「PyCon APAC 2017 in Malaysia」参加レポート

Day1:Luis Miguel Sanchez氏キーノート,学生,日本からの登壇者によるセッション

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2.5 分

Programing the BBC micro:bit with MicroPython - For Students by Students

Zilong氏,Siyin氏,Zixin氏,Pearlyn氏の4名の学生による,MicroPythonを使ったmicro:bitのデモセッションです。micro:bit とは,子供向けの開発キットです。実際に教育の現場ですでに使われている国もあるそうです(授業風景がスライドに表示されました)⁠

MicroPythonは,micro:bitのようなボードに対して直接Pythonで命令できる組込のための軽量Pythonです。MicroPythonを使用して,micro:bitに付随している2つのボタンにLED点灯命令を組み込むライブコーディングを行ったり,実際にこのボタン機能を使って作りこんだ2Dスクロールのゲームデモや,Accelerometerという加速度計から得た情報を操作するコンポーネントを使ったデモを行ったりと,40分のセッション時間中ずっとデモしてるのでは? と思うほどデモ盛りだくさんのセッションとなりました。

4人でセッションを担当していることを強みにして,1人がメソッドの説明など前で話している間に残りの3名で次のデモの準備をしていたり,どのタイミングでスライドをめくるのかなどが計算されて進められていたりと,とてもよく作りこまれていて感動しました。喋っている最中の体の使い方(手の動かし方etc.)や全体の構成など筆者自身大変勉強になりました。

何よりも,⁠Pythonでモノを作ってこんなに楽しい!」という気持ちで溢れたセッションで,筆者(石田)の中でPyCon APAC 2017の中で一番お気に入りのセッションでした。日本のイベントでも,もっともっと学生さんのパワーが炸裂すると素敵ですね。

「micro:bitはこちらです!」とPearlyn氏

「micro:bitはこちらです!」とPearlyn氏

micro:bitをコントローラとして使える2Dスクロールゲームのデモ

micro:bitをコントローラとして使える2Dスクロールゲームのデモ

Introduction to the data analysis using python ~野中哲氏

day1のお昼過ぎのセッションでは日本から2名が登壇されたのでご紹介します。

1人目の野中氏のセッションは競馬のデータ分析についての内容で,この分析は自分の生活においても重要なのだとユーモア溢れる発表で会場を沸かせていました。野中氏は競馬データを分析するにあたり,主にpandasを使用したそうです。コース距離と馬の走るスピードで多項式回帰分析を行っており,その結果の考察からドメイン知識の重要性を展開していました。

たとえば,競馬場が異なるとカーブや直線距離など形状が異なり,同じ競馬場だったとしても芝やダートなど競技によって使われるトラックの性質が異なります。トラックの形状や性質が異なると,馬のスピードに影響があるため,回帰分析を行うときはトラックの形状や性質ごとに判断していかなければならないといった気づきがあったそうです。

実際に行った試行錯誤の過程を交えた発表は,分析にドメイン知識がどう効いてくるのか,仮説検証をどうやったのか,など納得感のある説明で興味深いものでした。

競馬データの分析について語る野中氏

競馬データの分析について語る野中氏

Introduction to Analytics studies in real business ~赤池奈津子氏

こちらは実際のビジネスにおける分析事例についての発表です。赤池氏は今回がはじめてのPyCon参加で,登壇にチャレンジでした。内容は,ディープラーニングによる文章校正とダイレクトマーケティングの最適化の2つの事例について取り上げています。文章校正の事例では,形態素解析とn-gramでLSTMを学習させて次の単語を予測するモデルを作成し,予測した言葉と実際の単語を比較して文章を構成する手法について扱っていました。

敬語の使い方や漢字とひらがなの使い分けなど,日本語の難しさについて他の国の方々には驚きがあったようで,会場内では「日本語って難しいんだね」といった会話が聞こえてきていました。

「緊張している」と言いつつも,終始笑顔かつ和やかな雰囲気でセッションが進みました

「緊張している」と言いつつも,終始笑顔かつ和やかな雰囲気でセッションが進みました

Conference Dinner

8月26日のConference Day1のセッション終了後,ミッドバレーメガモール横のホテルのレストランにて,カンファレンス参加者のためのConference Dinner(懇親会)がありました。広々としたテーブルでおいしいマレー料理や日本料理のビュッフェに舌鼓を打ちつつ,参加者トークに花が咲きました。

実はこのDinnerには裏イベントが併設されていました。その名も「Ladies meetup」⁠事前に連絡を取っていたWomen Who Code Kuala Lumpur / Rails Girls KL / PyLadies Seoul / Pyladies Tokyoの4つの女性エンジニアコミュニティ+翌日のkeynoteスピーカーJessica氏の計10名で集まってわいわいおしゃべりをするというものです。

国籍も公用語も扱ってるプログラミング言語も異なりますが,抱えている問題(現場に女性が少なくて寂しいetc.)はどこのコミュニティも同じなんだなぁと改めて実感しました。女性エンジニアのコミュニティは小さなところが多いですが,今回のように声を掛け合って集えば大きくなることをしっかり自覚し,差別ではなく区別として女性エンジニアがもっと元気にエンジニアリングや人の輪を広げていけたらいいなぁと思いました。

今後も連絡とりあって,タイミングが合えばまた一緒にイベントをやりたいなと思います。

2時間弱という短い時間でしたが,あっという間に仲良しになれました

2時間弱という短い時間でしたが,あっという間に仲良しになれました

以上でday1のレポートを終わります。day2も楽しいセッションが目白押しです。お楽しみに。

著者プロフィール

石田真彩(いしだまあや)

クラウドアーキテクト。PyLadies Tokyo オーガナイザーの一人。Microsoft MVP(Azure)。「Pyladies Tokyoが立ち上がるのでPython勉強してみたら」と言われて始めたのがPythonとの出会い。仕事柄データ処理システムなどの構築でPythonを使うことが多いが,最近Tornado熱が高まっているのでWEB開発したいお年頃。

Twitter:@maaya8585


山下加奈恵(やましたかなえ)

データサイエンティスト/コンサルタント。分析の幅を広げたくてPythonを勉強しはじめる。Pyladies Tokyoに出会ったのもその時。最近はディープラーニングあたりに挑戦中。

Twitter:@Addition_quince


赤池奈津子(あかいけなつこ)

ちゅらデータ株式会社のデータアナリスト。Pythonが好きという理由でSIerからデータアナリストに転職。未経験のままノリでPython APACでしゃべってしまったので,人前で話すとか英語もがんばりたいヽ(´▽`)/

Twitter:@natsukoa333

バックナンバー

「PyCon APAC 2017 in Malaysia」参加レポート