「組込みプレスセミナー」レポート

#7 すぐに始められる,現場リーダーへの「変革」のススメ ~まず何から着手すべきか~

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現場リーダーが直面する問題へのアドバイス

株式会社エクスモーション
専務取締役 渡辺博之氏

株式会社エクスモーション 専務取締役 渡辺博之氏

組込みプレスセミナー,最後のセッションはパネルトークです。エクスモーション 渡辺氏をモデレータに,組込み業界の第一線で活躍する方々3名が,それぞれの経験や専門領域を踏まえて現状打破のための本音の議論を展開。具体的には,モデルとしてメーカーの中堅若手社員を設定,彼が直面するいろいろな問題について,パネリストならどうするかという観点で意見を披露していくスタイルで進められました。

「時間がない」にどう対応するか

株式会社ACCESS ALPプロジェクト
第1プロジェクト 品質プロセス部
担当マネージャー 加藤大受氏

株式会社ACCESS ALPプロジェクト 第1プロジェクト 品質プロセス部 担当マネージャー 加藤大受氏

すでに2つの並行開発を任されているにも関わらず,さらに3つめの開発案件が降ってきそうな気配。さあ,あなたならどうする?という場面です。加藤氏は,⁠下を巻き込まず,上を巻き込むのがカギ」と語りました。現状を訴え,⁠この部分だけは」とうまく仕事を振ると負荷が軽減できる可能性が高いといいます。それに対して二上氏は「最初から悲壮感を漂わせて3つめが降ってこないようにする」と発言。実際,プロジェクト初日から会社に籠城して仕事をしたことで周りから妙な理解を得られた経験があったそうです。一方,斎藤氏の意見は,複数のプロジェクトで使えるソフト部品を開発しておくなど「常にもっと楽なやり方を探し求めて小出しにする」というものでした。

「協力会社まかせ」という事態には?

2つめのケースは,協力会社が自社の社員よりもプログラムの中身に精通しているというケースです。プログラムは⁠秘伝のたれ⁠化していて理解が困難になっています。こういう状態で重要なのは,⁠少なくとも設計方針ぐらいは自社内で把握する努力をすること」と斎藤氏は語ります。⁠そんな状況なら辞めるのも一法」と過激な意見を述べたのは二上氏です。自分が理想とする環境を自ら用意すればストレスは消える,というわけです。加藤氏は「きっとそのうちに協力会社のコスト抑制が求められるので,そのプログラムがほんとうに⁠秘伝のたれ⁠なのか一度は無理しても読む」と語りました。

左:株式会社エクスモーション コンサルティング本部 シニアコンサルタント 斎藤賢一氏
右:株式会社東陽テクニカ ソフトウェア・システム
研究部長 二上貴夫氏

株式会社エクスモーション コンサルティング本部 シニアコンサルタント 斎藤賢一氏 株式会社東陽テクニカ ソフトウェア・システム研究部長 二上貴夫氏

このプログラムの⁠秘伝のたれ⁠化問題では議論が白熱。二上氏は「そういうプログラムは,新しく作り直したからといって以前より状況がよくなるとは限らない」と経験論を披露。加藤氏は「作り直すのであれば最初にテストの仕組みを作ってから取りかかるなど工夫が必要⁠⁠,斎藤氏は「リバースツール,テスト自動化ツールを活用するなどして,パンドラの箱を開けない工夫が必要」と同氏の意見を補足しました。

「お金がない」のもよくあること

予算がない,というのもよく直面する問題です。加藤氏はこれに対して「⁠⁠成功したら事例として発表していいので協力して⁠とベンダーにとりあえず頼んでみる」ことにしているそうです。二上氏,斎藤氏は「経営の立場からすると予算抑制はやむを得ないことだが,エンジニアはこれに屈せず,窮状を訴える数値,改善で得られるROIをコツコツと貯めて上長に根気よく示していくことが肝心」とアドバイスしました。

変革への道すじは電子の軌道モデルと同じ

議論の後半,渡辺氏は3名のパネリストこうした問題に対処する根本的なポイントは何かを尋ねました。それに対して斎藤氏は「現状を変革できるような新しい技術を常に身につけようと努力すること」と答えました。⁠本質を見抜いて劇的な改善をめざす。夢は大きく」と訴求したのは二上氏。加藤氏からのメッセージは「常に自分の市場価値を客観視しながら,次に何が必要かを考えながら動く」というものでした。

渡辺氏は議論を総括する中で,⁠エンジニアの現状変革は電子の軌道モデルと同じ⁠⁠」と表現しました。 ⁠何もしない→自分で解決→人を使う→価値観を変える,と,一段上っていくごとにより高いエネルギーの軌道へ入っていけます。仕事場に戻ったら自分にできるところから実践してみてください⁠⁠ と,受講者の皆さんに勧めていました。