パソナテック第1回シリコンバレーツアーPhotoレポート

第5回シリコンバレーで働く人たち―Google、Adobe、フリーランス(後編)

イベント最終日、現地時間の7月4日は、一行が滞在したPark55 Hotelにて、Blueshift Global Partners社長 渡辺千賀氏をモデレータに、シリコンバレーで働くエンジニア3名によるパネルディスカッションが行われました。

前編では、お三方のシリコンバレーでの働き方、アメリカのエンジニアに関する討論についてお届けしました。この後、聴講者からの質問を交えてディスカッションが進んだのでその模様についてお届けします。

写真4:イベント会場となったPark55 Hotel、Sienna IIルーム
写真4:イベント会場となったPark55 Hotel、Sienna IIルーム

アメリカにおけるQA/テストエンジニアの待遇は?

最初に「テストエンジニアの位置付け」について、⁠日本ではそれほど高くされていませんが、アメリカではどうでしょうか?⁠という質問が上がりました。

佐藤氏:

まず、最近は、テストエンジニアといっても、パッケージソフトウェアとオンラインアプリケーションとで異なったりもします。パッケージソフトウェアの場合、一度リリースすると修正しづらいですが、オンラインの場合、修正しながらアップデートしていきますね。

どちらにしても、一般的にテストマネジメントは正社員、オペレータはコントラクターという分け方ができます。

廣島氏:

その中でも、テストエンジニアやQA(Quality Assurance)で一番大事なのは、テストコードが書けること。これに尽きます。

渡辺氏:

総論として、テストエンジニアに限らず、シリコンバレーではニーズに合わないとはじかれますよね。それが、他の場所や地域と比べても激しいと思います。IT業界として見た場合とても強いのですが、その中は競争が激しく、急流です。だからこそ、同じ場所にいつづけるには走り続けなければいけないですね。

廣島氏:

今のテストの話にしても、自動化できることは自動化してしまったほうが良いわけです。大事なのは、自動化することを考え出し、そのプログラムを書くことです。つまり、テストをするときに、⁠テストのための)ボタンを押すことを考えるのではなくて、どうやったらそのボタンを押すことを自動化できるか、それを考えたほうが凄いわけです。

それがQA、テストエンジニアの仕事になります。そうでなければここでは生き残れないですね。

佐藤氏:

たしかに、ここまでCPUの価格が下がってきていますし、コンピュータで済ませられるものは済ませるべきです。そういう流れにも付いていかなければいけないですね。

松原氏:

業界自体がつねに変動しているので、その変動に付いていけない人はシリコンバレーにいることは難しいと思います。

佐藤氏:

そして、その変動を楽しまなければいけませんね。楽しみながらアイデアを作れるかどうか、これが大事です。

松原氏:

結局、今の例に限らず、言われたことをただやるだけではダメで、自分で考えて最善の答えを出すことが重要ですね。

シリコンバレーは人の話を聞かない人ばかり

ここまで、シリコンバレーの強み、エンジニアにとって良い部分などを紹介していただきました。しかし、すべてがそうではありません。シリコンバレーだからこそ悪い点、日本的ではない部分についてもお話しいただきました。

廣島氏:

今の話の流れで、こっちにいる人たちは人の話を聞けない人が多いと思いませんか? おそらく、そういう人(自己解決する人)が多く残ってしまっているのでしょうね。

松原氏:

たしかに。自分の中で勝手に最適化する人が多いと思います。それが、ときに暴走のような行動につながったりもしますね。

渡辺氏:

人の話を聞けない人が多いというのはわかります。このように、日本と違う部分で、逆にシリコンバレーで悪いと思うことってありますか?

