Backlog World 2021で見えたこれからのプロジェクト管理とツールの未来

01:「旅」テーマに素晴らしい出会いの機会を提供する~Backlog World 2021ピックアップセッションレポート

今回から複数回に分けてお届けするBacklog World 2021レポート。まずは基調講演を含めたピックアップセッションの様子をお届けします。

同時視聴者数290名超!Backlog World 2021、完全オンラインで開催

Backlog World 2021は、2021年3月13日(土)に開催しました。イベントサイト(connpass)の登録者は547名。Youtubeの同時視聴者数は290人を超え、多くの方にご覧いただきました。

Backlog Worldとは

Backlog World 2021 は、BacklogのユーザグループであるJBUG(Japan Backlog User Group)主催のイベントです。

2017年に設立したBacklogユーザのためのコミュニティJBUG(Japan Backlog User Group)
2017年に設立したBacklogユーザのためのコミュニティJBUG(Japan Backlog User Group)

JBUGは、2017年に誕生した「チームではたらく、すべての人に⁠⁠ を掲げている「Backlog」のユーザーグループです。北は札幌から南は沖縄まで、複数の地方でJBUGの開催実績があります。このJBUGによる運営のもと、大規模なカンファレンス「Backlog World」を年1回開催しています。

Backlog World 2021のテーマは「旅 ~Journey~」

イベントのテーマは「旅 ~Journey~」です。

テーマに込めた想いは、次のような内容でした。

Backlog World 2021に込めた想い
Backlog World 2021に込めた想い

「新しい何かが生まれるきっかけであってほしい」という想いが伝わるメッセージです。運営委員長 中道さんの想いは、ご本人のnoteでも公開されています。当日は、このメッセージに心が揺さぶられた方もいたと思います。⁠明日から応用できる何か」を知りたい方は、ぜひこのレポートを読み進めていただければ嬉しいです。

そして、今回のライブ配信も、天神放送局にご協力いただきました。

また、今回のライブ配信は、ほぼオンタイムで終了しました。オンタイムの終了は昨年のBacklog World 2020に引き続きご協力いただいた天神放送局の存在なしでは実現できなかったと思います。

天神放送局は、⁠ライブ配信で機会格差をなくしたい」という想いで活動されています。オンラインイベントの配信ノウハウに悩んでいる方は、ぜひ一度、天神放送局のサイトをご覧ください。

5時間超のボリュームで行われた充実のプログラム

当日のプログラムは合計で5時間強のボリュームでした。

Backlog World 2021のプログラム
Backlog World 2021のプログラム

発表資料はイベントサイトで公開しています。また、配信動画のアーカイブツイートまとめも併せてご覧ください。

本記事では、基調講演と公募セッションから3つのセッションをピックアップしてご紹介します。

ワークスタイル・トランスフォーメーション

「リモートワークを当たり前に」をミッションに活動されている株式会社キャスターの石倉さん。創業からフルリモートワークで会社を運営されており、従業員の700名がほぼ全員リモートワーク!という徹底ぶり。まさに、今の時代の働き方を先だって実践されていると思います。

まず最初に、株式会社キャスターのビジョンとミッション、特徴が共有されました。キャスターの特徴として紹介された⁠究極のジョブ型⁠というキーワードに惹かれた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

株式会社キャスターの石倉さんのセッション「ワークスタイル・トランスフォーメーション」
株式会社キャスターの石倉さんのセッション「ワークスタイル・トランスフォーメーション」

「ワークスタイル・トランスフォーメーション」とは、多様な働き方をする人がいるチームで、成果を出すために仕事を変化させること。という石倉さん。

ワークスタイル・トランスフォーメーションの定義
ワークスタイル・トランスフォーメーションの定義

とくに、今までは「集合型」であったワークスタイルが、⁠分散型」に変わっていくんだ。という説明を終えた後、何が変わるのか?という観点で、以下の4つのテーマが展開されました。

  1. コミュニケーション
  2. タスク管理 / プロジェクト管理
  3. マネジメント・シフト
  4. マインドセット

いずれも「ふむふむ……」と納得感があり、明日から意識することで行動に変えていけそうな内容です。リモートワークを行う上で、誰もが悩む「コミュニケーション」のテーマでは、多くの参加者の共感が得られていました。

