「組込みプレスセミナー」レポート

#2 組込みLinuxの動向とMontaVistaの最新製品戦略

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組込みLinuxのリーディングプロバイダ

モンタビスタソフトウエアは,1999年3月に米国カリフォルニア州サンタクララで設立された,組込みLinuxおよびその関連サービスのプロバイダです。2009年3月現在,累計2000社,5000万台以上のデバイスに製品を提供,日本法人の設立も2000年7月とほぼ10年にわたって企業活動を展開しています。

組込み開発の課題を解決するのはLinux

モンタビスタソフトウエアジャパン株式会社
木内 志朗氏

モンタビスタソフトウエアジャパン株式会社 木内 志朗氏

演台に立った木内氏は最初に,組込み開発が抱える課題を簡潔に指摘しました。競争力向上のために多機能とより短い製品リリースサイクルが求められている。そして製品ライフサイクルの短命化から来る開発期間短縮,開発予算縮小。こうした課題から脱却するための解決策になると提示したのが,組込みシステムのOSとしてのLinuxの採用です。自前でOSを開発するのではなく組込みLinuxを利用することにより,開発エンジニアはアプリケーションやミドルウェアなど上位層の開発に専念することができます。

開発事業体を持たないオープンソースソフトウエアとはいえ,Linuxは組込みシステムで十分利用できるまでに発展していると,木内氏は語ります。たとえば,Fedora9と呼ばれるLinuxディストリビューションは,カーネル部分だけでコード数にして680万ライン,開発工数は7500人年に上り,1400億円の価値があると試算されています。今もなお成長を続けている領域であり,豊富な機能により多くの機能をすばやく利用できるメリットもあります。

商品プロダクト化を担うモンタビスタ

ただ,機能ごとに膨大なコミュニティが存在し,それを信頼性の高いOSとして使用するためにカスタマイズし,コントロールすることは非常に多くの開発工数が必要になることも事実です。LinuxカーネルのメンテナーであるAndrew Morton氏は,"kernel.org コミュニティは商用製品に耐えうる品質のものを提供していません。 コミュニティは最新の技術を提供します。これらを整理し,商用プロダクトとして使えるものにする役割は商用のディストリビューションに委ねられています" と語っています。

まさにこの商品プロダクト化を組込み業界向けに行っているのが,モンタビスタソフトウエアであると木内氏は訴求しました。モンタビスタソフトウエアは,カーネル,ツールチェーン,アプリケーションを統合し,入念なテスト,バグフィックスを経て信頼できる品質とした上で,広範囲のボード,デバイスに対応した製品を出荷。 また,恒常的に製品メンテナンスを行うとともに,ドキュメント,トレーニング,技術サポートを提供,カスタムエンジニアリングのご要望にも応じています。 実際,2007年12月に発表されたEmbedded Market Forecastersの調査によると,コミュニティのLinuxに比べ,MontaVista Linuxを採用することにより開発期間は23%短くなり,デバイスの機能は18%豊富になり,プロジェクトのコストは77%節約できたという結果が出ています。

市場ニーズ密着のため,製品戦略を大転換

同社は,さらに市場ニーズへ密着するため,製品戦略の大きな転換も予定しています。これまでMontaVista製品は,バージョンごとに Unified Kernelを用い,ターゲットボードをサポートするためのカーネルを含んだLinux Support Packageを提供してきました。MVL5と呼ばれる次期製品からは,Market Specific Distributionと呼ばれるそれぞれのマーケットのニーズに合わせたパッケージとし,パートナー製Linuxとの互換性の維持を重視していくとのこと。MVL5は,ビデオ機能やオーディオ機能,2D/3Dグラフィック機能など多彩なき機能を搭載し,半導体ベンダー提供Linuxに勝るアドバンテージを有しています。

加えて同社は,2009年3月,情報,アイデア,ソフトウエアを繋いで(connect⁠⁠,共有(share)して,製品開発する(design)することをコンセプトにした組込みLinuxコミュニティサイト「meld」を立ち上げました。今のところは英語での提供となっていますが,日本語化の構想もあり,木内氏は⁠誰でも参加できるオープンなSNSなのでぜひ皆さんも参加してください⁠と受講者の方々に呼びかけていました。