廣島氏:

融通が利かない点でしょうか。初めてアメリカでサンドイッチを食べたときに、まったく味が付いていなかったんです。それで、アメリカのサンドイッチはまずいなぁ、と思っていて。それから何度か食べることがあって、数度目に、別の人がサンドイッチを食べているのを見たら、ケチャップやマヨネーズがたっぷりかかっていて。さらによく見ていたら、オーダーするときに味付けも言っているんですよね。日本だったら、何かしら味付けまではしてあるので、ギャップを感じました。ようは、こっちの人は言われたこと以外できないことも多いのは事実です。

今の例で言えば、店員はあくまでオペレーターであり、言われたことだけをやるということを忠実に守っていることでもありますが。

佐藤氏:

たしかに、店員は言われた仕事をこなすことが役割で、顧客満足度を上げたり、店員の管理をするというのは別にマネージャーという役職がありますからね。

松原氏:

たしかに融通が利かないという見方もできますが、言うことを言えば通じるという意味では、非常にカスタマイズしやすいという見方もできます。

このあたり、日本の文化とはまったく異なっていて、日本では黙っていることや謙虚なことは美徳であり、また、相手の意図を汲み取るということも大事とされています。でも、アメリカではまったくそういうことがなくて。とにかく自己アピールが重要で、自分の意見を言うことを求められますね。

廣島氏:

育ってきた環境や人間性の部分もあると思いますね。おそらく、アメリカ人の多くは、人の意見を聞くという意識がほとんどなく、だからうるさくてもあまり怒らなかったりもしますから。

佐藤氏:

一方で、こちらのエンジニアのそれ(自己アピール)は、自信の裏返しでもあったりしますよね。人の言うことを聞いちゃダメという考え方にもつながっていて。自分でできると思っているからです。

松原氏:

おっしゃるとおり、議論をしたり、問いかけがあったときに、YesにしてもNoにしてもきちんと声に出しておかないといけないとは思います。自分はこう考えています、という表現が重要ですから。何も言わないというのは一番まずくて、問題が起きたときも意見を言わない人の責任にされることがあります。

佐藤氏:

言ったもん勝ちなところはありますね(笑⁠⁠。

情報収集よりも手を動かす

最後に、動向が激しいIT業界において、どのように情報を知るべきか、また、どう対応するべきかといったことについて質問が上がり、それについて議論していただきました。

廣島氏:

極論を言えば、情報収集はする必要がありません。情報は集めるのではなくて、自分で勉強するものです。たとえば、今、多くのエンジニアがblog上ですごく良い情報を展開しています。でも、それをすべて読むことはまったく意味がなくて。

佐藤氏:

アナリストのような職種はともかく、エンジニアであれば、トレンドを追いかける必要はありませんね。情報を追うのではなくて、自分で考えることが重要です。

渡辺氏:

まわりの動きが早いからこそ、追い立てられるようにクリエイティビティを生み出していけるようにしなければいけないのですね。

廣島氏:

はい、エンジニアはコードを書くことが一番大切です。やりたいことがまず先にあって、そこから手を動かすべき。闇雲に情報を追いかける必要はないですね。情報収集をルーチンの作業にしてはいけないと思います。

渡辺氏:

よくWhatとHowを探すことが大事といわれますが、その中でも日本はWhatに目がいきがちですね。だけど、実際はHowを考えて、プロセスの中から良いものが生まれていくことにもつながります。

佐藤氏:

これも文化の違いだとは思いますが、日本はゴールオリエンテッドで考えられることが多いからでしょう。でも、研究ではゴールを設定してはいけなくて、考えるプロセスから生まれることが大事になりますね。

写真5:左から、パネリストの廣島氏、松原氏、佐藤氏、右はモデレータを務めた渡辺氏
写真5:左から、パネリストの廣島氏、松原氏、佐藤氏、右はモデレータを務めた渡辺氏

以上、大変幅広い内容について、⁠今⁠シリコンバレーで働いている方たちに討論していただきました。これからエンジニアとして生きていきたいと考える人にとって、とても参考になる討論だったと思います。

とくに、お三方全員が異口同音で言っていたように「自分で考える」⁠自分で伝える」⁠自分で行動する」という部分は、クリエイティビティが求められる職種にとって、とても重要な要素だと思います。

エンジニアの皆さんには、ぜひ参考にしていただければと思います。

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