第3回 戦略的Webマーケティングセミナー開催

Web担当者×Web制作者が考える新技術の選び方,Web戦略の練り方―第3回戦略的Webマーケティングセミナーレポート(後編)

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Webサイト運用 AtoZ

馮氏よりこれまでの話をふまえて「長期的に運用していくために何を考えていくか,長期的にするにはこうしたらいいなどあるか?」と,運用をテーマにした議題が提示されました。

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ワンストップで動けるかどうかが1つのカギ

粕谷氏は発注側もある程度の知識が必要であることを指摘した上で「自分が所属している組織では,メンバーは専門知識を持った人間がワンストップで動けるように組織している」と説明。毎年株主総会直後に企業情報を更新する取り組みを2007年から行っていることを説明し,発注元は定期的にミーティングを行って情報交換をしながら,スタッフに早め早めに原稿を渡しスムーズに更新できる体制を整えていることを説明しました。

それを聞いた和田氏は「そこまできっちり体制を組んで,制作に振ってくるというケースはレアケース」と語りました 。これに対して粕谷氏は「恐らく発注側は『とにかくよろしく』のような感じで丸投げするケースが多いと思うが,これは発注側の怠慢」と注意を促しました。

和田氏は受託側として「弊社の場合は,プロジェクト開始の早い段階から巻き込んで相談してもらえると幸せな関係が作れていることが多いと思う」と述べ,⁠いい関係が出来ているクライアントとは,例えば予算が厳しい時にもう少しここまでやってよってとかそういうネゴも実際にはあって,そういった関係であれば色々やって上げたいなと思うことはやっぱり人なので,大事な事だと思う」と発注側と良い関係が築くことが大切と説明しました。

これに対して鈴木氏は,⁠制作会社は印刷所ではないけど,できあがっているものをHTMLにします,というニュアンスがあった。もし,一緒に初期段階からサイトを作ろうとなると,その企業がどういうビジネスをしているかを把握して戦略と立てていかないといけない」と述べ,制作会社がどこまでコンサルティング的な部分を担うのかという点について疑問を投げかけました。

和田氏は鈴木氏の問いかけに対して,⁠会社が狙うポジションやプロジェクトによって

もちろん異なるけれど,もし,クライアントのビジネスによりコミットしていくポジションを取ろうと思ったときには,なるべくコンサルティングなど前半からプロジェクトに入れたほうが関係が作りやすくはある」と受託側の思いを語り,田村氏からは「レガシーな 広告代理店とかは,仕事が発生しないときでも営業して情報交換をして関係を築いているが,ネット系の会社はそのようないわゆる『三河屋さん』的な動きができていない。もう少しできてもいいのかなと思う」と制作会社のフットワークについて指摘がありました。

時代の流れと担当範囲への意識

粕谷氏は,⁠産業には栄枯盛衰があって,昔版下屋さんや写植屋さんとお付き合いしていたが,今はWeb屋さんに取って代わった。これからもどんどん切り替わっていくと思う」と,ここ20年ぐらいの過去を振り返り,⁠時代の流れとして制作会社もやる役割を変えていかないと,時代に乗っていけないと思っている」と指摘。⁠Webの場合,コピーライティングは誰がやるのか?METAのキーワードは何を入れるのか?とかは,制作会社によってやってくれる内容が異なる。こういうところをみても,制作会社はやるべき事があると思う」と制作会社に望むことを語りました。

和田氏も「今まではそういうところまでしないほうが効率が良かったというのは事実としてあって,そこまで求めるお客さんも少なかった」と受託側にそこまで求められていなかった状況を説明した上で,⁠よりクライアントビジネスに貢献するという話になってくると,今までのWebを作るというレベルは超えていて,今後,制作会社がどこまでビジネスをフォローするのか,又,どこに特化していくのか,ここ数年,各制作会社の方向性が見えてきつつある」と今後の制作会社の展開について説明しました。

参加者からの質問

ここで参加者との質疑応答に。

「コーポレートサイトは,他の社員はあまり興味を持っておらず,リニューアルするといってもあまり関心が高くない。そのような現状を打破するにはどうしたらいいか?」との質問があり,粕谷氏はご自身の体験として「現在のように株主総会直後にサイトをリニューアルするようになったきっかけは,かなり分厚い環境報告というのがあり,当時の社長が会議の際に「せっかく作ったのに社内でも見ている人が少ないのなら,誰でも手軽に見られるWebに切り替えたほうがいいのでは?」と発言したという,わかりやすいきっかけであったことを説明しました。

それ以降の取り組みとして,会社案内と環境報告はすべてWebのみでの掲載になり,印刷物の要求があってもWebから印刷してくださいとお願いしている現状を説明し,また,そのような状態になるまでは各々の部門へ何度も出向いては説得を続けて,それでみんなやろうよという形になってきているとのこと。今でも,事務的な連絡だけだとおもしろくなくなってくるので,連絡することがあまりないような時期でも,トレンドや新しい技術をお伝えして定例の連絡会に来てもらえるように努力しているそうです。

馮氏が「1つ1つ説得していくということですか?」と問いかけると,粕谷氏は「同じ話を何時間でもやって,あきらめずに説得していくことが大事でしょう」と指摘しました。

著者プロフィール

岩渕茂(いわぶちしげる)

e-writing.jp所属テクニカルライター。家電製品のオンラインヘルプや各種マニュアルの執筆から,書籍,IT系情報サイトの執筆など幅広く活動する。映画制作者としての一面を持ち,主に脚本と監督を担当するなど多方面でも精力的に活動中。

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