インタビュー

インターネット社会の基盤を支え続けるJavaの20年~Georges Saab特別インタビュー

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Javaとコミュニティ

Javaの歴史は開発コミュニティと表裏一体と言っても過言ではありません。これは聞き手の主観ではありますが,他の技術コミュニティと比較しても,Java開発コミュニティの熱量はとても大きく,特別なものだと感じています。それを体感できるものの1つが,毎年米サンフランシスコで開催されている技術カンファレンス「JavaOne」です。

Georges氏には,まず,この開発コミュニティの熱量についてどのように感じているか,伺ってみました。

G氏:(熱量がすごいとの発言に対して)

ありがとうございます。大変嬉しいコメントです。そして,私もそのコメントに同意します。

なぜJava開発コミュニティの熱量が大きいのか――それは,Javaが問題に対する解を提供できうる技術だからです。Javaを使うことで開発者・クリエイター自身のクリエイティビティを具現化し,花開かせることができる技術だからだと思っています。

加えて,先ほどもお伝えしたとおり,JCPの存在を中心に,複数の企業が関われる体制,民主的なプログラミング言語であることも大きな理由の1つでしょう。

米サンフランシスコで開催される,世界最大の開発者カンファレンスJavaOne。毎年世界各地の開発者たちが一堂に会し,技術論やJavaに対するアツい想いを語り,交流を深める。写真はJavaOne 2009の一コマ

米サンフランシスコで開催される,世界最大の開発者カンファレンスJavaOne。毎年世界各地の開発者たちが一堂に会し,技術論やJavaに対するアツい想いを語り,交流を深める。写真はJavaOne 2009の一コマ

今から10年前に開催されたJavaOne 2005では,Javaの10歳の誕生日を開発者たちで祝った

今から10年前に開催されたJavaOne 2005では,Javaの10歳の誕生日を開発者たちで祝った

Javaはファット(複雑な)プログラミング言語になってしまったのか

開発コミュニティの熱量を増やしながら,開発者・利用者とも増やし続けているJavaですが,一方で,バージョンアップに伴う機能の多様化・複雑化といった面もあるように思います。たとえば,言語仕様としてのJavaとプラットフォームとしてのJavaという見方でも,考え方や求められる知識が異なるでしょう。Georges氏に「Javaは複雑になったか」という質問をぶつけてみました。

G氏:まず,言語仕様としてのJavaとプラットフォームとしてのJavaという考え方は,開発当初から存在していました。それはプログラミング言語として,コードと実行環境の切り分けという観点で,です。開発者の立場としては,この2つは区別するものではなく,どちらも(並行して)意識するものだと思います。

プラットフォームとしてのJava,つまりJVMに関しては,JVMをターゲットにした他のプログラミング言語が増え,そして利用されています。ですから,JVMの面に注目が集まっていた時期もあったでしょう。

Javaの歴史で見ると,JVMのインプリメンテーションが進んだ結果,Javaの言語仕様にまつわる進化は鈍化した時期があったと思います。

しかし,バージョン7リリース前後あたりから,Fork-Join,Lambdaなど,バイトコードの機能追加(言語仕様の進化)といった動きが見られはじめ,その動きは加速しています。

2015年のJavaで見れば,⁠もともとの質問であった)言語仕様/プラットフォームとしてのJavaについて,理解が深まり,補完が強まっていると感じています。

バージョン9に向けて~Javaの次の一歩

Javaの20年,過去と今について振り返ってもらいました。少し気が早いですが,次の20年に向けて,次期バージョンについても伺いました。

G氏:(次期バージョンについては)開発者たちが一生懸命取り組んでいますので,焦らず期待していてください(笑)

具体的なところで私が注目しているのは「Modular Source Code⁠⁠,JDKのソースコードのモジュール化です。コードが機能ごとに小さくなり,コード間の依存が簡易化します。また,目的に応じた組み合わせをつくることにより,バイナリのフットプリントを小さくでき,さまざまなデバイスへの適用,パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

その他,Print Loopの再開発が進められていて,開発テストがより簡単になることでしょう。

まだまだたくさんありますが,今,IoTと言われているトレンドに対して,Javaは小型デバイスからクラウドまで,すべての環境で完璧に使えるプログラミング言語に進化し続けています。

日本の開発コミュニティに向けて

短い時間ではありましたが,20年という節目でGeorges氏に「Java」について語ってもらいました。最後に,日本の開発コミュニティに向けてメッセージをいただきました。

G氏:まず,改めてありがとうと言わせてください。Javaの20年において,日本の開発者の皆さん,開発コミュニティの存在はとても大きく,多大な貢献をしてくださいました。日本発のものもたくさん存在しています。

継続して関わっていただけることに感謝するとともに,これからもぜひ積極的にJavaに関わって開発を続けてください。

もしまだ開発したことがない,触れたことがないという方がいらっしゃれば,たとえばJJUGのようなコミュニティに参加して,Javaの魅力に触れてみてください。

今年のJava Day Tokyo 2015でテクニカルセッションを担当したGeroges氏。氏のこれからのJavaへの関わりに注目していきたい

今年のJava Day Tokyo 2015でテクニカルセッションを担当したGeroges氏。氏のこれからのJavaへの関わりに注目していきたい

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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