第3回 戦略的Webマーケティングセミナー開催

Web担当者×Web制作者が考える新技術の選び方,Web戦略の練り方―第3回戦略的Webマーケティングセミナーレポート(後編)

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コーポレートサイトはどのタイミングでリニューアルすべきか

リニューアルのタイミングと情報共有

新しい技術を導入する際に,どのようなタイミングで導入やリニューアルしていくかについて,粕谷氏は過去のリニューアルに触れ,⁠大体2年おきにその時々のトレンドを意識して,リニューアルしている。半年ぐらい前から準備して最初はおもしろいサイトがないかという話を制作スタッフと2週間おきぐらいにミーティングする」と話すと,和田氏が「これだけの大規模で2年おきにリニューアルするのはすごい!」と驚きを示しつつ,⁠一度ガバナンスを整えると,次のリニューアルではガバナンス的なところはそれほど変えなくてもいい。表面的な部分は各企業の都度の戦術に左右されるので変更はあって,そういった意味でのリニューアルタイミングは企業によってさまざまであっていいと思う」と指摘しました。

また,和田氏は企業にとって今,Webがどう位置づけられてるかによってスタンスが異なってくると説明し,⁠リニューアルやトレンドの導入の時期は,企業がユーザとどのような関係を築いていくか心持ちの変化があったときが本当の最適な時期ではないかと思う」と指摘。⁠クライアントと話をしていくと,ユーザとのコミュニケーションをどうしていきたいか,という話に落ち着けることが以前より多くなった」との事例を説明しました。一方,実際に案件の依頼があるときは,競合他社がリニューアルしたときなどもやはり多いと明かしました.

鈴木氏は「お客さんと辞書を共有するという話をする。かっこいいかという話もどれがかっこいいのか?という定義をまずしなければならない」と言葉の定義の重要性について指摘し,⁠ワークショップみたいなものをやって,意志のすりあわせをする。トレンドなんかもお互いに新しいものの話をして,使っている言葉を一緒にしていくために何週間も一緒にご飯を食べたりしながら意思の疎通を図ってから制作を始める」と具体的な内容を説明しました。

田村氏も「CPAという言葉があるが,⁠CP」はコストパーを示すが,最後の「A」はWebサイトの中でActionを起こしたことなのか,Webサイトを見たお客様が実際にお店に行くActionなのかによって意味が全然違ってくる。言葉をちゃんと揃えないと,社内のコミュニケーションがおかしくなってしまう。このような話は社内にもあるし,制作会社との間でもある」と現状の問題点を指摘しました。

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KPIをどう考えるか?

事前アンケートで質問の多かった「KPIの設定」について話が及ぶと,粕谷氏は「コーポレートサイトは製品情報と企業情報の2つ」と述べた上で,⁠まず,何に対するKPIについてなのかという定義が各々違っている」とKPIの設定に対する問題点を指摘。コーポレートサイトは短期で終わる仕事ではなく,色々な施策をやっていくうちに指標が出てくることを踏まえ,⁠いい数字が出てきたときに『これがKPI』と言う形でやっていったほうが,自分で設定したKPIに縛られずに済む」と秘訣を明かしました。

馮氏が「何かしらの提案が必要な場合もあると思うが?」と問いかけると,鈴木氏は「案件によるが,コーポレートサイトだとそのような提案は難しい。また,お客さんから何も言われないケースが多い」と制作者の立場からの指摘。これを受けて和田氏は「コーポレートサイトは粕谷さんが指摘するとおり,担当者が見直して行きつつ,測定は難しいが,例えばステークホルダーの満足度などなるべく長い時間軸で計れる指標をもってくるのがいいのではないか」とKPIの設定について語りました。

また,鈴木氏が以前に制作したWebサイトのクイズコンテンツを例に出し,⁠社員教育というミッションを研究所が持っており,そのミッションをクリアするためにクイズコンテンツを制作した。そのクイズが何回遊ばれたかというのがKPIになったことがある。このようにサイトがどういうミッションが与えられているかによってKPIは変わってくると思う」と指摘しました。

フルリニューアル,プチリニューアル

和田氏が「フルリニューアルではなくプチリニューアルというのもあると思うが,皆さんはどのようにやられているのか?」と問いかけると,鈴木氏は「現在あるWebサイトはユーザに親しまれているから,よりよく『改善』すると表現していた。全面的にリニューアルする場合も,テイストとか使い勝手はなるべく変わらないように気を付けている。良くできているものはあまりいじらずに,毎月少しずつ良くないところを変えていった方がいいと思う」とサイト運営の秘訣を明かしました。

田村氏も「当サイトは毎日のように修正していて,ログから見えること,個人の感覚で分かること,そのミーティングの場で実装の方向まで決めてしまう。そして必ず振り帰りをやる。施策を実施して数字を振り返ったときに,グラフが伸びているとモチベーションが上がる。こういうのが大事だと思う」と目に見える形で数字を共有することが大切であると語りました。

著者プロフィール

岩渕茂(いわぶちしげる)

e-writing.jp所属テクニカルライター。家電製品のオンラインヘルプや各種マニュアルの執筆から,書籍,IT系情報サイトの執筆など幅広く活動する。映画制作者としての一面を持ち,主に脚本と監督を担当するなど多方面でも精力的に活動中。

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