海外PyCon発表修行レポート2015

第4回 EuroPython 2015参加レポートと,Sphinxに関する発表(後編)

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会場の様子

会場のEuskalduna Conference Center (ECC)はとても広い建物で,地下2階から地上4階までありました。スペインでは地上階が0階ですが,会場の受付は-1階にあり,カンファレンスで主に利用したのは-2階。さらに中層階があったり,複数の階がスロープで連続的に繋がっているところもあり,最初は自分がどこにいるのかわからなくなって迷ったりしました。会場では,トークとトレーニング合わせて8つのセッションが並行開催され,それ以上の広さのスペースにスポンサーブースや休憩スペースがあり,多くの人が雑談したり,黙々とノートPCと向き合ったりしていました。

ポスターセッション開催時はとても混み合っていた

ポスターセッション開催時はとても混み合っていた

EuroPythonの参加者は1,100人中900人以上がユーロ地域の人で,全体では52ヵ国から参加していたようです。そんなヨーロッパ人たちの特徴なのか,ランチでちょっと並んでるときに「元気?」と声をかけて,二言三言会話してサッといなくなる,という感じの会話が多く見られました。筆者も,⁠元気?」⁠楽しんでる?」⁠昨日どうだった?」といった風に見知らぬ参加者から何度か声をかけられました。こういった,どんどん話しかける雰囲気は日本のカンファレンスではあまり見られないので,文化的な違いなんだろうと思います。気軽に声をかける文化はとても楽しく感じられました。

PyCharmブースでの交流

カンファレンスのスポンサーブースには20近くのスポンサー企業が出展していました。そのなかに,PyCharmのブースもありました。PyCharmJetBrainsが作っている,Python向けのIDE(統合開発環境)です。筆者も昨年のPyCon JP 2014PyCharm活用術というタイトルでその便利さや,使いこなす方法などを紹介しました。

初日の帰りにPyCharmチームの方から「日本から来たTakayukiさんだよね,昨年のPyCon JPでPyCharmの紹介をしてくれてありがとう,是非PyCharmのブースにも遊びに来てよ」と声をかけられました。昨年の発表内容がまさかここでこうやって繋がるとは思っていなかったためびっくりすると同時に,日本語で行われたPyCharmの発表に気を配って今回のような機会に声をかけるPyCharmチームの活動にはとても感激しました。

翌日,PyCharmの開発者AndreyからTwitterで連絡をもらい,質問や要望があったら相談に乗りたいからPyCharmのブースに来てね,というので,ブースに遊びに行って色々と相談したり使いにくい点について伝えました。筆者は普段からPyCharmのYouTrackで不具合報告などをしていますが,チケットのやりとりだけではわからない,感覚的な部分を開発者に直接伝えられたのはとても貴重な機会でした。また,Sphinx開発用にオープンソースライセンスをもらっているお礼や,PyCharmでとても生産性があがっていることを伝えました。

パーティー

カンファレンス期間中に公式に行われたパーティについて紹介します。

スピーカーパーティー

7月20日(月)のカンファレンス終了後に,⁠Google Reception」というパーティーが行われました。このパーティーには,テクノロジー分野で活動する女性と,カンファレンスのスピーカーが招待されました。名前からおそらくGoogleがスポンサーしていたのだと思いますが,Google色が強いわけでもなく,控えめなところには好感を覚えました。

パーティーは,カンファレンス会場の屋上で行われました。当日は天気がとても良くて,参加者は料理や飲物を手に取りながらそれぞれ他の参加者と談笑していました。正直なところ,筆者は英語が苦手なのと知り合いが全くいないのとで,ここで会話するのは厳しいなあと思っていました。しかし,Sphinxの発表を既に行っていたのと,SphinxのTシャツを着ていたこともあり,何人かの参加者から声をかけてもらい,楽しい時間を過ごすことができました。

Python関連でドキュメントを書こうと思うと,Sphinxはデファクトスタンダードと言えるツールです。そのため,ここでも多くの参加者はSphinxを使っていて,多くの課題も持っていました。話をした方の1人は,始めにREADME.mdなどをMarkdown記法でドキュメントを書き始めて,その後ドキュメントの規模が大きくなってきたときにSphinxのreStructuredText記法に変換しようとして大変だった,という話をされていました。Markdownは「マークアップ」を簡単に書くことを目的とした記法です。そして,ある程度以上複雑な表現をしたい場合にはHTMLタグで表現します。HTMLで書いてしまったMakrdownは,他の記法へ変換するのがやっかいだ,と言うことでした。ドキュメント書き始めるにはMarkdownで良いとしても,HTMLタグでなければ表現できない文章を書きたくなったら,別の記法に移る頃合いなのかもしれませんね。

スピーカーの皆さん

スピーカーの皆さん

美味しいピンチョス(バスク地方の一口料理)を食べながら,何人かと話をしていましたが,そのなかにやたら日本に詳しい方がいました。その方,Paul RoelandはPython製コンテンツマネジメントシステムPloneを管理するPloneファウンデーションの代表で,つい先日行われたPlone Symposium Tokyo 2015でキーノートを行ったのだそうです。筆者も,Ploneや,そのベースになっているZopeがあったから今Pythonを使っている,というくらい有名なプロダクトですが,今現在ZopeやPloneに携わっている開発者はそれほど多くありません。ヨーロッパでもそれは同じですが,政府がオープンソース活動に力を入れているため,難しい仕事をこなすことのできるPloneの仕事がある,という話をしていました。先日のPlone Symposium Tokyoでは,全盲の人がPloneで構築したサイトでどんなことに困っているのか,具体的な話を聞けてとても感銘を受けた,という事を話していました。Plone Symposium Tokyo については,Plone Symposium Tokyo 2015参加レポートという記事が出ていますので,そちらもご参照ください。

著者プロフィール

清水川貴之(しみずかわたかゆき)

ドキュメンテーションツールSphinxのメンテナ。2003年にZope2と出会い,それがオープンソース等のコミュニティー活動を始めるきっかけとなった。

Sphinx-users.jp運営。一般社団法人PyConJP理事。株式会社ビープラウド所属。

著書/訳書:「Pythonプロフェッショナルプログラミング第2版」「Sphinxをはじめよう」「Pythonプロフェッショナルプログラミング」「エキスパートPythonプログラミング」。

運営・参加イベント:Python mini Hack-a-thon主催,Sphinx+翻訳Hack-a-thon主催,PyCon JP 2011-2014運営

サイト:http://清水川.jp/
Twitter:@shimizukawa