PHPカンファレンス2018 レポート

「VOYAGEのエンジニア評価制度」「SCOUTERがPHPを使う理由」「弁護士ドットコムのUXデザインの話」「アイスタイルの@cosmeの速度改善」 〜PHPカンファレンス2018

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金子剛さん「UX-DESIGN ENGINEERING」

弁護士ドットコム デザインマネージャーの金子剛さんは,デザインという言葉に普段触れていなかったり,デザイナーとは仕事の中で距離を感じていたりするエンジニアを対象に,UXデザインについて話しました。

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弁護士ドットコムの「共創」

弁護士ドットコムではアジャイルで開発を行なっており,共創をテーマに掲げています。具体的にはプロデューサー,デザイナー,エンジニア,データサイエンティストなどの様々な職種の人がいます。そういった人たちが職種関係なく,全員で企画を出して,全員でデザインを作って,全員で実装してリリースする開発体制になっています。

ユーザーを観察してどういったものを作ったらいいか仕様を決める「デザインシンキング(企画⁠⁠」と,どう作っていったらいいかの「スクラム」の両輪をエンジニアが主導しているのが面白いところだそうです。

UXデザインはデザイナーのものではない

デザイナーのキャリアパスは,今までグラフィックやイラストなど目に見えるものを作るスタイリストが主流でしたが,今はUXデザイナーへの変更が進んでいます。主な仕事も,グラフィックやビジュアルからユーザーの体験をどう設計するかに変わってきています。

金子さんは「UXデザインはデザインとつくのでデザイナーの仕事だと誤解があるかもしれないが,デザイナーの仕事とイコールではなく,UXデザインという仕事をするエンジニアや,UXデザインという仕事をするディレクターがいてもいいのではないか」と主張しました。

UXデザインのプロセス

UXデザインとはなにかについて,スターバックス社やコミュニケーションツールの事例を挙げて説明しました。スターバックス社は,コーヒーだけではなく体験を売っています。体験を売ることで単価を上げられることがわかります。また,以前はメールなどのコミュニケーションツールが主流でしたが,今はSlackやLINEなどに変わってきています。みんなでワイワイとグループの中でチャットができたり,UIの部分や体験というものを価値としています。

UXデザインは様々なプロセスに分解できます。大きく分けると「ユーザーは何者なのか」⁠ユーザーにどんな価値を提供するのか」⁠どう行動してほしいのか」⁠行動してもらうために何を満たせばいいのか(機能・要件⁠⁠どう作ればいいか」の5つです。いま一般には「ユーザーは何者なのか」⁠ユーザーにどんな価値を提供するのか」⁠どう行動してほしいのか」の部分がUXデザインと呼ばれています。具体的な手法として共感マップ,Lean Canvas prototype PDF,Customer Journey Mapを紹介しました。

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モデリングはエンジニアとの共通部分

複雑な事象を抽象化するモデリングはUXデザインとエンジニアリングで共通することです。金子さんは「エンジニアリングする際に,どう作るかの上の部分(ユーザーにどう提供する,どう行動してほしい,何を満たせばいい)までエンジニアが主導していくべきでは」と述べていました。

モデリングの考え方としてユーザー中心設計とデザイン思考を紹介しました。ユーザー中心設計とは,ユーザーの立場からモデリングしていくことです。デザイン思考とは,現実はぐちゃぐちゃしているもので,自分が考えていることや怒り,喜び等の感情は言葉で言い表せるものでなく,他人ならもっと言い表すのが難しい,そういうものをきちんとわかりやすく定義することです。

今はユーザー中心設計やデザイン思考の過程に非エンジニアが入ることで,中間生成物ができてしまいます。中間生成物はユーザーは直接見ることがないので,ユーザーに影響を与えない一方通行なものだと指摘しました。逆に,エンジニアが作った実装やプロダクトはユーザーが実際に触れるもので双方向的なものだとし,UXデザインは双方的なもので設計しなければならないと話しました。

設計という意味ではエンジニアが最先端

最後に改めて,デザインと聞くと関係ないと思っているエンジニアがいれば,すごくもったいないと言及しました。なぜなら,エンジニアは設計に向き合ってきた歴史があり,デザイナーがUXデザインで学んでいることと近いからです。つまりエンジニアはUXデザインの素養があり,リードしていると言えます。

最後に金子さんは「ユーザーに寄りそった,プロダクトに即したものをつくれるエンジニアは直接ユーザーと語り合えるのでぜひUXデザインをしてほしい。敷居が高いと感じるかもしれないが,UXデザインを勉強するのに良い書籍も出ている。とっかかりやすいところから入ってくれると嬉しい」と結びました。

著者プロフィール

入澤賢(いりさわまさる)

音楽と純米生原酒の人。SVEA 123をお供に,ときどき奥高尾を徘徊。最近はJavaScriptやScalaなどで遊んでいる。

Facebook:irisawa.masaru


花井宏行(はないひろゆき)

スタディプラス株式会社所属。日本Symfonyユーザー会メンバー。PHPカンファレンスには2015年から参加。

Twitter:hanahiro_aze


山崎一理(やまさきたかのり)

株式会社コーボー所属。2017年岡山から上京。主にPHP(Laravel、Cakephp)での開発を行っている。PHPカンファレンスには2018年からスタッフ参加。

Twitter:@happylifetaka


鈴木孝伸(すずきたかのぶ)

PHPカンファレンス2018 レポート担当。Laravelが好きなWebエンジニア。

3年半,バックオフィス業務全般(経理・総務・労務)を経験後に二度のフィリピン留学で英語を学ぶ。現在は企業でWebエンジニアとしてフロントエンドを担当。

Twitter:@nobubump0
GitHub:nobu0605