プロダクトオーナーと開発チームの関係
――プロダクトオーナーである笠原さん,
そして, 初期メンバーの酒井さんを始めとした開発チームが, プロダクトの成長とともに拡大, そして, チームそのものも成長していることが伺えました。 ところで,
一般的に, プロダクトオーナーと開発チームの関係が, プロダクトの特徴であったり開発スピード, その先の成長にも大きく影響が出る場合が多く見られます。 「みてね」 における, プロダクトオーナーと開発チームの関係について, それぞれの立場から教えてください。 笠原: 私自身は,
プロダクトオーナーだから絶対的な権限を持っているという気持ちはあまりなくて, メンバー全員でみてねのことを考え, 開発を進め, 機能追加や改善に取り組んでいると認識しています。その前提の中, 自分として, 半年後にどうありたいか, 1年後のみてねの形はどうなっているか, など, 未来像や目標を言語化することは心がけていますね。 酒井: 私たち開発チームも,
チームの中で課題や取り組むべきこと, 次の目標を言語化し, 共有することは常に心がけています。また, 開発チームとしても笠原が言語化し共有してくれることで, 何を目指すのか, どう動いていくかのブレが少ないです。 ――とは言え,
全員の意見が合致しないこともあるのではないでしょうか。 笠原: はい,
当然, それぞれが目指すことややりたいことで, 細かな見解の相違, 食い違いは生まれます。ただ, 食い違いが出たときは議論をし, コンセンサスを取ってから, 各チームで動けるようにしています。 これは開発チームだけではなく,
みてねのメンバー全員に対する私の姿勢として, 全員が自分自身の業務に対する納得感, もっと言えば, 自分ごととしての業務になってもらいたいと強く思っています。ですから, もし, 少しでも 「なぜ今自分がこの仕事をしているのか?」 と思われることがないように, 十分説明するようにしています。 その1つとして,
毎週, みてねに関する数字を共有する場とレビューの機会を設け, また, アプリのレビューやTwitterなどのソーシャルメディア, 実際にユーザの皆さまから届く声もカスタマーサポートメンバーが気になったものに関しては, Slackのチャンネルで全員が触れられるようにしています。 数字については,
プロダクトオーナーとしての毎年の目標を言語化し, 定期的に達成できているかどうかを話して, 共有していますね。たとえば, 2020年の大きな目標は 「収益面の強化」 で, 具体的に取り組むべき課題を9つのプロジェクトとして共有しました。このような形で何を行うかを細分化し, それが達成できているか, あるいは未達なのかも共有して, チーム内での意識のズレが起きないように心がけています。 現状,
2020年の目標で設定した9つのプロジェクトはすべて実現できる見込みです。 酒井: 開発チームとしては,
事業の目標に合わせて, デザイン領域, エンジニア領域の, それぞれのプロジェクトリーダーが細かく課題を設定して開発を進めています。開発プロセスとしては, 2週間ごとのスプリントで動くスクラム開発を採用していますね。 スプリントの中では,
毎回, 次のスプリントにやるべきこと, やりたいことを共有する時間も必ず確保しています。 笠原: 私自身もこのスクラム開発で取り組むBacklogの内容は目を通すようにしています。もちろん,
すべてにコメントをしきれてはいませんが, 毎週10~20ぐらいの新しいアイデアが生まれてきて, それが, 今のみてねの魅力につながっていますね。 アイデアに関しては,
開発チームからの声だけではなく, カスタマーサポートやユーザからの要望なども取り入れることで, プロダクトの内面および外面, それぞれからの進化ができるように考えています。 言葉で言うと,
螺旋階段型の成長モデルを目指しています。いきなり上に届く, エレベーターのような形ではなく, ぐるぐると回りながら, 全体を見渡して, 一歩ずつ成長する (上に登る) イメージですね。 酒井: これは一緒に開発していて本当にそう思います。誤解を恐れずに言えば,
笠原が一番のヘビーユーザで (笑), とにかくみてねのことを考えている時間が誰よりも長いです。ですから, たとえば, 私が新機能を提案すると, 実はすでにそのことは考えられていて, 2歩, 3歩先の見解からフィードバックをくれることが多々あります。 その点では開発チーム全員が,
非常に信頼できるプロダクトオーナーだと感じているはずです。 その中で私が気を付けているのが,
笠原に任せっきりにならない組織づくりです。エンジニアであれば, 技術領域に関しては自分たちが責任を持って判断できる, そういう体制が理想です。とくに新しい技術トレンドが生まれたときは, エンジニアの真価が問われます。