石倉さんが考える「コミュニケーション」の位置付けと理解
石倉さんが考える「コミュニケーション」の位置付けと理解

コミュニケーションのあり方が変化していく中で、上手く話せるよりも、キチンと書いて伝えること。テキストで書かれている情報を、的確に読み取る力がより大事になっていく。という内容は、誰もが感じている課題なのではないかと思います。

とくに、ちょっとした相談や、気軽な雑談などは、リモートワークになると減ってしまうコミュニケーションであり「意図しないとできない」コミュニケーションであるととのこと。

ちょっとした相談や雑談こそ、リモートワーク時には意識的に向き合い、行う必要がある
ちょっとした相談や雑談こそ、リモートワーク時には意識的に向き合い、行う必要がある

このようなコミュニケーションの課題解決の1つとして、日報を報告のツールだけではなく、コミュニケーションのきっかけに使う。という明日からすぐに実行できるノウハウも紹介いただきました。

日報は、読んでいる方からリアクションが無いと「なんで日報なんて書いてるんだろう」と感じるようになり、段々と形骸化してしまうことも多いのではないでしょうか。そんな問題に悩まれている方には、ぴったりのノウハウではないかと思います。

「参加している皆さんこそワークスタイル・トランスフォーメーションの担い手」と語り、セッションを締めくくった石倉さん
「参加している皆さんこそワークスタイル・トランスフォーメーションの担い手」と語り、セッションを締めくくった石倉さん

最後に「参加している皆さんこそワークスタイル・トランスフォーメーションの担い手」とコメントされ、⁠働き方の変化を前向きに捉えて良いチームを増やせたら良いと思っている」とのことでした。

セッションを聞いている参加者の方々の自信につながるような締めくくりで、モチベーションが高まった方も多かったのではないかと思います。

Go To Eatキャンペーンを支えたプロジェクトマネジメント

ミドルセッションの1人目はWeb開発部門のマネージャーを担われているRetty株式会社の常松さん。熱量のあるユーザさんに支えられているRetty。Go To Eatキャンペーンに参加したときの事例を基に、プロジェクトマネジメントのノウハウを紹介いただきました。⁠Go To Eatキャンペーン」という、Hotなキーワードで興味を持たれていた方も多かったのではないでしょうか。

まずは、プロジェクトの概要をご説明いただきました。

Go To Eatキャンペーンのプロジェクトメンバーは、最大26名で、社内のエンジニアがマネージャも含めて40名程度。多くのエンジニアが関わったプロジェクトです。

Rettyの「Go To Eatキャンペーン」ではメンバーが自立して動ける仕組みの整備に取り組んだ
Rettyの「Go To Eatキャンペーン」ではメンバーが自立して動ける仕組みの整備に取り組んだ

審査や予算の都合などの難しさがあったプロジェクトだったと振り返る常松さん。プロジェクトでは、メンバーが自律して動ける仕組みを作ることに注力してきたとのこと。

「自律して動ける仕組み」を、複数の関係者を巻き込んで実現するのは容易なことではなかったと想像します。紹介いただいた内容は、他のプロジェクト立ち上げ時のコミュニケーションプランとしても、すぐに参考にできるプロセスでした。

次に、プロジェクトを上手にマネジメントする取り組みとして、⁠プロジェクト全体の進め方を揃える」ように気をつけていたとのこと。

プロジェクト全体の進め方で注意した点
プロジェクト全体の進め方で注意した点

この取組みも、前述した「自立して動ける仕組み」と同様に、難易度が高かったのではないかと思いました。その他、⁠決定はできる限りチームに委ねる」ことや、⁠進捗は全体のバーンアップチャートで示す」などの取り組みでプロジェクトをマネジメントされていました。

バーンダウンチャートではなく、バーンアップチャートで示すことで、目標に向かって進んでいるというチーム感が出るのかな。と。著者は、バーンアップチャートを使ったことがなかったため、新たな発見でした。

セッションを聞いていた視聴者の方々も「難易度の高さ」に結果がどうなったのか気になっていたと推測します。最後に、プロジェクトの成果と反省点が共有されました。

Retty「Go To Eatキャンペーン」結果
Retty「Go To Eatキャンペーン」結果

結果として、仕様変更等が発生しても、メンバーが主体的かつ迅速に対処するなど、自律して動けるようになったと振り返られました。

プロジェクト全体感として、反省点を共有いただきました。

常松さんが感じた反省点
常松さんが感じた反省点

プロジェクトの取り組みに加え、結果と反省点を共有いただきました。⁠登壇者がプロジェクトの成功体験を共有できる、参加者が登壇者の成功体験をインプットできる」というのも、JBUGの魅力です。

当日ご視聴いただいた皆さんや読者の皆さん自身のプロジェクトに置き換えて、今後の参考としていただけたら幸いです。

顧問弁護士だってBacklogを使いたい!

