インタビュー

映像で文字,イラスト,心を動かしてみたいと思ったら……『動画でわかるAfter Effects教室』著者,サンゼさんへのインタビュー

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「作品」はクリエイターの名刺――「コミュニケーションツール」としての映像

――「本を読み終わったその先を考える」という話が出てきました。サンゼさんは作品を「作って終わり」にするのではなく,「誰かに見てもらう」経験も大切にされていますよね。

サンゼ:僕は「映像表現=コミュニケーションの道具」だと考えているんです。すべての映像は,自分以外の人に見てもらうために存在している,と言ってもいいんじゃないかと。だから,⁠見た人がどう思うのか」というのは,作り手として最も意識すべき視点です。実際に,作ったものを誰かに見てもらうと,⁠すごいね!」⁠ここはイマイチだったかな」といった何かしらのリアクションやフィードバックが返ってきますよね。これを踏まえて次の作品を作っていくというのが,映像表現が上手になる一番の近道だと思うんです。これは,商業用の作品を作っている方だけでなく,趣味で制作している方にもあてはまるはずです。

――なるほど。ただ,いきなり誰かに見てもらうというのは,ビギナーの方にとってハードルが高い気もします。

サンゼ:そうですね。僕自身もキャリアをはじめたばかりのころ,気軽に作品を発信できる「場」がないことに苦しんだ経験があります。そこで本書では,作品に「#サンゼAE」を付けてTwitterで発表してもらうことで,書籍で学んだ人同士が気軽に意見交換できる仕掛けを考えました。⁠ECHO映像大会」も,こういった「場」を作りたいという思いで取り組んでいます。

――「ECHO映像大会」について,もう少し詳しく教えていただけますか?

サンゼ:「ECHO映像大会」は,映像クリエイターの「発表」「交流」という2つの軸を大切にしている映像大会です。今は年2回開催していて,冬の大会は誰でも参加できます。⁠ビギナー部門」があるので,大きな大会で発表するのは恥ずかしい方でも,気軽にチャレンジできる映像大会になってほしいと思っています。大会の様子はYouTubeチャンネルで生放送していて,必ず見てくれる人がいるので,成長のために必要な「リアクション」を確実に受けることができます。

2021年冬に開催された第4回映像大会のハイライト動画

――少し拝見しましたが,生き生きとした作品が集まっていて,とにかく「見ていて楽しい大会」だと思いました。

サンゼ:「交流」という側面も大切にしているので,大会の後にはZoomで発表者・視聴者の打ち上げを行っているのですが,これも盛り上がりますよ。クリエイターの一番の「名刺」は,作品なんだと感じます。面識のない人同士でも「この作品を作った〇〇です」と発言すると,⁠あれよかったですよね!」⁠どうやって作ったんですか?」という会話が自然に生まれる。同じアーカイブを共有しながら話すと「〇分〇秒のココはこうするって手もありそうですよね」というような,深いフィードバックだって交換できる。⁠映像=コミュニケーションの道具」とお話ししましたけど,映像を「通じて」新たなつながりができるという側面も魅力だと思います。

「映像の面白さ」と真剣に向き合うこと――先輩としてのメッセージ

――最後に「映像制作,はじめてみようかな?」と迷っている方へ,先輩としてのメッセージをお願いできるでしょうか?

サンゼ:迷っている……「興味があるならやってみましょう!」というだけの話なんですけどね(笑⁠⁠。うーん,思いの丈だけで喋ってもいいですか?

――そういうのが欲しいです(笑)。

サンゼ:ちまたで映像制作に興味を持ってくださる方が増えているのは嬉しいのですが,マネタイズを急ぐ方が多いことに,実は戸惑いも感じています。YouTubeのチャンネルでも,⁠このチュートリアルをすれば案件がとれるようになりますか?」という趣旨の質問を受けたり……。このような内容に対しては,無責任に答えないようにしています。

――確かに,「需要が高まっている」をそのまま「すぐ稼げるようになる」と結び付ける流れを,最近よく見かける気がします。

サンゼ:もちろん「副業で稼ぎたい」といった事情も理解はできるのですが,それだけだと正直,後々苦しくなると思います。テクニックやスキルは,映像に真剣に向き合えば自然についてくるものですが,その姿勢の根元には「映像を好きだ」という思いが欠かせないはずです。まずはいろいろな映像に触れて,⁠自分の心」を確かめてみてほしい。厳しい言い方をすれば,それでも「映像表現って面白いな,素敵だな」って思えないのであれば,それを仕事にしようとするのはやめた方がいいと思います。

――なんだか,誰にとっても不幸な結末になりそうですね……。

サンゼ:僕も14年やっていますけど,今の時代,自分より技術がある人はもう山ほどいます。だから「俺,下手だなー」⁠もっとよくできたはずなのに」と感じて,心が折れる瞬間だってある。それでも仕事を続けられるのは,結局「映像が好きだ」というシンプルな思いに尽きると思うんです。それってもう個人の問題であって,他の人にどうこう言われて変わるものでもないじゃないですか。辛いときに支えてもらったとか,そういう原体験がある人は強いと思いますよ。

――ありがとうございます。他の仕事にも通じる話だと思いました。最後にお聞きしたいのですが,サンゼさんの原体験,一番影響を受けた映像は何ですか?

サンゼ:難しいな~⁠笑⁠⁠。本の中でも出しましたけど,映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ですかね。もちろんガジェットやSF表現も大好きなんですが,一番はストーリーです。見た方には伝わると思うのですが,あのストーリーが表現しているのは,⁠過去のささいな努力によって,未来は大きく変わるんだよ」ということだと理解しています。今日の話も同じで,映像への気持ちを信じて一歩踏み出してみてもらえると嬉しいです。その先の未来に奥深い世界が待っているということは,自信をもって言えますよ。

こちらの漫画は本書のカバー・挿絵を担当していただいたスミマミさん

こちらの漫画は本書のカバー・挿絵を担当していただいたスミマミさん作

著者プロフィール

藤本広大(ふじもとこうだい)

技術評論社書籍編集部所属。

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2022

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