インタビュー

クラウド対応,マルチプラットフォーム開発……ますます進化するDioDocs――グレープシティ プロダクトマネージャ若生尚徳氏に訊く

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ドキュメント開発のニーズとDX

――DioDocsが出力するドキュメントの観点から,日本市場との親和性の高さを伺えました。続いて,DioDocsを利用する人,開発者の視点から質問をさせてください。DioDocsを利用した開発のポイント,また,開発者にとって意識してもらいたい点はどのあたりでしょうか?

若生: DioDocsはExcel業務/PDF出力業務をサポートするシステム開発に向いています。ですから,この要件の開発であれば,最初の工数を大幅に削除できるのが最大の特徴です。

個別の製品で見てみると,⁠DioDocs for Excel」は,VBAライクなコード処理で既存のMicrosoft Excel互換のファイルを生成・編集できます。テンプレート構文という機能を利用すれば,煩雑になりがちなデータバインド処理を効率化することも可能です。最新のV4Jでは,テンプレート構文をさらに強化したほか,ピボットグラフへの対応などExcel互換機能も追加しています。Excelデータの生成だけではなく,その先の処理までを想定した開発が行えるようになりました。

DioDocs for Excel V4J

DioDocs for Excel V4J

もう1つの「DioDocs for PDF」は,WebベースでのPDFの表示や操作,また,ExcelデータのPDF変換などが行えるため,WebをUIとした帳票システムあるいは各種ドキュメント出力サービスを短期間で開発をする際に適しています。最新のV4Jには,JavaScriptベースのPDFビューワが追加され,サーバサイドの各種APIと連携した高機能なPDF閲覧システムの構築が可能となります。

DioDocs for PDF V4J

DioDocs for PDF V4J

――ところで,DioDocsはもともとアメリカで開発され,世界展開されたと聞きました。日本展開が開始され,開発体制はどのようになっているのでしょうか? また,開発にあたってのアップデートロードマップなどがあれば教えてください。

若生: 現在,日本以外に,アメリカ,カナダ,中国,韓国,インドなど多国籍のチームがDioDocsの開発や販売に関わっています。グローバルのプロダクトマネージャがインドに在籍しており,それ以外に私と同じように,各国のプロダクトマネージャが配置され,国ごとのチームをマネジメントしています。

基本的にはオンラインで開発するので物理的な国境の問題はありません。強いて言えば,私がいる日本はリモートワークに慣れているとは言えない状況だったのが,コロナ禍で一気にリモートシフトが進み,ほかの国との連携,リモートでの開発はしやすくなりました。

――多国籍での開発とのことで,国ごとの役割などはあるのでしょうか?

若生: お伝えしたようにグローバルのプロダクトマネージャはインドに在籍しています。それ以外で言えば,大きく,Excel開発チームは中国,PDF開発チームはアメリカ,カナダ,QAチームは中国,ドキュメントはインド,そして,私たち日本はソースコード以外の製品開発(Nugetのパッケージ化など)です。各国合わせて約20名います。

情報共有にはJIRA,Confluence,Microsoft Teamsなどのコミュニケーションツールを活用し,テキストベース,同期・非同期でのコミュニケーションを行っています。主要言語は英語になります。

各国でのコミュニケーションは英語を中心に行う(画面は実際のJIRA)

各国でのコミュニケーションは英語を中心に行う(画面は実際のJIRA)

コロナ禍でリモート開発は問題なくなった一方で,対面でのグローバルミーティングは2020年は実現できませんでした。昨年はリモートでの開催となりましたが,今年も何かしらの形で開催したいですね。

――非常に多彩な,そして,それぞれIT技術が進んでいる国での開発ですね。コロナ禍によりリモート開発がよりスムーズになった点も興味深いです。一方で,これだけ多くの国が関わると課題,あるいは,苦労話などもあるかと思います。

若生: まず,あたりまえの話ですが,どの国のプロダクトマネージャも自国のお客様,そして,そのお客様からのニーズに応えたいという気持ちがあります。当然,ニーズとともにフィードバックされるバグやソフトウェア上の問題の解決を進めたいわけです。

日本で言えば,先ほどもお伝えしたとおり,お客様が求める製品(とアウトプット)の質が非常に高く,また,細かな要望が多数あります。デザイン面に関して言えば,フォントの話だけではなく,罫線の位置や太さなどへのこだわりも強くあります。

私はその要求が上がってくる背景はわかるものの,海外の開発チームにとっては理解しづらい点でもあります。これらをきちんと次のバグフィックス,アップデートのときに対応してもらうようにするのが,私の大切な役割の1つですね。

これは感覚的なものですが,日本・中国・韓国は同じマルチバイト文字圏なので通ずるところはあるものの,欧米圏との違いは感じます。大きく分けると,日本を中心としたマルチバイト文字圏はバグはあってはならないもの(100%に近い品質を求める⁠⁠,欧米圏はバグはあるもの(バグを見つけたら迅速に対応する)という考えです。

とは言え,このように国ごとに捉えられ方が異なるとしても,どんなに小さなバグでも見つかれば,それは重要な改修や改善対象であることには違いありません。国境の壁を越えて,ワンチームとして対応しています。

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既存フォーマット+αに向けて

――利用用途,さらには,それに対する国ごとの開発の考え方の違いなど,大変興味深い内容を伺えました。最後に,2021年以降,若生さんが実現したい新機能など,DioDocsの未来の姿について教えてください。

若生: まず,2月に最新のV4Jをリリースしました。⁠DioDocs for Excel」⁠DioDocs for PDF」とも非常に強力な新機能が追加されていますので,新規ユーザの方はもちろん,既存ユーザの皆様にも活用してもらいたいです。

そして,これらについては,今後もMicrosoft ExcelやPDFの仕様に追従し,完全互換を目指していきます。Microsoft Excelではラムダ関数対応が行われていますので,DioDocsでもそれに追従していきますし,PDFに関しては最新の2.0準拠で機能を拡充します。

さらに,DioDocsが本当に目指しているのは単純な互換だけではなく,名前の意味にも込めているように,すべてのドキュメント生成に関してサポートする機能の実装です。たとえばV4JのPDFビューワはその一例です。

今後は,ビューワだけではなく,PDF/Excelそれぞれの簡易エディタなどの実装も目指せたらと個人的に考えています。実はV4JのPDFビューワでは注釈やフォームの編集機能を提供しています。また,冒頭でも述べたように,弊社製品のSpreadJSをはじめ,他製品との相互運用も目指したいです。

今,日本ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈から,社会全体が変化している真っ最中で,業務フローも大きく変わろうとしています。その中で,業務関連データの扱い,そして,紙からデジタルへの動きはますます強くなるはずです。

DioDocsはそうした社会変化に対応し,これからの企業のDX化,それを支える開発者・利用者を一層サポートしていくことを目指して提供していきます。

――ありがとうございました。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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