クラウド元年をリアルイベントで体感 ─「G-CLOUD Summit 2010」レポート

セッション1 「クラウドの老舗」が提供する5つのデリバリーモデル

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日本IBM「先進事例にみる企業クラウドの利活用」

日本アイ・ビー・エム株式会社 クラウド・コンピューティング事業 事業企画 部長 三崎 文敬 氏

三崎文敬氏

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G-CLOUD Summit 2010の最初のセミナーは,日本アイ・ビー・エム株式会社の三崎文敬氏による「先進事例にみる企業クラウドの利活用」でした。同セミナーはソーシャルクラウドトラック,エンタープライズクラウドトラック共通のセミナーとなっており,三崎氏は「IT業界の老舗」としてクラウドの考え方や適用分野,IBMのクラウド製品・サービスと導入事例などを紹介しました。

クラウドは仮想化だけでなく,標準化と自動化によって実現するもの

日本アイ・ビー・エム株式会社の三崎文敬氏による「先進事例にみる企業クラウドの利活用」では,IT業界の老舗であるIBMがどのようにクラウドを捉えているかという「IBMの考えるクラウド・コンピューティング」という切り口からスタートして,具体的な「クラウドの価値と適用分野」⁠IBMクラウドの製品・サービス体系と事例」⁠今後の展開に向けて」といった取り組みを紹介しました。

IBMは,製造業が人の手からロボットへ移行したことや,銀行がATMにより窓口を自動化したことのように,クラウドはITサービス提供モデルの工業化によりIT業界に変革をもたらすものと捉えていると三崎氏は言います。個別設計・構築から,標準化された柔軟な環境の共同利用へと移行することで,効率化やビジネスの加速を実現します。ネットワーク経由でITリソースをサービスとして利用・提供する新たなモデルとなっていますが,それを支える技術は仮想化だけではありません。

クラウド・コンピューティングは,仮想化だけでなく標準化と自動化によって実現しています。これによりシステムを「作る」から「使う」の発想へ転換し,コストの削減と利便性の向上を実現します。また,エンタープライズ・クラウドアーキテクチャ・モデルでは,マルチプラットフォームとマルチベンダーをサポートしていることがポイントであるとしました。

クラウドへの期待効果にコスト以外のものが増加

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次に三崎氏は,IBMがイベント参加者を対象に実施しているアンケート結果を示しました。これによると,クラウドへの期待効果に大きな動きが確認できるとしています。1位の「コスト削減」は変わっていませんが,2位には「利便性/ビジネススピードの向上」が前回の4位から浮上しており,また「運用負荷の低減」「新規ビジネスの創出」など,コスト以外のものが増えているのです。この結果を踏まえた上で,クラウドには「ビジネススピードの向上」⁠資産の変動費化」⁠セキュリティ・ガバナンスの向上」⁠TCOの削減」⁠新規ビジネスの創出」の5つの価値があるとしています。

さらに,以前のデリバリーモデルはオンプレミスかオフプレミスの2種類しかありませんでしたが,現在IBMではオンプレミスで「プライベート・クラウド」⁠運用型プライベート・クラウド⁠⁠,オフプレミスで「ホスト型プライベート・クラウド」⁠共有クラウドサービス」⁠パブリック・クラウドサービス」の5種類を提供しています。どれを選択するかのポイントは,ガバナンス,セキュリティ,カスタマイズ性,既存システムとの連携,コスト・モデルのどの観点で検討するのかで決まるとしています。

開発・テスト環境の構築時間を1カ月から数時間へと大幅に短縮した事例も

またIBMでは,企業向けクラウド製品・サービスが,上流となるコンサルティングサービスから各種クラウド,それを支えるインフラサービスや製品,テクノロジーまで全体に及んでいることを説明し,新製品となる「IBM CloudBurst v2.1」および「IBM Service Delivery Manager v7.2.1」を紹介しました。さらに最新の導入事例として,開発・テストサーバをクラウド化することで開発・テスト環境の構築時間を1カ月から数時間へと大幅に短縮したニッセイ情報テクノロジーや,仮想デスクトップ環境をクラウド化することで端末からの情報漏えいをシャットアウトした都市銀行などが紹介されました。

今後の展開として三崎氏は,クラウド活用ではネットワークやデータ連係も重要であるとして,オンプレミスやプライベートクラウドとのセキュアなクラウド間認証やアプリケーション統合機能の提供により,社内外のネットワーク,データ連係を可能にするソリューションなどを提供する予定であるとしました。最後に,クラウドは万能ではなく,成功の鍵は適用分野とパブリック,プライベートのスマートな使い分けが重要であるとし,IBMにはクラウドのスイートスポットに沿った製品・サービスの品揃えと,お客様ごとのクラウド化計画立案を支援できるとして締めくくりました。