YAPC::Asia Tokyo 2010スペシャルレポート

前夜祭レポート[随時更新]

明日、明後日(10月15日、16日)に、YAPC::Asia 2010が開催されます。それに先立ちPre-conference Meetupとして、本日YAPC::Asia 2010 前夜祭が開かれます。

本ページでは、このYAPC::Asia 2010 前夜祭を随時レポートしていきます!

画像

なお、yusukebeさんから、発表を聞かずに、ホールのビールを飲んで構いませんとアナウンスがありました(会場内では飲食NGとのこと⁠⁠。

yusukebeさん「イントロダクション」

「出張PerlCasual #04」と題して、yusukebeこと和田裕介氏さんから前夜祭開始の挨拶がありました。その後、ライブラリ利用者や日曜大工的にPerlを利用している方などを対象にした「PerlCasual」ができた経緯やこれまでの活動報告が説明されました。

その後、今回のプログラムである、WAF(Web Application Framework)祭り、LT(Lighting Talk⁠⁠、スペシャルゲスト ITMedia News記者「岡田有花」さんの対談について、それぞれ紹介がありました。

画像

WAF作者+利用者の集い

nekokakさん「神威 - Plack base frame work⁠

WAFの一番手を飾ったのは、DBIx::Skinnyの作者でもあるnekokakさんによる神威に関するトークでした。神威はWEBからの利用だけではなく、バッチ等のCLIまでを統括するフレームワークとして開発されています。nekokakさんは去年のYAPCの前夜祭でもSmokerというHTTP::EngineをベースとしたWAFを紹介されていましたが、今回お話された神威はPlackベースであり、PSGIに対応しているとのことです。

作りとしてはSledgeをかなり意識しており、Sledgeを使ったことがあれば問題なく使えるのではないかという印象を受けました。また、モバイルの公式サイトでも多数実績があるそうです。Twitter上でも「良さそうだ」という声が上がっており、今後が楽しみなWAFの1つであると思います。

画像

画像

sugyanさん「Ark」

当初開発者であるtypesterさんが発表される予定でしたが欠席になったということで、sugyanさんによる代打トークとなりました。

ArkはCatalyst likeなフレームワークで、CGIモードでも実用的な動作をすることを意識して開発されています。カヤックではバックエンド処理だけではなく、各種サービスやソーシャルアプリなどでも活用されているそうです。昨年のYAPCでも発表されたArkですが、その後HTTP::EngineからPlackベースへと移行されており、非同期処理も作り易くなるなどの進化をしているとのことです。

概要説明の後、実際にArkでアプリケーションを作成する際の解説がありました。Arkアプリケーションの最小構成は下記の3ファイルとなるそうです。

app.psgi
lib/MyApp.pm
lib/MyApp/Controller/Root.pm

この後実際にライブコーディングでのデモが行われ、数分で何も無いところからplackupで起動できるプログラムが披露され、会場から拍手が起こっていました。

Arkの今後の展開としては、Model, Formの分離や、CPANへのアップロードなどが予定されているそうです。

sugyanさんの発表資料はこちらになります → http://jsdo.it/sugyan/yapc2010-ark/fullscreen

画像

画像

charsbarさん「Mojolicious::Live!?」

Mojoliciousを初期の頃から追いかけているというcharsbarさんが、Mojoliciousの近況をお話しして下さいました。WebSocketが使えるというのがMojoliciousの魅力の1つであり、charsbarさんのスライドもMojoliciousとWebSocketを使って作られているとのことでした。

また、Mojoliciousの開発履歴について分析をした結果を紹介し、Mojoの開発がコードを読みやすく保つことに重点が置かれており、保守性に優れていると指摘していました。ただし、開発ラインはまだ活発で後方互換性が保たれない変更も発生しているため、本家の変更の影響を避けたい場合はアプリのサブモジュールとして組み込んでしまうのがよいとのことです。

画像

画像

tokuhiromさん「Amon」

tokuhiromさんによるご自身が開発されているフレームワークAmonのトークです。本日Amon2.0を公開されたという告知の後、コードは使わず設計思想やコアコンポーネントの紹介という内容となりました。

まずはtokuhiromさんのWAFに対する思想について説明がありました。開発者はそれぞれやりたいことがのでそれぞれが自由にWAFを作ればいいのではないかとのことです。とはいえ同じことを皆が再実装するのは無駄なので、Plackなど共有できるところはしていこうという思想を持っておられるそうです。

続いてAmon2.0の基本コンセプトが解説されました。Amon2.0はSledgeをベースとしていて、有名でないモジュールやXSを使わずにシンプルに薄く実装されています。実装コードはわずか800行未満で、Plack、Text::Xslate、DBIx::Skinny、Router::Simple、Tiffany、Log::Dispatch、perlコードによる設定ファイルという構成がメインとなっているとのことです。

