クラウド元年をリアルイベントで体感 ─「G-CLOUD Summit 2010」レポート

セッション7A AmazonのDNAが凝縮されたクラウドサービス「AWS」

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Amazon「SAPならこう使え! アマゾンクラウド=AWS最新活用術」

Amazon Data Services Japan株式会社 マーケティングマネージャー
小島 英揮 氏
マインドスコープ株式会社 代表取締役社長 藤川 真一 氏
株式会社gumi 取締役CTO 堀内 康弘 氏

ソーシャルクラウドトラックの最終セッションでは,Amazon Data Services Japan株式会社の小島英揮氏による「SAPならこう使え! アマゾンクラウド=AWS最新活用術」が行われました。Amazonの概要とAWSのサービス,EC2についての紹介のほか,SAP(Social Application Provider)にとってのAWSとして解説を行いました。さらにSAPのユーザ事例として,マインドスコープ株式会社の藤川真一氏,株式会社gumiの堀内康弘氏のスピーチを交え,Amazonの取り組みを解説しました。

小島英揮氏

小島英揮氏

伝統的な技術や手法でプラットフォームをスケール,業界最安値で提供

小島氏はまず,AmazonのクラウドサービスではAWSなどに対し,間違った理解が流布されているとして,サービスの概要を説明しました。

Amazonでは,一般消費者向けのEコマースサービス,セラー向けのマーケットプレイス物流サービス,開発者およびITプロ向けのクラウドコンピューティングサービスの,大きく3種類のサービスを提供しています。物流サービスはAmazonがECサービスで使用しているものを貸し出していますが,データセンターはサービス用に独立したものを提供しています。Amazonには,伝統的な技術や手法でプラットフォームをスケールする,また,提供するものは業界最安値で出すというDNAがあり,クラウドサービスにおいても同様に,低価格で提供しています。

また小島氏は,EC2/S3だけではないAWSのサービスとして,データセンター上に仮想サーバとしてAmazon EC2,ストレージのAmazon S3があるほか,CDNである「CloudFront⁠⁠,ロードバランサの「Amazon Elastic Load Balancing⁠⁠,仮想ディスクの「Amazon Elastic Block store」があり,その上にミドルウェアとしてNoSQLの「Amazon SimpleDB⁠⁠,RDBの「Amazon RDS⁠⁠,その上にサービスとしてプッシュサービスの「Amazon SNS⁠⁠,キューサービスの「Amazon SQS⁠⁠,分散処理の「Elastic MapReduce」が構成されています。デマンドがあるところにサービスを提供するのがAmazonの特長であるとしました。

Amazon EC2には「スタンダード」⁠ハイメモリ」⁠ハイCPU」⁠クラスタコンピュート」のメニューが用意されていますが,新たに1時間あたり1.7円で利用できる「マイクロ」が提供されました。また「RDS(MySQL⁠⁠EMR(MapReduce⁠⁠」も利用可能になっています。さらにAmazon EC2は1時間単位でサーバを借りることができ,変動があった場合には自動的に検知して増減を行います。このためキャパシティプランニングが容易になり,需要曲線へのきめ細かい追従が可能になります。クラウドでは同時処理も可能になるため,ボトルネックを解消できるという大きなメリットもあります。

SAP導入事例─「モバツイ」の場合

藤川真一氏

藤川真一氏

小島氏はSAPにとってのAWSの利点として「キャッシュフロー経営に効く」⁠ビジネスのスピード向上」⁠ピーク時の対応が安心」⁠機会損失を削減」を挙げ,実際のSAPの利用事例の紹介に移りました。まずはマインドスコープ株式会社の藤川氏が登壇しました。マインドスコープで提供している「モバツイ」はもともと藤川氏個人が開始したサービスですが,利用者が増えて自宅サーバでは限界になり,⁠明日までにサーバ移転が必要」という状況に陥ったと言います。

そこで,個人で「今すぐ」使えるサービスとして「Amazon EC2」を申し込み,徹夜で作業することで1日での移転を実現しました。初期費用がかからず,契約期間に依存しないためリスクが低いとして利用を開始しましたが,現在ではWebサーバ44台,画像変換サーバ15台,DBサーバ6台などの構成に成長しています。藤川氏はAWSのいいところとして,サーバの追加が速いこと,また停めるのも速いこと,価格が安いこと,スナップショットやEBSの使い勝手がいいことなどを挙げ,今後の要望として日本円で支払えるようになること,管理性の向上などを挙げました。

SAP導入事例─「gumi」の場合

堀内康弘氏

堀内康弘氏

続いて株式会社gumiの堀内氏が登壇しました。gumiではmixiやモバゲー,GREEなど複数のプラットフォームに対し35タイトル以上のアプリを開発・運用,提供しており,のべユーザ数は1千万人に上ります。AWS導入のきっかけは,2009年11月のmixiアプリモバイルのリリースだったといいます。それまではデータセンターのハーフラックに物理サーバ2台という環境でしたが,数分でサーバがダウンしたのです。

物理サーバを増強する場合には,データセンターのスペースや電源の確保,ハードウェアの選定,発注,設置などの手間やコストがかかることから,あっさりとクラウドへの移行が決まったと言います。現在はすべてのアプリをAWS上で運用しており,EC2インスタンス140台,RDS15台という構成になっています。堀内氏はAWSのいいところを,サーバの増減が容易であること,既存の知識がそのまま使えること,機能がどんどん充実していくことなどを挙げ,要望として日本にデータセンターが欲しいこと,RDSにレプリケーション機能が欲しいこと,監視・アラート機能のさらなる充実などを挙げました。

今後は日本市場にも注力

再び小島氏が登壇し,AWS日本市場への注力として,アジア・パシフィック地域へのデータセンター増強を今年中に実施すること,AWSビジネスをドライブするための日本法人の設立,公認デベロッパーコミュニティ「JAWS-UG」の設立,日本でのソリューションプロバイダの拡充を挙げました。JAWS-UGでは勉強会を実施しているほかフォーラムもあり,ここへ日本語で投稿することでコアメンバーを中心に日本語で回答してくれるといいます。

最後にまとめとして,AWSの使いどころは「まずは開発・テスト環境から」⁠今動いている環境を容易にバックアップ・再利用できるEBSの活用」⁠コンテンツ配信,アプリケーションホスティング,データ分析など用途に応じて利用可能」⁠オートスケール,RDS,EMRなどで運用を自動化,省力化」であるとしました。さらに,AWSを活用したビジネスプランコンテストが今回から日本でも予選を行うことになったと告知を行い,セミナーを締めくくりました。