ほども記述した通りミキシングはマスターチャンネルが0dBを越えないように,という制約の元で行われます。その限られた中にさまざまなパートが混在する訳なので,各パートが使える音量は制限されています。このときに音圧が十分に上がっていれば,音量をあまり上げなくても音がしっかりと聞こえ,その分ほかのパートの音量の制限が緩和されるのです。また,音圧がしっかりと上がっているサウンドには芯があり,迫力があります。

もちろん音圧が高ければいいという問題でもありません。自分の音のイメージと音圧とのバランスを考えながら調整することが大切です。

著者プロフィール

OSTER project

音楽好きなただの大学生。ネットを中心にDTMで制作した楽曲を公開。リスナーに楽しんで貰える遊び心いっぱいの楽曲作りを心がけている。

VOCALOIDと可愛いものと辛いものが大好き。

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