ライトニングトークの1人目はA&A法律事務所の弁護士、遠藤さん。1枚目のスライドからインパクトがあり、セッションの想いを感じました。

セッションタイトルから、Backlogへの強い想いが伝わってくる
セッションタイトルから、Backlogへの強い想いが伝わってくる

A&A法律事務所の名前の由来は、⁠クライアントの伴走者としてアクセラレータになりたい」という想いから、事務所名を決めたとのこと。

主な業務は、契約書のリーガルチェックや利用規約の作成で、複数の関係者とプロジェクトとして立ち上げることもあるようです。

遠藤さんの大きな悩みの1つは個人の業務が多いこと
遠藤さんの大きな悩みの1つは個人の業務が多いこと

まずは、遠藤さんが悩まれていることが共有されました。

スライドに掲示されているような悩みは、システム開発においても同じことが言えると、視聴者の方も共感していたのではと思います。

遠藤さんは、企業内の弁護士として働いていたときにRedmineやAsanaを使っていた経験があり、Backlogはエンジニア側が使っており「見た目がかわいいな」と思っていたとのこと。

このようなきっかけでBacklogを使うようになった遠藤さん。Backlogを選んだ理由は、悩んでいた課題を解決できそうだと感じたから。ライトニングトーク中に、その内容を詳細にまとめたスライドとともに、ご自身の考えをご共有いただきました。

遠藤さんがBacklogを選んだ理由
遠藤さんがBacklogを選んだ理由

この内容も、システム開発でも重要なポイントだと感じました。とくに期限設定とステータス管理は、どのような業界でも共通の課題なんだなと再確認できました。

Backlogを使った結果として、ほとんどの悩みは解決できたとのこと。

解決できた悩みは以下のようなポイントでした。

  • 専門性の高く、属人化しがちな業務のナレッジを蓄積できるようになった
  • ブラックボックスな顧問弁護士の業務が解消されるようになった
  • 予算取りしにくい法務の費用が、定量化して見積もれるようになった
  • 滞留案件やリソースを使いすぎな案件がすぐにわかる

まだまだこれからの課題も残っていると認識されている遠藤さん。これからも、Backlogの本当の力を使えるように、JBUGで旅の仲間を見つけたい!という思いで登壇を決意されたとのこと。

「JBUGで旅の仲間を見つけたい!」とアツいメッセージを送った遠藤さん
「JBUGで旅の仲間を見つけたい!」とアツいメッセージを送った遠藤さん

終始、⁠一歩踏み出してBacklogWorldに登壇した」という強い想いを感じるライトニングトークでした。JBUGを通して、同じような悩みを持たれている仲間を見つけていただけたら幸いです。

Backlog World 2021を振り返って

全体を通して、プロジェクトマネジメントに関する共通的な観点が含まれたセッションばかりでした。セッションの内容はもちろん、伝えたいキーメッセージも登壇者それぞれの考えによってさまざまですが、プロジェクトマネジメントの本質を学べる内容だったと感じています。

1人でも多くの方、とくに現時点でプロジェクトマネジメントを担っている方や、これからプロジェクトマネジメントを始める方にYoutubeのアーカイブ配信を視聴いただき、何かの気づきを得るきっかけになれば良いなと思います。

おわりに~JBUGへご参加ください

Backlog World 2021は、視聴者の皆さん、登壇者の皆さん、運営メンバー全員で実現できました。この場を借りて、皆さまに御礼申し上げます!

本イベントのテーマである「旅 ~Journey~」のもと、プロジェクトマネジメントの旅ができたのではないでしょうか。

Backlogをお使いの方、実体験からプロジェクトマネジメントの知見を学びたい方は、ぜひ、JBUG(Japan Backlog User Group)へご参加いただければ幸いです。

JBUG(Japan Backlog User Group)
https://jbug.connpass.com/

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