WordCamp Yokohama 2010開催!

第2回デザイナーもプログラマーも必見、WordPressの魅力・実力

第2回目は、サブホールのセッションを中心に、プログラマー向け・デザイナー向けなど、専門性の高い内容のものをレポートします。

デザイナーのための適当プログラミングから始める WordPress 高速マッシュアップ術
高山一登氏(株式会社キャンプフォー)

サブホールの午後最初のセッションは、キャンプフォーの高山一登氏による「デザイナーのための適当プログラミングから始める WordPress 高速マッシュアップ術⁠⁠。

高山氏は、WordPressプラグイン活用について、コーディングと実行デモを交えながら解説した。
高山氏は、WordPressプラグイン活用について、コーディングと実行デモを交えながら解説した。

冒頭で、⁠PHPにはさまざまな関数があり、これらを使うだけでもいろいろな表現ができます」と、プログラミングを実践することで、デザイナーの表現力が上がることを説明しました。

 高山氏が紹介したPHPの関数
date_sun_info日の出・日の入り時刻を取得する
getimagesize画像の高さと幅を取得する
exif_read_data画像のExifデータを取得する
mb_convert_kanaカナを半角・全角に変換する
nl2br改行コードを<br />タグに変換する

その上で、プラグインの豊富さ(公式プラグインの数は、発表時点前日の段階で9,761個)がWordPressのメリットであり、それらを活用しない手はないと、聴講者にプラグイン活用のススメを説きました。

今回紹介したプラグインは、

  • Absolute Privacy
  • Tally Graph

の2つです。

Absolute Privacyは、登録してログインしたユーザだけがブログを閲覧できるプラグインで、これを使うことで家族や友達だけに公開したいブログや写真を手軽に構築できます。また、ユーザ視点から見ても、操作性が高くなるという特徴を持っています。

もう1つのTally Graphは、カスタムフィールドとGoogle Chart APIを使ってきれいなグラフを作ることができるプラグインです。

これらをはじめとして、WordPressには「投稿データを表示する」ことに対して、データの取得や加工を手軽に行える、表現力を向上できるプラグインが存在しています。高山氏は「皆さんもぜひ既存のプラグインを上手に活用してください。さらに、そこに少し手を加えれば、自分が実現したい表現に近づけることもできるのです」と述べました。

全体を通じて、WordPressの魅力の1つであるプラグインの良さと、プログラミングを実践すれば表現の可能性が広がるということが伝わってきた内容のセッションでした。

高山氏のプレゼンテーション資料は、同氏のブログで公開されています。

立ち見が出るほど盛況だった午後のサブホール。
立ち見が出るほど盛況だった午後のサブホール。

WordPress+BuddyPress+Amazon EC2=loftwork.com 7.0
諏訪光洋氏(株式会社ロフトワーク代表取締役)

次は、ロフトワークの諏訪氏が、loftwork.comのリニューアル事例で取り組んだWordPressおよびBuddyPressの実装について紹介しました。今回のリニューアルは7回目ということで、⁠WordPress+BuddyPress+Amazon EC2=loftwork.com 7.0」というタイトルになっていました。

諏訪氏は、リニューアルをするに当たっては常にその後(2年後、3年後)になっても古びない感覚的なものを意識しているとのこと。
諏訪氏は、リニューアルをするに当たっては常にその後(2年後、3年後)になっても古びない感覚的なものを意識しているとのこと。

今回のリニューアルに関しては、⁠to the World」⁠Cloud」⁠Open」の3つのキーワードを軸に進めたとのことで、⁠WordPressの高機能性だけではなく、BuddyPressのちょうど良い機能感、Amazon EC2を適用するのにちょうど良い規模感だった」という自身の体感的な感覚を重視してツールやインフラを選定したそうです。

今後のステップは「APIの提供や作品販売用プラグインの実装、定期的な機能拡張に取り組みます」と、すでに次バージョンとなる8.0に目を向けていました。

loftwork.com 7.0のシステム構成。Amazon Web Servicesの機能としてはEC2の他、EBSを利用しており、S3は使っていないとのこと。
loftwork.com 7.0のシステム構成。Amazon Web Servicesの機能としてはEC2の他、EBSを利用しており、S3は使っていないとのこと。

IntenseDebate コメントシステム
Isaac Keyet氏(IntenseDebate)

続いて、メインホールに移って、Automatticに所属となったIntenseDebateのIsaac Keyet氏からIntenseDebate コメントシステムに関するプレゼンテーションが行われました。

このセッションでは、マクラケン直子氏が逐次通訳として、日本語によるサポートを行っていました。
このセッションでは、マクラケン直子氏が逐次通訳として、日本語によるサポートを行っていました。

IntenseDebateコメントシステムは、WordPressのコメントを活性化することを目的としたもので、エントリに付いたコメント内での議論を促進することができるものです。さらに、そこでやりとりされた内容をFacebookやTwitterへ配信することで、ソーシャル的な広がりが期待できます。

こうしたブログエントリに対するコメントというのは、とくに米国では注目されており、ブログを運営するに当たって、エントリを上げることで閉じるのではなく、その後のコメントの内容に価値があるというブログの本質に通ずるものと言えるでしょう。

IntenseDebate自体がWordPressのプラグインの1つとなっているが、現在は、その上にさらに個別のプラグインが開発されてきている。
IntenseDebate自体がWordPressのプラグインの1つとなっているが、現在は、その上にさらに個別のプラグインが開発されてきている。

会場から「コメントスパムに対してはどのように対応するのか」という質問があがり、現時点ではWordPressのプラグイン「Akismet」の機能を利用しているとのことで、将来的にはそこから一歩進んだ形のものも検討していきたいとまとめました。

WordPress, ウィスキーのようにストレートで飲みましょう(仮)
Ned Watson氏(株式会社ヌーラボ)

2回目の最後に紹介するのは、WordPress Fukuokaにもスピーカーとして参加し、6月1日より株式会社ヌーラボの所属となったNed Watson氏による講演。

かなり日本語が堪能なNed氏。話すテンポが良く、内容がおもしろかったこともあり、会場から何度も笑いが起きていました。
かなり日本語が堪能なNed氏。話すテンポが良く、内容がおもしろかったこともあり、会場から何度も笑いが起きていました。

「WordPress, ウィスキーのようにストレートで飲みましょう ⁠仮⁠⁠」という仮題が付いていたものの、氏のセッションでは、HTML5やCSS3といった最新Web技術の話、また、Clickyと呼ばれる高機能Web解析サービスの紹介などが行われ、WordPressでサイトを立ち上げた後、さらに活用するためのヒントが盛り込まれた内容となっていました。

Clickyについては、すでに自身のサイトにも導入しているとのことで、たとえば誰がいつどういったアカウントでアクセスしているかなど、かなり細かくデータを収集できるそうで、⁠コンテンツとしてみても非常に楽しいツールです」と、Clickyをかなり推していました。


今回は、技術的なセッションを中心に取り上げました。WordPressの魅力は、オープン性とコミュニティです。この2つがあるからこそ、今回のレポートで紹介したような、WordPressに役立つさまざまな技術や活用テクニックが生まれてくるとも言えるでしょう。

WordPressに興味を持った皆さんもぜひ実際に触ってみて、プラグインを開発したり自分ならではの運用を心がけてみると、WordPressの世界がさらに広がるかもしれません。

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