特に印象的だったのはWAFを使うならコードを全て読んでから使うべきという主張でした。フレームワーク側のコードは理解しやすいようシンプルに保っておくことで、自分でコードを読んでカスタマイズ出来る程度の裁量を持ったエンジニアに対して自由を与えているのだと感じました。

逆に好まないフレームワークの特徴としてはコードの流れが追いにくい、実行効率がよくない、分かりづらいXSなど特殊なコードを使用している、起動が遅いといったことをあげられていました。

画像

画像

Lightning Talks

YAPCでは、前夜祭も含めて毎日Lightning Talksがあります。今日のLightning Talksでは、今回が初めての発表という方もいらっしゃいますので、やさしく、時には厳しくご覧下さい。

uzullaさん「Tatsumaki と Javascript で ウェブチャット(とか)」

Tatumakiを使ったCometの紹介でした。CometはWebSocketやFlashのXMLSocketと比べ、対応しているブラウザが多いという利点があります。TatsumakiでJSONPを使うためのハックも紹介されていました。

画像

画像

kawanetさん「OSDC.TW に行ってきました - Shibuya.pm in Taipei 報告」

台湾で行われたOSDC.TWへ、Shibuya.pmの著名なハッカー達が参加した際のレポートでした。kawanetさんは、⁠今回のPerl Casualのような場でもっと気軽に発表しよう」と参加者達にエールを送っていました。

画像

画像

xaicronさん「簡単サブコマンド」

xaicronさんが作成した、Getopt::Compact::WithCmdの紹介でした。このモジュールは、Gitのようなサブコマンドを持つコマンドを簡単に作成するためのモジュールです。このモジュールを使うことで、柔軟性のある使いやすいコマンドが作れるように感じられました。

画像

画像

刺身さん「MaatkitでMySQLチューニング」

意外なことに刺身さんは、今回が初めてのLTとのことです。刺身さんが解説したMaatkitは、Perlで書かれたMySQLのユーティリティ集です。事例として、I/Oのランダムリードによるパフォーマンス悪化についての調査方法が紹介されていました。

画像

画像

koba04さん「モダンPerlの裏側で...」

yusukebeさんがTwitterのDMで直接勧誘したというkoba04さんのLTは、他社から納品される恐ろしいコードの数々についてでした。use strictは最低でもつけ、Perlベストプラクティスなどを参考にしていいコードを書いて欲しいと、現場の開発者達に意識改革を訴えていました。

画像

画像

スペシャルゲスト対談

ITmedia News記者、⁠IT戦士」こと岡田有花さんとyusukebeさんによる対談です。yusukebeさんと岡田さんの面識は2008年以来でまだ2度目だそうですが、非常に打ち解けた感じのカジュアルな雰囲気でした。

画像

対談テーマは面白いWebサービスについてがメインでした。yusukebeさんは最近Facebookがとても楽くお気に入りだそうで、レスポンスの速さが魅力的とのことでした。それに対して岡田さんから、レスポンス速いリアルタイム系のサービスはずっとかかりきりになってしまうため時間に余裕がある人でないと出来ないのが辛いといった意見がありました。

画像

そんな中yusukebeさんから良いサービスの特徴として現実のアクティビティをサポートするものいう意見がありました。そういった点でATNDは素晴らしいサービスだとおっしゃっていました。

対談の中では世代によるインターネットの受け取り方の違いについても言及されました。yusukebeさんの世代はちょうどインターネットが普及し始めた頃を体験した世代であり、インターネットは面白いものという印象が強いが、現在の小中学生などはインターネットには実名はだしてはいけないなどネガティブな教育をされていたりするので、受け取り方が大きく異なるのではないかとのことでした。そういった自分達とは違う世界の人たちに必要とされるサービスを考えるのは難しく、岡田さんは記者という立場でもそういった人たちと交流するのは苦労されているそうです。

画像

対談の中でPerlに関する話題はあまりありませんでしたが、そんな中ITmediaのCMSがperlで作られているということに触れられていました。ITmediaにはPerlの非常に優秀なエンジニアの方が勤務されているそうで、その方が作られたCMSがとても使いやすいとのことでした。

対談はプライベートな話題にも触れるなど、全体を通して終始なごやかな感じで行われていました。

ホールでは…

休憩中のホールでは、皆さんが歓談していました(セッション中も、ホールで歓談を楽しまれていた方も多数いたようです⁠⁠。

画像

明日からのYAPC::Asia 2010の見所

なお、明日からのYAPC::Asia 2010の見所は、牧さん執筆の記事開催間近!YAPC::Asia Tokyo 2010の見所、紹介しますをご覧ください。

※ブラッシュアップする前にあったメモ書きの一部は、a geek born in Tomakomaiへ移しました。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