「組込みプレスセミナー」レポート

#3 リアルタイムOSと組込みLinux 選択するのはどちら? - 選択のポイントとケーススタディ

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コンセプトはデバイスソフトウェアの最適化

ウインドリバー株式会社
大石茂幸氏

ウィントリバー株式会社 大石茂幸氏

Device Software Optimization,スマートデバイス搭載ソフトウェアの最適化をコンセプトに,グローバルにビジネスを展開しているのがウインドリバーシステムです。設立は1981年,アメリカ合衆国 カリフォルニア州 アラメダに本拠地を置き,現在は世界16カ国で事業を展開,日本法人ウインドリバーは2009年で設立20周年を迎えます。

具体的に展開しているのは,VxWorks,Wind River Linuxなどのプラットフォーム製品群,ソフトウェア開発ツール群,ソフトウェアマネージツール群など。航空宇宙 / 防衛,自動車,デジタル家電,産業機器,ネットワーク機器業界を主なマーケットに,すでに3.5億以上のデバイスに採用実績があります。

リアルタイムOS VxWorksの採用例

このセッションでは,スピーカーである大石氏が,同社製品の採用事例から組込み開発におけるOSのポイントを解説しました。

最初は,リアルタイムOSのケースです。米国エアスパンネットワークス社では,次世代ワイヤレスWiMAX加入者端末対応ベースステーションの開発にあたってVxWorksを選択しました。理由は,デバイス管理,高性能ルータースタック,先進のネットワーキング技術など開発に必要なすべてのコンポーネントがパッケージで提供されるとともに,絶対的なリアルタイム性能と短い起動時間を備え,高い堅牢性と信頼性を達成し,GPL Freeであったからといいます。

実際,最新バージョンVxWorks 6.7では,Multiprocessing Add-onと呼ばれるマルチコア対応のためのオプションパッケージを用意,OS側でロードバランスが可能なSMP(Symmetric Multiprocessing)機能と,コアの性能を最大活用できるAMP(Asymmetric Multiprocessing)機能の双方を提供します。

組込みLinux Wind River Linuxの採用例

一方,やはりネットワーク機器を製造する米国ブルーソケット社では,Multiple-Input Multiple-Output(MIMO)アクセスポイントのOS選定で,Wind River Linuxを採用しました。それまで自主構築のLinuxを利用していましたが,性能が安定しないなど数々の課題に直面していたため,打開策を採ることにしたのです。1,690以上のカーネルパッチと520以上のパッケージを統合済みで,5,000項目以上を100,000人時間以上かけてテストを行って製品化されたWind River Linuxをベースとすることにより,開発チームは安定性と信頼性に優れた製品をスピーディーかつ低コストで開発することができるようになったといいます。Wind River Linuxは,すでに携帯機器業界,ネットワーク機器業界,航空宇宙/防衛業界において高いリーダーシップを誇っており,最新バージョンWind River Linux Platform 3.0は,Linux Kernel 2.6.27を備えてCGL,CELFにも対応,レイヤという概念を持った独自のクロス・ビルド・システムによりデバイス開発を強力に支援します。

双方を採用した事例

同社の顧客の中には,VxWorks,Wind River Linuxの双方を採用したケースもあります。それが制御・自動化機器,スイッチング,分散オーディオ&ビデオ機器など広範なハードウェア・ソリューションを提供している米国AMX社です。同社は市場投入時間の短縮やコスト削減,品質向上を図るため,適材適所でOSを選択する必要がありました。そこで,Wind River LinuxをAMXタッチパネルに,VxWorksを先進的グラフィックディスプレイであるMio Modero R-4リモートコントロール上に採用。これにより開発生産性が向上するとともにOSやツールの標準化が進み,現在までに VxWorksで年間 570,000ドルを削減,さらにWind River Linuxの採用により,今後2年間で100万~200万ドルのコスト削減が見込めると試算しています。

仮想化対応も積極的に推進

今後の方向性として,大石氏はマルチコア対応の仮想化技術としてWind River Hypervisorを紹介しました。⁠仮想化技術とSMP,AMP機能を組み合わせることでマルチCPUにマルチOS体制が採れ,アプリケーションの移植性,システムのパフォーマンスや信頼性の向上,コスト削減が期待できます。ワールドワイドでビジネス展開するウインドリバーが,豊富なビジネスパートナーとともに御社の組込み開発を支援します」⁠大石氏)